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作物が余るということ

以前ご紹介した、白子の玉ねぎ生産者支援のtelecookは、30以上のおうちがご参加し、みんなで宇宙一美味しい玉ねぎステーキと甘くてとろとろの玉ねぎグラタンを作って無事に終了しました。今回、生産者さんとtelecookをつないでくれ、過去最短の美味しい料理を教えてくれたびんちゃんが、今回のイベントに寄せて想いを綴ってくれました。

日本全国どこでも農作物廃棄

食料自給率の低下が叫ばれる日本ですが、結構都市部であっても案外生鮮売場の7割近くが隣の隣の県(郊外電車で3時間圏内)くらいの場所から運ばれているのが実情です。というそれくらい、実は沢山の農家さんが私達の生活圏内にいらっしゃいます。
その農家さんが、今ピンチなのは、出荷できない作物の廃棄のニュースでみなさんもご存知のことでしょう。どうやら、同一規格、同一農薬の既存の流通に疑問を持ち、自ら野菜の卸先を開拓した農家さんほど大打撃を受けているようです。自力で販売網を持つためには、小ロット生産小回りがきく野菜を飲食店に直接卸していたのが要因のようでした。
作物ロスのニュースは色んな感情をもたらしますよね。もったいない思い、貧困問題、カロリーベースの安全保障問題、食品需給の安定化などなど。

千葉県白子町のピンチ

そんな世の中の流れが、自分の範囲まで差し迫ってきたのは仕事で関わっている千葉の一大玉ねぎ生産地白子町の新玉ねぎが、コロナ禍の煽りを受けてピンチに陥っているということを知った時でした。ただ玉ねぎは、保存性もあることから白子町産として売れなくても千葉県産として売れるということにはなっていましたが、それよりも白子の農家さんは白子町産というブランドが今年出荷できないという危機感のほうが遥かに上回っていました。

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ブランドを守るために

農業というのは実に現金化までのプロセスがとてつもなく長い事業になります。玉ねぎを例に取ってみても秋口に種をまき、収穫出荷するのが5月初旬というトンデモない長い生産過程を経ます。例えば今年なら、この玉ねぎは千葉の大雨や台風、そしてコロナを経て収穫された玉ねぎになります。これが工場のように部品取り寄せ、組み立てだけならどれだけ楽か・・・ 
白子の農家さんは、さらにこの40年分の積み重ねた努力を、一年限定かもしれないが一旦リセットする必要に迫られました。その痛みを少しでも緩和できないかと、企画させてもらったのが、今回の玉ねぎステーキの会です。最初はこんなに多くの方に参加いただけるなんて、思いもよりませんでした。本当に皆さんに感謝です。

玉ねぎtelecook

農業のためのお願い

そんなみなさんに、さらなる願いがあります。知らない地名の農作物を見かけた際には是非ともお買い上げいただきたいのです。欧米では原産地表示が狭い範囲であればあるほど、ブランド作りに努力している生産地になります。(フランスワインなどでは何番目の畝という表示まであります)日本も同じくで県→市町村→大字という順番で原産地を絞った農作物を作る農家さんが日本各地にいます。もし皆さんがお買い物の時に、聞いたことの無い地名の産地がついた農作物が売っていたら、それはその土地の農家さんがその土地じゃなきゃできない農作物を作り出した証です。どうかその野菜をお買い求めいただき、その土地の場所を調べて家族に教えながら、その野菜を使った料理を振る舞っていただけませんでしょうか?土とつながった会話のある食卓がずっと存在することが、農業の未来をつくりあげることを信じて、お願い申し上げます。


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