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本という名の大樹

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愛すべき物語の枝先に実る果実(作家、物語の背景など)について素直に綴ります。
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#本紹介

【本】時を経て 始点と終点が繋がった話「 ダン吉と小弁の物語 」

 年始に左手の人差し指を怪我してから暫くの間、彫刻の時間を次回作の素描を修正したり、蔵書の整理にあてていました。  とかく本の整理なんぞをしていると、忘却の彼方にあった懐かしい本が、埃を被った古ダンボールの奥底から飛び出してくるので、その度に手が止まってしまうのです。  そんな風だから、さっぱり整理整頓が捗らないわけで … 。   と云うことで、此度も整理の手が止まってしまうくらい懐かしい本が見つかったので、その本を主役に「四十年の時を経て点と点が繋がった話」を綴らせて頂こ

【思い出ぼろぼろ】腑に落ちた一文

 『本』は、新しい知識・知見をもたらすだけではなく、それらを知恵へと変換するために必要となる行動をも誘発させてくれる稀有な存在です。  特に、”本と読み手の化学反応” が起きた時に発生する熱量は尋常ならざるものがあり、それは正にタイミングの成せる技だと言えるでしょう。  此度は、 ”11歳の僕” が朧げに描いていた将来像の解像度を、一気に引き上げてくれた『一文』について綴っていこうと思います。  1:現実と非現実の狭間に生まれた夢  市井の人を自認するこの僕が、建築設計