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社会に馴染めないながらも、社会人をやらせてもらっている私であるが、この「質問する」という行為の重要性を日に日に感じる今日この頃である。


対話相手に対してもそうだし、これは自分自身にも重要である。

自分自身に関しては、

「なぜ、犬はいつも舌を出してハァハァ言ってるのだろう?」

「なぜ、マンホールは丸いのだろう」といったように、些細なことに疑問を持つようになると、物事の理解が深まる、と私は考えている。

これについては、もし、質問が陳腐であれば、

「人は何のために生きているのか?」みたいな堂々巡りの中二病状態になってしまう。

(ちなみに、私にとって生きることは、この世を見て、聞いて、感じるだけでいいと思っている)


そこらへんは、頭がいい学生や童話の赤ずきんちゃんなんかがいい例だ。

祖母のお見舞いに行った赤ずきんちゃんは、オオカミ扮するおばあさんに、

「どうしておばあちゃんの耳はそんなに大きいの?」

「どうしてそんなに口が大きいの?」

「どうして毛が生えているの?」

「どうして牙が鋭いのに、周りの人があなたを嫌っている感情に対しては鈍いの?」

「どうして税金納めなくていいと思ったの?」

「どうして今後使わないくせに紙袋をとっておくの?使うこと絶対ないって長年の経験でわからないの?」

「どうして自分は浮気してたのに、東出君の浮気には文句を言っているの?ねぇどうして??ねぇ??」

といった具合である。

現代に生きていれば、加藤ミリヤと同じポジションの歌詞になっていただろう。


対人についてもやはり重要である。

昔、サッカーの試合後のヒーローインタビューみたいなやつで、中田英寿選手(元サッカー選手、現旅人&日本酒勉強家)に対して男性のアナウンサーが、陳腐な質問(多分、「前半、守備がうまく機能してないように思えました」みたいな感じ)に対して、

「・・・・で?? だから何??」

みたいな対応をしていて、「ヒデこわっ」っと思ったことを記憶している。

こんな人には絶対合コンに来てほしくない。

「休みの日何してますか?」

という質問に対して、

「それって答えてどうなるの?ゴールは何?意図は?どんな風に休むかとか、そういう具体的な内容を聞いてくれないと俺も困るわけ。休みに何してるかなんて、その状況によって変化するものだからね。リフレッシュの方法とか、休みは何を食べるかとか、そういうことの方が聞き手にも伝わるんじゃない?シーズンオフとシーズン中かでも休みの過ごし方なんて変わるわけじゃんか?そもそも…(以下略)」

みたいになりそうだもん。


脱線失礼。

あと

「何を聞くか」ということが重要であることと同時に、「質問する」という行為そのものも大切だと思う。

正直、「今更こんなこと聞いていいのかなぁ?」と思うこともしばしばあるからだ。

だから、堂々と質問ができる人間というのは、私からするとうらやましかったりする。


昔を振り返ろう。

予備校に通っていたころの話である。

私は高校時代、ごりごりの男子校だったため、予備校という場所は、勉強を学ぶ、というよりもむしろ、異性をごりごりに意識し、あわよくばどうにかお近づきになれるかもしれない、という、鼻息をふんがふんがと荒くする場所であった。

しかし、人見知り&キスもしたことがなかった高校生の私には、異性と話すというイベントはかなりハードルが高かったことを覚えている。

そこへいくと、男子校では、すでに経験を持っている”非童貞生徒”というのはヒーローのように扱われるのだが、しかも中学生の時にもう経験済みだとかいうともう雲の上のような存在であった。


だがもちろん、高校生で経験をする者も多い。

こういった秘め事は大っぴらにいうものではないのだが、悲しいかな、中には、経験をした途端、性格が変化する人間もいた。


その手の人間はどうなるか?

同年代に対して、”かます”ようになるのである。

スタンスも、1学期までは、我々童貞団体と同じく、非童貞たちに揉み手をして接していたのに、2学期には「俺はお前たちとはもう違う…女を知っているし、大体の女も俺をすきになるのだ…」とモテモテモテ男スタンスになるのである。

そういう人間が、私の高校時代のクラスにいたのだが、正直、いつも私は懐疑的な心持で彼(K君)の話を聞いていた。

偶然にも彼と私は同じ予備校へと通っていた。


K君はさんざん、学校では、「俺はモテル、ナンパ楽勝、女は俺の手のひらの上」というスタンスで話していたが、他校の女子生徒も多い予備校となれば、「ついにメッキがはがれるのでは?」と、裁きの時間が訪れるとワクワクしたものである。

