ある儀式の話 4
これは私が先日見た夢のお話です。 #夢日記
老女が見せた未来
S美は猫に案内され老女の店に来ていた。
先日はS美さんに儀式の様子を見てもらったけど、これからM夫はどのような行動をすると考えるかね?
お兄さんから貰った50万円で術者に何かを頼むでしょうね。
離婚する前の生活ができる方法などあるのでしょうか?
S美は答えた。
よくある話だよ。
M夫さんが術者に依頼した時にどうなるかを見せてあげよう。
老女が言った。
水晶球の中に見えた物は、S美が住むアパートだった。
一人の体格の良い男がインターホンを鳴らす。
インターホン越しに何か話をしたようだ。
S美が玄関を開け出てくる。
しかしその様子は夢遊病者のようだった。
目の焦点は定まらず、自分で歩いているが人形のようで自分の意志で動いているとは思えない様子だった。
アパートの隣の空き地にM夫が車を止めて待っていた。
そのままS美はM夫の車に乗り込みどこかへ行った。
場面が変わり水晶球の中の世界は、以前M夫と生活していた家になっていた。
S美は何も言わずに黙々と家事をこなしていた。
しかし動作はやはりぎこちなく、自発的に行動しているようには思えない動きだった。
S美は顔を上げた。
老女が言う。
S美さん、あなたはこのような未来を望むかね?
M夫さんとの生活はもうこりごりです。
S美はきっぱりと答えた。
もう1つの可能性もあるよ。見てみるかい?
老女はそう言い水晶球の中を見るように勧めた。
先ほどと同じS美の住むアパートが見えた。
ただし玄関の前には先ほどの体格の良い男とM夫が立っている。
そこへS美が帰ってきた。
玄関前でM夫と口論になる。
体格の良い男が小声で何かを唱えた。
その途端にS美はM夫を階段から突き飛ばして落とそうとした。
口論を聞きつけ野次馬が集まってくる。
そのうちパトカーも駆け付けた。
S美はパトカーに乗せられて行った。
S美は顔を上げた。
老女は言う。
S美さんはこのどちらの未来も望まないだろうね。
だけど術者に操られるというのはこういう事なんだよ。
この未来を回避する方法はあるのでしょうか?S美は老女に尋ねた。
いくつかあるよ。一番簡単で確実な方法を教えよう。
それは所定のエリアの外に避難する事だよ。
ただし出かける直前になって突然何か思いついても、それに従ってはいけないよ。
特に予定の日の2日前から当日までの間、思考が乱されるだろう。
ガスの元栓が気になったり、当日急に行き先を変えたくなったりするだろう。
でも最初にたてた計画の通りに行動する事だよ。
S美さんは先日もH氏に言われただろう?
夕方まで市外へ出ているようにと。
無事市外に出たらその場で行動を決めるのは問題ないよ。
その代わり時間まで戻ってきてはいけないよ。
これからM夫さんが何か言ってくるだろう。
だけど何を言ってきても絶対に接触してはいけないよ。
術者と距離が近くなればなるほど危険が増すからね。
十分に気を付けるんだよ。
わかったら今日はもう帰りなさい。
S美は老女の店を後にした。
お墓の話
H氏から電話が来た。
S美さん、A霊園のお墓の区画番号はわかりますか?
A霊園にはS美の母Y子の墓がある。
管理費支払いの紙に書いてあったと思うのですが、覚えていません。
場所はわかりますか?
いつもこの辺りだったな、という感じで行くのですが、毎回隣の区画と間違えるのです。
行ってみて、見つからない。だったらこっちの区画と言う感じで、あったあったという具合です。
現場へ行けば見つけられますから。とS美は答えた。
N家がS美さんの先祖も利用しようとしているので注意してください。
M夫さんはS美さんのお母さんの名前も知りたがっています。
そう言ってH氏は電話を切った。
離婚した元嫁の実家の先祖を利用すると聞き、呆れるしかなかった。
数年前、N家の先祖供養もしておいたほうが良いと阿舎利さんに言われてS美の先祖供養と同時期にやってもらっていた。
この事は元夫のM夫にもN家にも何も言わずに行った。
あの時は阿舎利さんに、嫁としてやっておいたほうが良いですよ。と言われたのでお願いしたのだ。
この阿舎利さんとは数年前に不思議なご縁でめぐり逢い、良くして頂いている。
N家のお墓は見た目は綺麗になっているが、先祖供養と言う点ではほとんど何もされていなかったらしい。
いろいろな霊のたまり場になっていたと聞いている。
しかし離婚後から数年間にわたりしつこくN家やM夫から術師を使っていろいろされているが、先祖供養をしているのでN家の先祖を敵に回すことは無いと聞かされている。
元嫁の先祖まで利用しようというのには本当に呆れてしまった。
そんな事をする前に自分の先祖供養をしたほうが良いのでは?と他家の事ながらS美は思った。
金曜日に来るよ。と誰かが耳元でささやいた。
木曜日の朝
目が覚める直前、夢を見ていたはずだがあまり覚えていなかった。
ただT子さん、怖い。T子さん、怖い。とつぶやきながら目が覚めた。
T子さんとはS美の母であるY子の母親、つまり祖母である。
A霊園に埋葬されているのはY子だけで、先祖の墓はS島にある。
なぜS美がT子さん怖いと言ったのかは、過去いろいろありすぎたからなのだが一番の理由はT子が他界して10年ほど経過したある時、S美はT子に呪い〇されそうになったからだ。
この話はまた別の機会にするとして、そういう事情があるからS美はT子を避けている。
H氏から電話が来る。
明日1日市外へ避難していてください。
夕方には戻ってきて大丈夫です。
金曜日の事
S美はH氏のアドバイスに従って出かけることにした。
急な事なので完全にノープランである。
結婚して35年間、山奥に引きこもっていたS美である。
久しぶりに出かけたら、あっちもこっちも大きく様変わりしていた。
完全に浦島さんだと自覚したS美である。
大きく様変わりをした街並みを見るだけでも結構時間を潰すことが出来た。
帰宅するとH氏から電話が来た。
後日老女の店へ来てほしいという話である。
S美は猫に案内され老女の店にいた。
水晶球の中を覗くように促される。
どうやら霊園の前らしい。
M夫と一緒に体格の良い男が居る。
一緒にいる男は術者だろう。
二人は霊園の前にほぼ1日居たようだがそのまま帰っていった。
老女が言った。
近日中にM夫が何かを言ってくるだろうけど、十分に注意するんだよ。
今日はもう帰りなさい。
S美は老女の店を後にした。
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注意:この話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
読んでいただきありがとうございます。 アトリエを無事引っ越すことが出来ましたが、什器等まだまだ必要です。 その為の諸費用にあてさせていただきます。