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ある儀式の話 2

これは私が先日見た夢のお話です。 #夢日記


H氏からの電話


S美の電話が鳴った。
H氏からだ。

S美さん、来週の木曜日から土曜日までの予定はどうなっていますか?
木曜日は家に居る予定です。
金曜日と土曜日は少し遠くに外出の予定が入っていますけど。

では木曜日は朝から1日中、誰とも接触しないでください。
宅配さんも留守と言う事で日時を変えてもらってください。
電話も出ないでください。
ネットを見るのは良いですが、イイネなど足跡を付けることはしないでください。
金曜日と土曜日は夕方まで市外へ出ていてください。
出来ますか?

はい、わかりました。
H氏との電話が切れた。
週末は随分前から少し遠くに出かける用事が入っていた。
帰りの時間をちょっと遅くする必要はあるけれども、全く問題がない。
そしてH氏からの連絡は、ああいう言い方をしているがほぼ絶対守ったほうが良い結果になる。

木曜日


いつも通りの家に居る1日が始まった。
所定のサイトはログインしてしまうと、いつもの習慣でイイネをつけたりコメントを書き込んだりしてしまうだろう。
通常はパソコンで所定のページを開きっぱなしにしているので、常にログイン状態になっている。
以前はログイン状態が他者から見える仕様になっていたが、今はそれを開く方法がわからない。
Webは最低限しか開かないことにした。

昼食の準備をしていたら突然、ドンドンドン!と大きな足音をたてて階段を誰かが上がってくるように感じた。
一瞬誰かに
出てこい!そこに居るのはわかっているんだ!
そんな風に言われた気がした。

とっさに台所の窓を開けて、外の様子を見ようと思った。
しかし今日はH氏から釘をさされている。
S美は自分自身に言い聞かせた。
まずは落ち着きなさい!状況の確認をしなさい!
そして深呼吸をした。

ネットを見るだけなら許可されている。
Xを開き、所定のアカウントで何が発信されているのかを確認した。
このアカウントは地震や災害情報などを常に発信してくれている。
12時12分に地震があったようだ。
S美の住んでいる地域は震度3だという。

とりあえず地震情報が出ていたので安心した。
しかし地震に慣れているS美としてはどうも不思議な気がしていた。
音は大きかったが床の揺れを感じなかったからだ。

無事に何事もなく木曜日が終わった。

男たちの会話


S美はフルメ駅に来た。
改札を出たら黒猫が待っていた。
あら、お迎えに来てくれたの。とS美は猫に声をかけた。

猫は歩き出し、S美もその後をついていった。
路地を抜け、H氏の骨董店の脇の階段を猫は降りて行った。
店の扉の前で猫はニャーと鳴いた。
扉が開き、先日の老女が出てきた。

こんにちは。とS美は挨拶をした。
老女はご苦労様と猫に声をかけ、おやつを与えた。
S美さん、先日の席に座って待っていてください。
老女に言われS美は席に着いた。

老女は水晶球を差しだし、中を覗くように促した。
水晶球の中には今いるお店とよく似た光景が広がっていた。
5人ほどの男性が何やら話をしている。
服装はTシャツにジーパンの者もいれば、スーツ姿の者もいた。

T地区で何か変わった動きは無いかね?
と一人の男が口を開いた。
なぜそんな事を聞くのかね?
実はあるクライアントから相談を受けているんだよ。
その女性はN家の男と結婚して、数年前に離婚をしたのだけどいろいろあってね。

N家だって!?
よく生きて離婚できたね。
N家ってそんなに名前が知られているのか!?
あぁT地区だとうちらの間では、N家とあと2つの家が有名だね。
N家の嫁は長生きできないんだよ。
若いうちに癌で他界する嫁が多いはずだよ。
だからN家の嫁は県外からもらう事が多いんだ。
女性を鬼に捧げて繁栄してきた家だからね。

N家の仕事を引き受けていたのは○○じゃなかったか?
最近○○は見ないけど。
おいお前、○○の事を知らなかったのか?
N家の仕事を失敗してこれだって話だよ。
一人の男が首に手を当て首吊りのしぐさをした。

そう言えば〇〇屋に子牛のオーダーが入ったって店員が言っていたな。
〇〇屋に子牛のオーダーってことは7日間のあれをやるって事だよな。
関わりたくはないけれど、厄災に備えて待機しておいたほうがいいな。

S美は顔を上げた。
老女は言った。
知らなかったとはいえ、とんでもない家と結婚したんだね。
今日はもう帰りなさい。

S美は店を後にした。

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注意:この話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

読んでいただきありがとうございます。 アトリエを無事引っ越すことが出来ましたが、什器等まだまだ必要です。 その為の諸費用にあてさせていただきます。