だが、私は衝撃の光景を目にすることになる。

ある授業の終わり、3人の女子生徒がクラスに残っていた。

K君と私と何人かの友人が一緒にクラスを後にしようとしたその時、K君は言った。

「あそこに女の子おるやん!俺、声かけてくるよ!」

そういい放ち、彼は、女子生徒3名のグループの方へ歩み寄った。

私たちは、「いやいや、お前がナンパとかできるんか?」という疑心と、「でももしかしたら、女の事仲良くなれるかも…」という下心が、ごちゃまぜになりながらも、K君の方を見ながら聞き耳を立てていた。

そしてK君が女子グループに歩み寄ると、女の子たちも気が付き、少し警戒しつつも「何?」という視線を向けていた。

そして、1瞬の間の後、K君は質問した。

K君「ねぇねぇ、俺、寺原(昔のソフトバンクの投手)に顔似ていない??」

女子たち「あー似てるかもーーー!!」


…まさかまさか、そこそこに盛り上がったのである。

そして、彼は、女子生徒の一人の連絡先を聞くことに成功していた。

私は、「え?初めて声かけるのにしては、ずいぶん斬新だなぁ」と感心した。


またある時は、予備校のクラスの移動でエレベーターにて、

K君と私の2人だけがエレベーターに乗り込んだ時、彼は先に乗り、優しくも「開く」ボタンを押して私を待っていてくれた。

私は「さんきゅー」と、小さな声で言ったのだが、K君は私が乗った後もずっと「開く」ボタンを押して、ドアをオープンにして待っていた。

私「何しようと?はよ、上に行こうや」

と聞いても無視である。

何だ?何事だ?と思っているとK君が声をついに発した。

「ねぇねぇ、そこの君!エレベーターに乗っていかない??」

『へい彼女、僕の車でドライブしない?』よろしく、エレベーターの前を移動する女生徒さんに対して、颯爽と、彼はエレベーターの相乗りを促した。


いまだかつて、これほどまでに公共の乗り物で華麗にナンパをする男子生徒がいた事を私は知らない。

(因みに、声をかけられた女生徒は、華麗なスルーをしていた!それはそうだろう、他校の知らない男子が2人で乗っているエレベーターから声をかけられるとか、恐怖でしょうよw)

しかし、私はK君から、質問する度胸というものを学んだ。


また別で、印象的だった質問をされたことも覚えている。

大学を卒業する際、仲が良かった高校時代からの友人3人でプチ卒業旅行をしたときの話だ。

お金もなかった私たちは、下道で福岡~広島へ1泊の旅をしようと思い立った。

友人のタシロ君が親から車を借りてくれたので、交代しながら広島への下道トラベルをスタートさせた。

同乗のナカオ君は、免許を持っていなかったので、実質タシロ君と私の2オペレーション体制であった。

ちなみに、ナカオ君というのは、突然「俺、霊感あるんだよね…」と言い放ったり、高校の音楽の授業で行われた一人ずつの歌のテストで桑田佳祐のモノマネを天然でやったりと、不思議ちゃんな部分が時折顔をのぞかせる、非童貞人間(当時)である。


時を戻そう。


広島への道のりは高速を使用すれば4時間のところ、下道ともなると休憩しながらでも6時間以上はかかる自動車の旅であった。

出発の時こそテンションが高く、車内の音楽に合わせて歌ったり、車内から見える知らない街の景色で大喜利をしながらとテンションの高かった私たちだが、3時間もすれば話すこともなくなり地道にゴールを目指した。

道行く風景も、田園風景だったり、海が見えたり、工場地帯を通ったりと様々だったが、やはりトンネルが多かった。

話すことも飽き、沈黙に包まれた車内。

いくつものトンネルを、通っていく我々。


するとふいに、ナカオ君が私たちに質問をした。


「ていうかさ、何でトンネルってわざわざ山の中に作るんだろう?山がないとこに道作ればいいやん。」


衝撃である。


わざわざトンネルを作るがために、山を国道に選んでいるという考えが私にはなかった。

もしかしたら、トンネルを作る背景には、政府とゼネコンの癒着によって、あえて山の中にルートを選び、お金と時間をかけてトンネルを作成していったのかもしれない…

と私は考えたが、一瞬で冷静に戻った。


「んー、多分、トンネル作らなかったら山を迂回するからぐにゃぐにゃで長い道になるから物流に支障がでるからじゃない?」

と私は答えた。

彼は納得したようであった。

私の回答がベストアンサーに選ばれたのである。


小さなことでも、質問する大切さを、ナカオ君から学んだ瞬間であった。


以上、質問する大切さを学んだでき事である。



PS.

かつて、長嶋一茂氏の家の壁に、

「バカ息子」と書かれた事件について、

一茂氏にしたい質問。



「セコムしてますか?」


(※有吉弘行のSNDより引用)



一茂にも幸あれ。

ぐなーい。

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