【随筆】おかっぱ頭
ちびまる子ちゃんみたいに、
幼い頃、私の髪型はおかっぱ頭だった。
でも、髪はすぐ伸びる。前髪が、目にかかるくらいになると、
母に前髪を切ってもらっていた。
『お願いだから、曲がらないで』と
いつも願っていた。
前髪くらい家で切るモノだと思っていた母は、たぶん、
「大丈夫。曲がらないから」という、どこから来るのかわからない自信があったのだと思う。
出来具合は、必ず曲がっていた。
最初は上手くハサミが入る。2回、3回と切っていく途中から、ハサミが流れて、曲がって来るのだ。
最後に必ず曲がってしまう。
だからって、それに合わせようと、
また切り出すのは、絶対、失敗するから、
「もういいよ。ありがとう」
『ありがとう』が嬉しかったのか、
母は、曲がったことを謝り、気持ちよく、カットを終えられる。
鏡を見ると、時々、ため息をつきたくなったけど、私はその頭で小学校に行った。
後ろが長くなった時は、父の通っていた床屋さんに行った。
床屋に行くと、カットの他に顔剃りがあって、私は怖くてじっとしていられない子どもで、随分と床屋のおじさんに怒られた。
顔剃りが終わり熱いタオルを当てられた時は、さっぱりして、
すごく気持ちがいいのに。
小学1年の時、同じクラスにちかちゃんという友だちがいた。ちかちゃんの前髪は、いつも真ん中が立っていた。
その姿が可愛くて、私はちかちゃんが大好きだった。
あの頃は、おかっぱ頭の子が多かったなーと思う。
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