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テコンドーの選ぶ 2022年の漫画BEST3!!!

こんにちは!テコンドーです。

2022年もそろそろ終わるので、今年に読んで最高だった漫画を3つランキング形式で紹介していきます。

選定基準は下記となっています。

  • 発行年は2022年でなくても良い

  • 読んだ年が2022年であればOK

  • 評価ポイントは面白い、面白くないも当然重要だが、
    自分の人生に対する影響度合いなども加味される

それでは早速発表に移っていきます!

第三位 「姫様“拷問”の時間です」

第三位は 春原ロビンソン/ひらけい先生の「姫様“拷問”の時間です」になりました!少年ジャンプ+で無料で読めます!

選出理由

  • 毎週安定したほっこり気分を感じさせてくれるため

毎週火曜日は本作のおかげで少しほっこりした気分で一日を開始することができます。

あらすじ

Wikipediaよりあらすじを引用します。

魔王軍に囚われ、秘密を聞き出すための拷問と称して手厚い待遇を受ける姫様の、ほのぼのとした軟禁生活を描くギャグ漫画。

Wikipedia

拷問というワードが出てくるのでシリアスさを感じるかもしれませんが、中身は超ほのぼのしています。どうぶつの森くらいほのぼのしています。拷問内容も残酷な要素は一切なく、たいてい美味しいものです。拷問を受ける姫様がどのように屈するのかを楽しむ漫画となっています。

この作品の魅力について話していきます。

幸せな世界観の設定

本作の大きな特徴は誰も不幸にならない幸せな世界観の設定にあります。

魔王軍と人間軍が戦争状態であるというシリアスな状況であるが、捕虜であるのにも関わらず手厚い高待遇でもてなされたりと、どこか抜けた設定がゆるさを引き立ててくれます。

拷問官も姫様の喜んでくれる顔がみたい一心で拷問づくりに励みます。

拷問の末に手に入れた情報もほとんど有効活用されていません。

魔王軍親玉である魔王様も見た目と裏腹に人格者であり、幸せな世界を形づくる一員となっています。

読んでいるうちに自然と笑みがこぼれてくるのは確実です。

「姫様“拷問”の時間です」は少年ジャンプ+界の水戸黄門である

本作最大の魅力は、お決まりのパターンを崩さないことによる圧倒的な安定感です。パターンが固定であれば飽きが来ても良いものですが、面白さが減退しないところが本作のすごい所と言えるでしょう。

お決まりパターンは以下のようになっています。

  • 拷問開始

  • 姫様の屈さない宣言

  • 姫様が屈する

  • 魔王様へ報告(ないときもあり)

ほとんどの話がこのパターンを守っています。同じパターンをこすられ続ければ飽きても良さそうなのに、全く飽きません。

このパターンだけでもう2年半も週刊連載を続けています。現時点の最新話が170話目であるため、姫様は170回屈していることになります。

パターンを踏襲することで安心感が生まれます。今日はどんな形で屈するんだろうか。。。読者はそんなことを考えながらページを開きます。

本作は単行本ではなく、連載をリアルタイムで追うことをおすすめします。火曜日のタスクリストに本作を読むことを加えてみましょう。必ず幸せな気分になれるはずです。

第二位 「山形の初恋」

第二位は、大鳥雄介先生が書かれた「山形の初恋」という読み切りになります!!!ジャンプ+に掲載されました。

あまりに好きすぎて、事あるごとに宣伝を繰り返していました。

読み切りではありますがこの作品は本当に素晴らしいので第二位にランクインしました。

選出理由

  • 初恋の苦悩がにじみ出ていたため。

誰しも経験したことのあるであろう初恋ですが、大体苦しいものです。相手の些細な行動に一喜一憂したり、あれやこれやと不安になったりします。
本作ではそんな揺れ動き悩む心理が表現されていました。読んだあとは凄く恋したくなります。

あらすじ

あらすじを公式サイトから引用します。

うんこマンにいじめられ、冴えない毎日を送っている高校生・山形。学校のアイドルである沢城さんに片想いをしていたが、ある日、爽やかイケメンの浅倉が沢城さんにアタックしているという噂を聞き…!?

