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手入れする生活(36)本としおり

今日も安定の6時起き。娘が保育園に行ったあと、運営している間借り本屋の、納品準備に取り掛かった。

納品予定の本を並べ、値付けをしていく。汚れをきれいに拭き、納品リストを更新する。前回までの納品リストの一覧と合わせて印刷する。在庫チェックをするためだ。

それぞれの本には特製しおりをつけている。こんな感じだ。

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しおりをつくることにしたのは、何かひとつでも、うちの本屋で本を買ってもらう理由を作りたかったからだ。買ってもらう、というよりは、楽しんでもらうに近い。同じ本を買うだけなら、ネットで探したほうが安く早く手に入る。となり駅に行けば、大きなブックオフがある。近くには図書館もあるから、ただ本が読みたいだけなら、ただで読むことができる。

そうではなくて、本とその人の出会いをどう演出できるか。それが僕がやりたかったことだ。そのきっかけとして、しおりをつくった。

しおりには、表面に僕のお気に入りのその本の一節を抜粋して記載している。裏面には、僕のその本のエピソードやコメントなどが書かれている。そもそも販売している本は、すべて僕が読んだことのある本だけだ。知らない本は売っていない。

僕が運営しているGOOD&SHAREというコンテンツレーベルを始めたきっかけは、自分がいいと思ったものを、他の人におすそ分けしたいという思いからだ。その一環で行っている本屋だから、そもそも読んだことのない本を置くわけがない。

しおり1つをつくるには、時間がかかる。まず本を読まなければ、しおりは作れない。他のこともやりながらなので、1週間に1冊がギリギリのペースだ。数字上では、月に4冊しか出品できなくなってしまう。とは言え、自分がこれまでに読んだことのある本はもっと多いので、もっと早くできそうなものである。実際、そう考えていたので、もっと早いペースでできるだろなんて、高を括っていた。だが、そうは問屋がおろさない。

読んだことがある本でも、内容をしっかりとおぼえているわけではない。ましてや、お気に入りの一節を選ぶとなると、読み直しがほぼだ。読み始めると、そもそも気に入っていた本なくらいなので、読みふけってしまうし、凝り性の僕は、きちんと飛ばさずに読みたくなってくる。そうなると、結局、初めて読むかのように時間がかかる。1日やっても3,4冊というところだ。

読んだ本しか販売しない。
本にはしおりをつける。

たったこれだけのことなんだが、結構なしばりとなって、自分の首をしめているときもある。ただ、やっぱり今日納品して思ったのだ。それでもやる価値があると。しおりを1つ作り上げるたびに、大したことをやった気がしてくる。そしてそれを本屋の本棚に納めるとき、とても輝いてみえる。まだこの本に出会ったことがない人の、素敵なきっかけが作れるといいと思う。

今日納品した本の一部をご紹介したい。

・つるとはな①
・つるとはな②
・つるとはな③
・養老訓(養老孟司)
・地平線の相談(細野晴臣、星野源)
・のうだま(上大岡トメ、池谷裕二)
・ミクロコスモス①(中沢新一)
・三位一体モデル(中沢新一)
・鳩居堂の日本のしきたり豆知識
・50mm(高城剛)

「つるとはな」は、元気なことばで溢れていた。しおりをつくっていて、気持ちがよかった。

本を読んでいると、この一節に出会うためにこの本はあったのだ、と思える瞬間がある。最近読んだ『i』(西加奈子)もそうだった。付箋だらけになってしまうくらい、素敵な言葉たちで溢れかえっていた。しおりも作ったが、納品は次回に。 


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