ハガキ職人はずるい

「ハガキ職人はずるい」という文言を目にすることがあるんです。

それを書いた方、気が合いますね。おれも常々思ってたんです。ハガキ職人って『ずるい』んですよ。今日はそんなことを書いてみようと思います。


・パーソナリティに認知されていてずるい
・優先的に読まれていてずるい
・Twitterにフォロワーが沢山いてずるい

ハガキ職人がずるいとされる理由として挙げられているのはざっとこんな感じでした。もっとあったら教えて下さい。
ただ、個人的には、このへんの理由って全然『ずるい』の内に入らないと思ってます。

パーソナリティに認知されたのは、長く沢山のメールを送り続けたから
優先的に読まれているのではなく、採用されなくてもめげずに何十通、何百通も送っているから
Twitterのフォロワーが多いのも、ネタメールからは窺い知れない人となりを知りたいと思われているから

すべて理由があってのこと。全然ずるくないです。
じゃあ何をもっておれは『ずるい』と思うのか。

この話をするにあたって「で、お前はハガキ職人の立ち位置なん?どっちなん?」という問いが不可避的に付き纏うんですが、正直おれは自分のことをハガキ職人(メール職人)と認めていません。
そのように扱って頂いたことはあるかもしれないけれど、自称したことは無いです。
深夜ラジオにメールを送り始めたのが2016年。当時からずっと、数多の長文奇文怪文を定期的にラジオ局に送り付ける厄介者のスタンスでいます。そしてこれからもそうです。

とはいえ、こういった文章を書く以上、(おれはハガキ職人じゃないから外側から批判できるよ〜)みたいな構図をとるのはクソダサいと思うし本意ではないので、一応自分をその括りの中に含めて、なにが『ずるい』かを書き連ねていこうと思います。


まず、多くのハガキ職人って本名も顔も出してないんですよ。御多分にもれずこのおれも。
あれずるいですよね。Twitterにごまんと溢れる匿名アカウントと一緒ですもんね。実際に舞台に立って笑いを提供している芸人さんとの大きな差だと思います。

例えば、おれが犯罪で捕まってもリスナーさんにはバレないだろうし、もし不慮の事故で死んじゃっても気付かれはしないでしょう。ラジオへの投稿が滞ってることや、Twitterの更新が減ったことに疑問を持つ人がいたとしても、それ以上は気に留める事なく日常は続くはずです。儚いもんです。

あ、夕方のニュースでおれの顔写真が出たら、会ったことのあるリスナーさんにバレたりするかもしれないですね。それはちょっと嫌やな…真面目に長生きしよ…

ただ、仮に、"ラジオ界"という世界があるとするなら、そこには確かに『ラジオネーム 〇〇』としての人格は存在するんやと思います。番組に届いたメールを手がかりに各々が作り上げた人となりに、補完的にSNSの情報が合わさって、ひとつの人格ができあがる。
そんなラジオ界での繋がりが現実世界に反映されることは往々にしてあるし、リスナー同士の関係から友達になった!付き合った!みたいな話も聞いた事があります。不思議なもんです。

それでいうと、ハガキ職人は、現実に目の前にいる大勢の人に向かってネタを発表してる訳じゃないんですよね。これもずるいです。

考えてみて下さい。50人、100人のお客さんの前で舞台に立って用意してきたピンネタを披露するとなれば、足は震えるし声も上ずるでしょう。
ダンスサークルのイベントの余興で、だだっ広いホールの壇上に上げられ、100人以上のメンバーを前に、何をやってもスベる雰囲気の中で一発ギャグをさせられたおれは未だにその雰囲気を覚えてますもん。トラウマ級。いやそんなんと一緒にすな。

人前に立たなくたって、ラジオにメールを送れば、電波を通して数多くのリスナーに手早く自分のネタを届けることができる。
それに、向こう側の反応が見えないのを良いことに、(このネタを聴いてる皆が笑ってるかもしれない…)って思い込むことができる。本当ずるいです。


あと、ハガキ職人、そもそも作家さんにメール選んでもらってますもんね。めちゃくちゃずるいです。

選ばれたメールが面白かったら「職人さんって面白い!」に直結。仮に選ばれたメールがつまらなくても、選んだ作家さんのせいにすればいいし、選ばれすらしなかったつまらないメールは世に晒されることなく終わらせてもらえる。時には、没メール供養と称して、自信のあるネタの送信画面のスクショをTwitterにあげてもいいですし。何をやってもセーフティネットがあるんですよ。

無敵やんけハガキ職人。


断っておくと、別にこのnoteを通じて「サイレントリスナーの皆!ラジオにメールを送ってみようよ!」とか「ハガキ職人さんはセーフティネットがあるんだから、そんなに気負わずにメール送っていいんだよ!」とかメッセージを投げかけてるつもりは更々ないです。
好きな距離感で好きなように聴けばいい。聴かなくてもいい。離れた後に戻ってきてもいい。ってかサイレントリスナーって何。リスナーは大体サイレントやぞ。

ラジオ番組の制作側ほど色々頭を悩ませる必要もなく、かたや「聴いているだけ」よりもほんの少し内側にいて、いちばん良い立ち位置でラジオに参加できるのがハガキ職人。

だからおれはずるいと思うし、その名前にずっと憧れて惹かれ続けるんやろうなぁと思った次第です。


最後にちょっと褒めて締めるの、「ずるい」ですよね。


では。

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