少年ジャンプ+

うんこマンがかなりパワーワードですね笑

要するに内気な少年が初恋でやきもきするという話です。

あらゆる人間が経験したであろう初恋の美しさ、勇気が余すことなく表現されている名作です。

読み切りとしての質の高さ

上から目線で恐縮なのですが、読み切りとして非常に質が高いなと感じます。

しっかりとした起承転結の構成、読みやすいコマ割り、決めゴマの迫力など、など基礎基本がしっかりとしており、読んでいて飽きずストレスを感じません。基本がしっかりしているから、90ページ弱という比較的短いボリュームの中でキャラクターに感情移入し感動を引き起こすことができるのだと思います。

また、キャラクターも非常に魅力的です。

  • ヒロイン性抜群の沢城さん

  • 不気味な雰囲気を持つ友人の沼田

  • 圧倒的なヒールさで物語に動きを与えるガキ大将のうんこマン

  • しっかりいいやつである恋敵の朝倉

主人公の周りを固めるキャラクターの特徴がしっかりしており、物語を盛り上げてくれます。

また、細かい表現が繰り返されていて、主人公の心情の変化を絵だけで表現している点にも注目すべきです。

主人公の口元の笑みをアップで移すコマが物語の前後で一回ずつあるのですが、その意味がコマごとに変わっており、主人公の成長を表現しています。

本作を読んだ後に感じられる充実感は内容もさることながら、シンプルかつ効果的にまとめられた漫画自体の質の高さが影響しているのではないかと思います。

初恋の苦悩

内容的な話をしていきます。

この作品最大の魅力は、初恋の苦悩が描き切られている点にあります。

青春とは、万能であったはずの自分が、
限定されていく過程を言う。
自分のわがまま勝手が通らないことを、
思い知る時期に当たっている。
だから初恋は失恋でなければならないのだ。

執行草舟 「生くる」

大好きな思想家である執行草舟先生の著作から引用したこの文章に「山形の初恋」のメッセージが凝縮されています。

初恋とは無条件に選ばれていた自己を超え、選ばれるために手をあげることです。初恋での告白は、受け入れられない覚悟をもって挑戦する最初の行動だと言えます。

そこには苦悩が存在します。選ばれない恐怖とは、社会性を持ち人とつながることが宿命である人間が強く感じる根源的な恐怖です。

その恐怖とどのように向き合うのか。初恋を経験したとき、相手を鏡として人は自己と対峙します。「山形の初恋」には主人公である山形の苦悩が描き切られていると感じました。

以下ネタバレを挟むので作品を読んでからご覧いただけると幸いです。

前提共有のために物語の内容を書きます。

沢城さんに恋心を抱いていた山形ですが、なかなか行動に移せないまま時間が経ち、沢城さんがイケメンの朝倉と付き合ったことを知りました。横恋慕されたと朝倉に対して恨みを持つ山形でしたが、朝倉の誠実な性格を知り、恨むに恨みきれなくなります。

そんな中、山形と同じように沢城さんに恋心をいだいていたうんこマンも沢城さんが朝倉と知り合ったことを知ります。激怒したうんこマンは報復として朝倉にうんこを食わす計画を実行することにしました。

朝倉に敵対心を持っていた山形はうんこマンの行動を見てほくそ笑みます。
しかし、朝倉の誠実な人がらを知っている山形は揺れ、罪悪感を感じるようになります。考える中で、行動を起こし続けた朝倉と受け身な態度で決断から逃げ続けた自分自身に気づき、朝倉を批判する権利などないことに気づきます。そして山形はうんこマンから朝倉を守るため走り出します。

物語の内容共有はここまでになります。

山形は沢城さんとの関係性が壊れることを恐れ、一歩踏み出すことができませんでした。受け入れられない恐怖に勝つことができず、行動しない理由を探し、変化が現れるのを待つばかりだったのです。

この時点では山形は選択を行っていないため、沢城さんと付き合える自分と付き合えない自分の両方を選択できる万能な自己を持っていました。しかし朝倉にその万能性を奪われてしまったため、朝倉に敵対心を持つようになりました。

しかし、朝倉と対比するなかで、自分と向き合い自分自身の浅はかさに気づきます。ここで万能性を捨て決断することができなかった自分自身に気づくのです。弱い自分を受け入れたとき、運命が動き出し朝倉を守りに走るという行動を取ることができたのです。

朝倉は違う。あいつは行動した。僕やお前に朝倉を恨む資格なんてないだろ

山形のセリフ

弱い自分を認めることは誰でも嫌であり、苦しみを伴います。しかしその苦悩を乗り越えた先に新しい自分や結果が待っていることを「山形の初恋」は教えてくれます。

如何に自分自身と向き合うことが大事なのかをこの漫画を読むたびに感じます。素晴らしいですね。。。!

