松下真一「時間と宇宙への序説」の目次など
サイエンス社から1980年刊行。
数式が出て来る。行列(matrix)も。数学(数字)アレルギーの人は読まないだろうなぁ。読み通しはしましたが、全体像は分りませんでした。
「時間と宇宙への序説」をパラっと見ていきます。
松下が自分自身を語っている箇所(第3章 p.136)を見てみよう。
なお、引用文中、位相解析学には、”トポロジカル・アナリシス”のルビが振ってある。
現在では、位相解析学は関数解析学(ファンクショナル・アナリシス)と呼ばれている。
第一章、第二章では、ハイデガーや現象学とか扱っていて、これは文系の人でもハードな内容では。”SZ”と「存在と時間」を表したりと、そうとうマニアック。ぎっくり腰ではなく、ぎっくり頭になりそうなほど濃密。(この文章の最後に、「序説」の目次を載せています)
クオークへの言及は1ページ程。これは時代の制約か。宇宙論と素粒子論が繋がっている・・・と素人ながら捉えていたのですが。(まちがっていますか?)(現在から遡って見ているので、このように言えるのかも)
第四章では膨張宇宙論の他にも定常宇宙論、振動宇宙論にも言及する。序説ということで、様々な宇宙論にも言及したのでしょうか。
ともあれ、とても個性的な本。
松下は音楽家、作曲家でもありました。この本でも音楽にも言及。結語(p.226)にて
第二章末尾p.117などで、”存在論的「時間論」”(雑誌 思想 1979以降、本書執筆時では雑誌 思想での連載進行中)を参照してほしい旨の記述があり、松下自身の時間論はそこで詳しく論じられるのでしょう。松下の自説は本書「序説」でも触れられているようですが理解が及びませんでした。
目次で、全体の雰囲気が届けばよいと思う。(原本は縦書き)
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目次
まえがき
序章
第一章 「時間」とはなにか
第二章 存在論的な「時間」、新しい「時間論」への招待
第三章 光と「宇宙観」の変遷をめぐって
第四章 「宇宙観」の諸相・そのカタローグ
第五章 「時間」の宇宙論的構成および結語
(おわり)