#高石市の事件を考えよう 第二回公判、傍聴者の方からの情報

高石市の事件から二ヶ月が経ちました。

そして本日
2023年4月24日、渡邉和美容疑者を被告とする裁判の第二回公判が行われました。

傍聴に参加された方の許可をいただき、貴重な記録をここに全文共有したいと思います。


傍聴記録


【高石市の事件】

令和5年(わ)第45号等準強制わいせつ事件被告人渡邊和彦こと渡辺和美
大阪地方裁判所堺支部202号

この事件の第二回公判が、大阪地方裁判所堺支部にて、令和5年4月24日(月)13:30
から行われた。

第二回目の公判では、2件の起訴の審理が行われた。2件とも準強制わいせつ罪。

一件目は令和5年2月7日に起訴。被害者はAさん51歳。
起訴内容は令和3年5月中旬ごろ、大阪府泉大津市内の事務所で「マッサージをしてあげる」と言い、被害者をベッドにうつ伏せに寝かせたうえで、スカートの中に手を入れる。陰部に指を入れるなどした準強制わいせつの疑い。

二件目は令和5年3月27日に起訴。被害者はBさん42歳。
起訴内容は令和3年3月26日と5月20日、Bさん宅で、マッサージと称してズボンの中に手を入れる。陰部を押す。ブラジャーの中に手を入れるなどした準強制わいせつの疑い。
いずれの事件についても被告は無罪を主張。

次回公判は5月16日、午前10:00から

裁判官(裁判長)荒木未佳氏、書記官井川祥氏、いずれも女性。
検察官2名のうち、起訴状朗読を女性の検察官が担当、筆記を男性の検察官が担当。被告人弁護士は2名共男性。
裁判の印象について、弁護人の一人が裁判中苛立った様子を見せたのが印象的だった。
渡辺被告の印象については次の通り。被告は、裁判に慣れている様子だった。裁判中は落ち着いていて、一度も反省したり悪びれる様子はなかった。見た目は髪が乱れている以外はどこにでも居そうな中年男性。見た目に反して声が小さく柔らかいのが印象的だった。

以下、第二回目の裁判の内容
13:20渡辺被告、二人の刑務官に付き添われて入廷
渡辺被告は茶色のスリッパ、白地に太い赤の線の入った靴下、グレーのスウェットズボンを履き、上半身は黒いインナーにグレーのフリースを着用。肩まで伸びた髪は寝癖がついており数日洗っていないのか髪がベタついている。弁護人に話しかけられ、ニヤッと笑う。

13:30開廷

裁判官:権利告知を行う。そして被告事件に対する陳述を述べる。
「起訴状は2件、1令和5年2月7日2令和5年3月27日、いずれも準強制わいせつ」

検察官冒頭陳述。被告人の経歴や犯罪歴を述べた後、犯行に至る経緯や犯行内容等を朗読。
「1被害者はAさん51歳。令和3年5月中旬ごろ、大阪府泉大津市内の事務所で「マッサージをしてあげる」と言い、被害者をベッドにうつ伏せに寝かせたうえで、スカートの中に手を入れる。陰部に指を入れるなどした。
2被害者はBさん42歳。令和3年3月26日と5月20日にBさんの家で、マッサージと称してズボンの中に手を入れる。陰部を押す。ブラジャーの中に手を入れるなどした。」

裁判官:「どこか違う所はありますか?」

渡辺被告(小さな声で)「はい。全体的に違うというか。」

裁判官:「では1行ずつ見ていきましょうね。」

渡辺被告「(Aさんについて)スカートの中に手ぇ入れてないし。陰部を触るとか、していない。足でマッサージした。(Bさんの)家でマッサージしたことなんてないし。」

裁判官:「Bさんの家に行ったことがないと?」

渡辺被告(はっきりした口調で)「家に行ったことはある。でも障害者の家に行くときは必ず女性のアシスタントについてもらっているから。3月26日に家に行ったけど、(書類上の5月20日と記載されているところを指しながら)この日は、覚えていない。」