他作品の紹介

大鳥先生は「山形の初恋」以外にも、「トムの就活」「フリーダム」「キング」などの多くの読み切りを執筆しています。すべて面白いので是非読んでみてください。

先生の連載作品が登場することが待ち遠しいです。


第一位 「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」

映えある第一位に輝いたのは、赤坂アカ先生の「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(以下かぐや様)でした!!!

ぶっちぎりの一位ですね。。。!

個人的に今年はかぐや様の年だったと言っても過言ではないと思います。
アニメ第三期、劇場版が公開され、原作が終了しました。

大好きだったこの漫画が終わってしまうのは本当に悲しいです。。。

この先この漫画を超えるラブコメが現れるのかが疑問でなりません。

選出理由

  • 漫画・アニメともに最高の出来である奇跡の作品であるため。

  • 恋愛要素・コメディ要素どちらも面白すぎるため。

  • 青春の苦悩を描ききった作品であるため。

あらすじ

あらすじをWikipediaより引用します。

頭脳明晰な生徒会会長・白銀御行と、文武両道で大財閥の娘である生徒会副会長・四宮かぐや。 ふたりは、互いに惹かれ合っていたが、高すぎるプライド故に告白できずにいた。 そして、いつしかふたりは、いかに相手に告白させるかだけを考えるようになっていた。

Wikipedia

かぐや様と白銀会長の恋愛を通した成長がテーマになっているラブコメ作品です。

アニメがとにかく素晴らしい

選出理由の1つ目は、アニメがとにかく素晴らしい点です。

漫画関係ないですが、素晴らしすぎたので紹介させてください。

如何に原作が面白くても、アニメが必ず面白くなるわけではありません。
訳のわからないオリジナル要素が入ったり、雰囲気ぶち壊してコレじゃない感が出てしまったりと、面白い原作を面白いアニメにするのは簡単ではありません。

その点アニメのクオリティという観点では、かぐや様のアニメは格が違うと思っています。桁外れです。

ただ原作を忠実に再現しているだけではなく、アニメ特有の表現を加えてかぐや様という作品を新しい作品へ昇華させています。

演出のアニメ的昇華技術、かぐや様の二面性を表現仕切る古賀葵さんの名演、鈴木雅之さんのOP、特殊ED。。。本当に上げればキリがありません。

本当にアニメを見てほしい。。。それだけ。。。
Primeのリンク張っておきますね。。。

かぐや様はラブコメ界の大谷翔平である

かぐや様において特筆すべきなのは、コメディ、恋愛どちらの要素も一級品の品質を誇っている点です。

ラブコメというジャンルが確立されてから長い時間が経とうとしています。
基本的に日常パートとなるコメディ要素でキャラ同士の関係性を少しずつ構築し、シリアスパートとなる恋愛要素で話を一気に勧めていくジャンルのことです。

古典的作品では「うる星やつら」「めぞん一刻」、最近の作品では「五等分の花嫁」「彼女、お借りします」などが挙げられるジャンルです。

歴史の長いラブコメというジャンルの中で、ここまでギャグと恋愛両方の要素を高いレベルで実現していた作品はそうそうありません。そこが素晴らしい。どちらの面を切り取っても一級品です。

恋愛要素だけ面白い、もしくはギャグ要素は面白いけど恋愛要素はいまいちなラブコメ作品は多々ありますが、両方兼ね備えている本作品はラブコメ界の大谷翔平と言えるでしょう。

ラブコメ黎明期の「うる星やつら」「めぞん一刻」などを見ていると物語の分量比率が恋愛=コメディとなっている作品が多いと感じられますが、近年のラブコメ作品をみていると、恋愛>コメディとなっている作品が多いと思います。

しかしかぐや様では近年の流れ、流行に従わずエンタメとは何かというものに対してむきあって作成したそうです。

一昔前のラブコメは、ヒットしたラブコメを見てラブコメを描く、デッドコピー作品が増えていました。ただ『かぐや様』では時代を前に戻し、もう少し地に足をつけ、「エンタメとはなんだろう?」とちゃんと考えて取り組んだ作品だと思っています。

『かぐや様』赤坂アカが明かす漫画家引退の真相ー 集英社オンライン


流行りを取り入れず、方向性をデザインすることによってかぐや様は独自の強みを手に入れることが出来ていたようです。その結果、恋愛、コメディの両方を突き詰める原点に回帰する形となったのかもしれませんね!

