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ピューター(低融点合金)での鋳造手順
はじめに
低融点合金と耐熱シリコン型を使用した鋳造は、
鉄やアルミに比べて手軽に金属製品を作成できます。
ですが、火や溶けた金属、工具などを扱う性質上、
安全に配慮した作業が求められます。
その点をよく考え、何があっても自己責任の精神で作業を行ってください。
当記事を参考にし、損失や損害が発生した場合でも当方は一切の責任を負いかねます。
準備する物
鋳造したい物(原型)
シリコンで型取りして鋳造するため、ベースになる物が必要になります。
私は光造形の3Dプリンターで出力したものを使用しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1704429768333-cBO4jGoefn.png?width=800)
その他の道具などはAmazonの欲しいものリストにまとめました。
型の作成
まずは鋳造したい物の原型をシリコンで型取りします。
型取りに使うシリコンは必ず耐熱の物を使用してください。
また、シリコンが飛び散ってもいいようにビニールや新聞で養生し、換気しながら作業してください。
![](https://assets.st-note.com/img/1704432317772-RgmMBnGPI0.png?width=800)
レイアウトの確認
ブロックを組み、だいたいのレイアウトを確認します。
サイズは若干余裕を持たせておいた方が金属が漏れ出るリスクを減らせます。
![](https://assets.st-note.com/img/1704432404643-0Y9eT9lQTd.png?width=800)
枠に粘土を敷き詰める
だいたい平らになっていればOKです。
![](https://assets.st-note.com/img/1704432549590-T1UDWkTJ5Y.png?width=800)
原型と湯路を埋める
半分くらい粘土に埋め込みます。
軽く粘土を掘ってから押し付けると上手く行きます。
粘土が荒れてしまった部分はスパチュラで慣らしてください。
湯路(金属が流れる部分)はグルースティックか
ストローに粘土を詰めて使用すると丁度いいかと思います。
現時点で湯路と原型は繋がっていなくても大丈夫です。
型取り後に繋げます。
埋め終わったら型の位置合わせ用に小さい穴を開けてください。
写真では深めの穴が開いていますが2~3mm程度の深さで大丈夫です。
![](https://assets.st-note.com/img/1704430090824-bIgoLiLNCa.png?width=800)
シリコンの準備
必要なシリコン量の計算方法についてはざっくり計算になりますが
型の縦mm×横mm×高さmm÷1000=必要gとなります。(片側分)
写真の型でいうと縦80mm×横80mm×高さ20mm÷1000=320gになります。
適当な入れ物にシリコンを注ぎ、硬化剤をよく混ぜます。
混ぜる量はシリコン100gにつき硬化剤3gです。
シリコンを流し込む(表)
シリコンを混ぜ終わったら型に流し込んでいきます。
一気に流すのではなく、糸状に垂らしながら注ぐことで
原型とシリコンの間に気泡が出来るのを防ぎます。
詳しくは動画を参照してください。
エアブラシを持っている場合は、原型にシリコンの薄い膜ができるように
エアを吹き付けてやると、より気泡の発生を防ぐことができます。
原型が見えなくなった辺りで残りのシリコンをゆっくり注いでください。
![](https://assets.st-note.com/img/1704434892456-6C9TrRa7MT.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1704436662948-MwDBtnQrvn.png?width=800)
粘土を剥がす
シリコンが完全に硬化したら粘土をゆっくり剥がします。
原型まで剥がさないように注意して作業してください。
![](https://assets.st-note.com/img/1704436728459-MlRm5RfELd.png?width=800)
シリコーンバリアーの塗布
⚠️この作業を忘れると型が分割できなくなるため作り直しになります!⚠️
シリコン面に満遍なく塗布します。
完全に乾いてから次の作業へ進んでください。
シリコンを流し込む(裏)
シリコーンバリアーは塗りましたか?
表と同じように流し込んでください。
![](https://assets.st-note.com/img/1704437429675-t8LaTETQQ2.png?width=800)
型の分割
シリコンが完全硬化したらブロックを外して型を分割します。
裂けないようゆっくりと少しずつ分割してください。
![](https://assets.st-note.com/img/1704437533693-4ShFUMONxZ.png?width=800)
注ぎ口、ゲートの作成
下の写真の〇部分のシリコンをカットします。
彫刻刀があると便利です。
![](https://assets.st-note.com/img/1704438082237-NLwJjB9XoB.png?width=800)
これで型の作成は完了です。
鋳造
しつこいようですがケガをしないよう十分に注意して作業してください。
必ず耐熱手袋を着用し
段取りを確認してから
融けた金属がこぼれても大丈夫な場所で作業
型とピューターの温度は高すぎても低すぎてもきれいに造形できません。
このあたりは温度計がない場合
トライ&エラーでやっていくしかありません。
充填しきってない場合は温度が低すぎ。
表面に結晶が見えて黄色っぽい場合は温度が高すぎ。
下の写真は型とピューターの温度に対する結果です。参考にしてください。
![](https://assets.st-note.com/img/1704438507319-d47jpdyoCc.png?width=800)
ピューターを融かす
鍋にピューターを入れて火にかけます。
強火で加熱すると温度が上がりすぎてしまうため
弱火くらいでじっくり温めた方が良いです。
300度近くまで加熱する必要があるため
温度センサーが付いているコンロの場合止まってしまうかもしれません。
離型剤の塗布
型に離型剤としてタルクを塗布します。
塗りすぎかな?と感じるくらい多めに付けた方が上手く行きます。
2~3回ピューターを流したらもう1度塗布してください。
型の固定
板で型を挟み、バークランプで固定します。
ピューターが漏れ出るのを防ぐため
四隅をしっかりと固定してください。
輪ゴムでの固定は絶対にしないこと!
高温で溶けてしまうため危険です!
ピューターを流し込む
まず最初は型を温める為にピューターを流し込みます。
落ち着いてゆっくりと流し込んでください。
ピューターが固まったら直接触らず、ペンチなどを使い取り出します。
再び型を固定し、ピューターを流し込んでください。
型の温度が低かったり、ピューターを勢いよく流し込んだりすると
成形不良が出やすいです。
こぼれた場合
万が一こぼれても直ぐには触らずに
一旦落ち着いて冷え固まってから除去してください。
必ずこぼれるものだと思って作業した方が良いです。
金属製のトレーなどがあると安心です。
![](https://assets.st-note.com/img/1704440231891-us0CkI57xS.png)
取り出し
だいた4分も待てば完全に固まります。
もし固まらない場合は金属の温度が高すぎるかもしれません。
取り出す際は直接触らずペンチなどを使い
安全のため完全に冷えてからニッパーでゲートを切ります。
高温の金属を水に入れると高温の液体が飛び散り危険なため
絶対やらないこと。
表面仕上げ
鋳造してそのままだとバリやゲート跡が残り見た目が美しくないため
仕上げ作業が必要になります。
ピューターは柔らかい金属なので削りすぎに注意してください。
また、金属粉を吸い込まないようマスクをして作業してください。
まず400番のヤスリでバリ、ゲート跡を除去し
600~1000番くらいで磨いていけばきれいになります。
百均で売っているネイル用のポリッシャーは光沢仕上げにおすすめです。
ギラついた感じに仕上げたければ真鍮ブラシで磨いてやるといいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1704442499212-gBc7QjwT9d.png?width=800)
おわりに
何度も言いますがくれぐれも怪我のないよう注意して作業してください。
分かりにくい箇所があれば聞いて頂ければわかる範囲でお答えします。
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