裁判官:「無罪を主張するんですね。」

渡辺被告「はい。」

弁護人:「起訴状1について、被告は被害者Aさんのスカートの中に手を入れておらず、陰部に指を入れるなどしていない。もしあったとしても、被告に性的な意図はなく、かつマッサージの一環だったので、無罪です。起訴状2について、被告は被害者Bのズボンの中に手を入れておらず、陰部を押したり、ブラジャーの中に手を入れるなどしていない。もしあったとしても、被告に性的な意図はなく、かつマッサージの一環だったので、無罪です。」

裁判官:「被告の責任能力については?鑑定留置は無いということでしょうか?」


弁護人:「現在の被告人の精神状態から、鑑定留置に耐えられないかと思います。」

裁判官:「検察官続けてください。」

検察官:「被告は犯行時、被害者に対して『俺は男じゃないよ。女だよ。エステティシャンやね。』などと言い、さらには『やらしい気持ちでやってるじゃないよ。』と言って触った。被害者が嫌がって『もうやめてください』と言い、その場に立ち上がると『ごめん、心は女だから』と言った。
起訴状1の犯行時の日付について、被害者Aさんが6月上旬に心療内科クリニックを受診しており、その時のカルテに『(被害から)2週間経った。(被告が)ヤバかった。レズだった。仲間がいたから乗り越えられた。』と記されているところから、受診日から2週間前の5月中旬としました。
被告の(スマホの)検索履歴には、パンチラ、ギャル、ミニスカ等残っており、また、女性の裸と陰部のアップの画像が残っています。あと画像で、被告人がカツラを被った姿、女装が数点、画像として残っています。」

弁護人:(やや高圧的な態度で)「ちょっといいですか。捜査がいつ終わるのか分からなくて。いつ終わるんですか?」

検察官:「刑事処分が保留になっているのがいくつかあるので、5月末までにできればと。」

弁護人:(イライラした様子で)「じゃあ被害者尋問を進めたりとかはできそうですね。」
裁判官:「わかりました。次回は2つ目の起訴についてです。被告は出廷してください。次回は5月16日、午前10:00からです。」
14:00閉廷


方便として使われる「性的な意図はなかった」

文章だけで見ても吐き気をもよおす、卑劣で許しがたい内容です。
(傍聴に行かれた方々に敬意と感謝を表します)


なかでも私がもっとも驚いたのはこの弁護人の言葉です。

>もしあったとしても、被告に性的な意図はなく、かつマッサージの一環だったので、無罪です

被告に性的な意図がなければ、女性の陰部に指を入れても無罪だ、ということですか?
それも、障害者支援団体の運営者男性が、障害のある女性に対し、
そのような卑劣な行為を行っても?
つまりこれは「被告は心は女性だ」ということが
「だから性的な意図などない。よって準強制わいせつ罪にはあたらない」
という方便として利用されていると解釈できます。

この言い分は流石に通らないと思いたいです。
(※2017年に、「強制わいせつ罪の成立に、性的意図は不要
」「被害者の受けた性的被害の有無や内容、程度にこそ目を向けるべきだ」との判決が最高裁大法廷で出ています。)

しかし、この方便がまかり通るのでは?と弁護に実際に使用してしまえるほど、
「性自認の尊重」が浸透してしまっているということなのではないのでしょうか。

裁判において、弁護士ですらそのような公言を行う社会であることは、
女性全般、なかでも特に
障害者女性や女の子、女児がこれまでより自衛がずっと困難になることを示しています。

「性自認の尊重」とは、無制限にここまで暴走するという証拠です。
海外の事例を示すと、「日本は治安やマナーがいいからこんなことは起きないよ」などと反論されることがありますが、
高石市の事件は遠い海外の話ではありません。
日本の、大阪府の、ごく普通の街に起きている事件です。
日本においても、こうした事件が防げなかったという、最悪の形の証拠です。


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