地元に近づくほど、重くなる/水晶体に映る記憶
胃の中の食べ物が消化しきれてないのか、乗り物に酔ってしまったのか、自分の周りだけ淀んだ空気に付き纏われているように、気怠い。それは我慢できるほどの不調、ただ、続く理由がなぜなのかわからない。いつもと違うことといえば、私の地元である山形に来たこと。
「腰がさ、痛くないんだよね」
と彼が言ったのは、私が何年も過ごした地元の駅にもう何駅で到着する時だった。大阪出発の数日前から、度々腰が痛いと訴えていた彼が、山形に着くや、嘘のように痛みが消えたという。
「大阪から物理的に離れて