本当の自分をさらけだす

かぐや様の大きな魅力として、非常に深いテーマ性を持っていることも特筆すべき点です。

かぐや様のテーマの一つとして、「自己をさらけ出すこと」が挙げられます。さらけ出すことは2つあります。相手への好意と本当の自分です。

物語序盤では、互いに好意を持っているかぐやと白銀達が、如何に相手に告らせるかで頭を悩ませます。

これは「山形との初恋」の章でも書きましたが、告白は勇気がいります。その恐怖から逃げるため、相手に告白させようとし、受け入れられる恐怖を相手に負わせようとしているんですね。

しかし、物語が進むに連れて二人は自分自身と向き合い、恐怖を乗り越えようとします。その過程が本当に素晴らしい!!!

ただまあそれだけだと他の恋愛漫画でもよくあるので、それだけでは大絶賛とはなりません。かぐや様ではそこから一歩進んで、本当の自分をさらけ出すことにまで踏み込んでいます。そこが本当に素晴らしいと思うのです。


小説家である平野啓一郎さんの著作の一つに「私とは何か」という本があり、その中で提唱されている「分人主義」という考え方があります。
要旨を引用します。

「個人」は、分割することの出来ない一人の人間であり、その中心には、たった一つの「本当の自分」が存在し、さまざまな仮面(ペルソナ)を使い分けて、社会生活を営むものと考えられています。
これに対し、「分人」は、対人関係ごと、環境ごとに分化した、異なる人格のことです。中心に一つだけ「本当の自分」を認めるのではなく、それら複数の人格すべてを「本当の自分」だと捉えます。この考え方を「分人主義」と呼びます。

「分人主義」 公式サイト

分人主義はあくまで考え方の一つですが、人は誰しも「本当の自分とは何か」について考え、一定の不安を持っているものです。そして、「本当の自分を受け入れてほしい」と思っています。

人は環境・状況によって最適な自分を演じます。求められている像や実現したい像などで、個人の人格は細かく変化するのです。人によってはある状況での自分をコンプレックスに感じることもあるでしょう。

本作の主人公であるかぐやと白銀も本当の自分をコンプレックスに感じ、押し隠して生きてきました。相手からの好意を感じる中で、二人は悩み始めます。

本当の自分をさらけ出したときに、果たして相手は自分のことを好きでいてくれるだろうかと。

“本当の自分なんて 一生見せるものかよ”

作中 白銀会長のセリフ

好きな相手には良い自分を見せたいものです。かぐやと白銀も相手を振り向かせたい一心で完璧な自分を演じていました。二人はその自分を本当の自分だと認識しておらず、仮面をかぶった状態だと思っていたのです。そして相手の好意が消えるを恐れ、本当の自分をさらけ出すことを避けていました。

本当の自分を受け入れてほしい気持ちと、本当の自分をさらけ出すことへの恐怖で二人は揺れ動きます。二人は恐怖を感じながらも隠したい自分自身に向き合い、闘うことを選択します。

クリスマスイベント前後を通して上記の内容が進められるため、クリスマス編と呼称しますが、本当にここは素晴らしいです。思春期の恋愛を経験する中で誰しも通る道である葛藤が描き切られています。二人がどういう選択を行うのかは是非漫画を読んでください。

そしてなんと、クリスマス編が今劇場版で公開されています。内容をすべて把握した上で見ましたが、面白すぎました。エッセンスだけに絞られ、苦悩と勇気が余すことなく表現されていました。二回見に行っても全く退屈しないと思います。多分行きます。まじで良かった。

昔は読めばモテるようになる文学として、「若きウェルテルの悩み」がありました。僕は現代人がモテるために読むべき本としてかぐや様を推します。

自己と向き合う苦しみを自分に投影して、同じように乗り越えることができるなら、そりゃモテるんじゃないかと思ってます。僕がモテていないのは読み込みが足りないからだと推察されるため、精進を重ねていきます。

終わりに - 来る2023年に向けて

2022年の漫画を振り返っていきました。
2023年はどんな漫画が現れるのでしょうか。

来年も面白いマンガがたくさん現れるのでしょう!!!
楽しみでなりません。

それでは皆様良いお年をお過ごしください!

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