ある儀式の話 3
これは私が先日見た夢のお話です。 #夢日記
M夫の行動
S美は猫に案内され老女の店に来た。
老女は言う。
S美さん、今日はあまり良い話ではないけれどこれからの人生をどう選択するか、それを考えるためにあなたはこれを見たほうが良いよ。
そう言って水晶球を差し出した。
水晶球の中では20人ほどの山伏のような服装をした男性と、M夫やK夫たちがいた。
先日見た儀式の続きのようだ。
薪をくべて火を焚いているので、時々パチパチと音がしている。
それと同時に違和感のある場違いなガサゴソ、バリバリという音を感じた。
S美はその音が何なのか最初はわからなかった。
しかし音の正体に気付いて呆れるしかなかった。
元夫のM夫が煎餅の袋を開ける音とそれを食べる音だったのだ。
ビニール袋の中にあるトレーのガサゴソと言う音と煎餅を食べる音が、違和感とともに耳障りな音に聞こえてくる。
作業をしている男の1人が静かにしてくださいと注意をしてきた。
M夫はそんなに大した音じゃないし、火だって焚いているのだからその音と大差ないじゃないかと反論をしていた。
S美は顔を上げた。
あまり愉快な物ではないけれども、今日はいろいろと見てほしいのだよ。と老女は言った。
水晶球を覗くと先ほどの儀式の続きらしい光景が映し出されていた。
K夫がM夫にお金を渡している。
2万円くらいと見える。
しばらくしてM夫はケーキを20個ほど買って戻ってきた。
M夫は一人でケーキを食べ始めた。
K夫の孫らしき女の子が1個頂戴と声をかける。
女の子の年齢は小学校高学年くらいに見える。
いきなりM夫が怒鳴りだした。
俺のケーキを取るんじゃない!
欲しかったらお前が買ってこい!
そして物凄い勢いでケーキを一人で食べだした。
ケーキの周りを包んでいるセロファンを長いまま舐めている。
セロファンに付いていたクリームやチョコレートを、顔や手や服にベタベタと付けていた。
その姿は大人の人間とは思えず、猿か何かがガツガツ食べているように見えた。
その姿は餓鬼にとりつかれているとしか思えなかった。
呆け老人の事を二度童子(にどわらし、2回目の子供)と呼ぶ地域があるらしいがその言い方に納得してしまった。
手や顔や服をクリームだらけにしているのを、K夫の息子のお嫁さんが見かねてウエットティッシュか何かで拭いてくれていた。
S美は思わずお嫁さんに対して、ご苦労様と思ってしまった。
M夫と同席するのが恥ずかしいと感じたからだ。
不協和音
S美がため息をついている間に場面が変わっていた。
水晶球の中ではS美の魂を縛り、人形の中にその魂を封じ込める儀式が行われているらしい。
K夫の息子がいきなり叫びだしたのだ。
こんな事をやって何になるんだよ!
こんな事で幸せや繁栄が来るはずがない。
もう終わりにしようよ。
そして半額返してもらおうよ。
こんなことに700万円も使うなんて馬鹿げている!
K夫は息子を殴り、言った。
俺の金だ!俺が好きに使って何が悪い!
M夫は俺の10万円が・・・
俺の10万円が・・・
兄貴が俺の10万円を取ったんだ!
と泣いている。
M夫はS美が戻ってくれば生活費10万円をS美に入れさせ、家事その他もS美にやらせれば自分は楽ができると考えているようだ。
M夫はS美と離婚する前の生活に戻る事だけが願いで、鴨が葱をしょって家政婦をしてくれることを望んでいる。
儀式の失敗
一人の男が人形を鬼の前に差し出した。
この中にS美の魂を封じましたのでお受け取りください。
しかし鬼は言う。
どこに魂が入っているというのか?
これは空っぽじゃないか!
周囲の空気がピリピリしてきた。
ここで鬼に機嫌を損ねられると大災厄が起きかねない。
それだけは何としてでも避けなければいけない。
明日には何としてでも魂を封じ込めますのでもう一晩だけ時間をください。
作業をしている男たちも必死である。
一晩だけだぞ!
鬼は答えた。
儀式の終わり
男たちはS美の魂を縛り、所定の人形に無理やり入れようとしたが、S美を見つけることができなかった。
男たちは鬼に無事に帰ってもらうように儀式を進めた。
鬼は言う。
あの娘の初めてを貰う事で今日は帰るとしよう。
K夫の孫が指名された。
K夫は孫を差し出すからN家の繁栄をお願いしますと言う。
鬼が答えた。
あの娘ではお前の願いはつり合わない。
あの娘の魂が幼なすぎるからだ。
N家の者が皆がっかりしていた。
俺の10万円が・・・天は俺に味方している!
S美の魂を縛る事が出来なかったので、望みはあるとM夫だけは上機嫌だった。
ここに50万円あるから上手に使えよ。
そしてこれが最後だ。
みんなの前でK夫がM夫に言い封筒を手渡した。
S美は水晶球を覗くことをやめ、大きくため息をついた。
疲れたかね?
老女が声をかけた。
とりあえず今日はもう遅いから帰りなさい。
そう言われてS美は店を後にした。
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注意:この話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
読んでいただきありがとうございます。 アトリエを無事引っ越すことが出来ましたが、什器等まだまだ必要です。 その為の諸費用にあてさせていただきます。