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今朝の月/シロクマ文芸部

今朝の月と目があった。階段を上がり道路に出た時だ。
私は視線を逸らした。
恥ずかしいから、見てほしくない。

地下鉄の駅から私は地上にでる。
彼は反対側から地上に出る。
昨夜の名残りを残してはいけない。すべて身体から抜け落ちるように
歩いていく。
それなのに、月は私を見ている。

その時、

『私が引き受ける』

って声が聞こえた。

『あなたは私を許してくれるの?』

月を見てみる。
月はそれでも、そこにいるだけ。

『いつでも、誰でも許してきたの。
私が朝に残っているのは、それが理由。だから、あなたも許してあげるの』

月に許された私は家に帰る。
夫が出社する時間を見計らって
家に帰る。
今朝の月のおかげで私は自分を
取り戻す。エプロンを着けた。



LINEが鳴る
『家に着いた頃かな。僕はまだ昨夜の余韻に浸っているよ』




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