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映画備忘録vol.5 オリヴィエ・アサイヤス『パーソナル・ショッパー』

パーソナル・ショッパーとして、センスと抜群の直感を生かしてセレブリティの買い物を代行するクリステン・スチュワート。彼女の瞳が、この105分間という劇映画として極めてスタンダードな時間に透明さを与える。

黒を基調にした美しい服、そして無機質でクールなmac bookとiphoneが、彼女の共演相手だ。それらはシンプルな機能美ゆえに、行間にあるいは表層に利用者のパーソナリティを投影する。

テキスト・メッセージと霊媒師。行間を通じて、自分と向き合うことになるスチュワートの、無駄のないフォルムの美しさ。

それにしてもムードといいテーマといい、同年に公開された黒沢清『ダゲレオタイプの女』との共通点、類似点には驚くばかり。2016年の空気を纏った傑作スリラーだ。

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