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鷺宮ローランのサンドバッグになっているときに考えたことの備忘として㉞

 ローランさんに、通信将棋を継続的に指してもらっていて、その数だけ負け続けている。
 そしてその対局中に悩んだ場面が毎局あるのだが、感想戦時に忘れてしまう。その備忘用に記す。

 棋譜はこちら
 本文中の局面図は、すべて後手のわたし視点のものである。


◯33手目▲1五角

33手目図。

 34局目は、相矢倉。後手のわたしがやや急戦をにおわす組み立てから、△4四銀と出たタイミングで、▲2四歩から一歩交換を角で行い、端に引いたところが33手目図。
 先手は角の移動を、飛先の歩交換を兼ねることで手得をしている。
 そしてその角を端に引いた。狙い、というか次の角の移動先候補は2つ。

①▲2六角

 4四の銀、5三地点成り込み、6二地点睨み、7一地点成り込みを狙う。

 先手玉が露出しているので直ぐにはない(はずだ)が、▲4四角と切ってしまう順。
 これに△同角なら▲4五銀~▲3四銀のような潜り込みがめんどくさい。
 また△同歩なら、直ぐにはなにもないが、後手の飛の横利きがそれたタイミングで▲4三銀のような強襲順。
 上述のように直ぐには切らないが、その含みが残る。

 後手は△5五歩 ▲同歩 △同銀 と銀の進出を狙っている。そのタイミングで5三地点が空いてしまうので成り込みが望める。事前に受けるには、まずは△5二飛だが、その場合こちらの攻め筋は5筋からになり、▲5七銀で受けられると即座の突破は難しく、▲5三歩の叩きが気になってくる。
 また△5二金で受ける場合は7一地点が空く。△8一飛がセットになる。
 △6二金で受ける場合は、その金が目標になる。▲6二角成り~▲5三金のような強襲順。

 △3五歩で高い位置で止める手筋はあるが、現段階では一手争い状態ではないので、後にじわっと▲同歩~▲3四歩と伸ばされても嫌味。空いた3四地点に銀や桂香を放り込まれるのも厄介。

 ▲2六角と引かれるとどうも厄介そうである。

②▲3七角

 7三、8二、9一を狙う。
 △5五歩以下の銀の進出じたいは、利きの数の都合上問題はないが、この進出は△6五歩とセットである。△6五歩は無視すると△6六歩あるいは銀とさらなる進出、▲6五同歩は△同桂で応援が利く。▲3七角はこの順を防いでいる。

 単純に桂に紐をつける場合、△8三飛や△7二金、△6二金が候補。
 ただしいずれも桂だけしかカバーしていない。飛自身や香もカバーするなら△◯二金+△8一飛がセット。
 △7二金は安定感はあるが、玉から遠い。将来的に▲6一飛など内側から打たれる順がきになる。△6二金は▲2六角と金を睨み直す。手数が違うが①に合流。

 後手がしたい順の△5五歩からの順のためには、角がどちらに引いても難しそう。なので、△1四歩とどっちに引くのと聞く手はやぶ蛇(将来の▲1五桂を消している意味はあるが)。

◯34手目△5五歩

 △8六歩からの攻めを見つつ、無理そうなら一歩交換で落ち着き、△5四銀と進出する順を見ている。
 1五にいるままでは、現状角は使いにくいはずなので、下手に触らずになにかを求める。
 △8六歩 ▲同歩 △8五歩 ▲同歩 △同桂 が狙い筋。
 ただし現状▲8八銀でそれ以上がないし、そもそも打つ歩がない。
 △5五歩を入れることで歩を補充しやすくなるため、また直ぐに△5五銀と取りに行く前に△6五歩を入れることで幅広い攻め筋が発生する。ただしこれは▲3七角が睨んできて気持ち悪い。

 選んだ以外の34手目の候補としては、△5二飛、△5二金、△8一飛くらい。ただし▲2六角の項目で触れたように、△5二飛は選びにくく、△5二金と△8一飛は▲3七角の牽制が気になる。

◯端角は嫌だったのか?

 直前の△2三歩に、端以外に引く場合はどうか。
 ▲6八角は、現状2四と3五地点くらいしか有意な利きがない。
 ▲5七角は△6五歩以下桂の目標にされる。
 ▲4六角は△4五銀の進出が気持ち悪い。
 歩を交換したあとに角を6八方面に戻るのは、手得ではあっても次の狙いとしては薄そう? なら端に出て▲2六角や▲3七角を狙うのが良さそう。

 遡って、ということは銀が出る前に端歩をつくほうが良かったのか? その場合手数が変わってくる。具体的に△4四銀のタイミングがずれる。そちらのほうが2点で勝ったか? 

 ①角を移動するなら、歩交換を挟んでの移動と違い手得にならない。
 ②角を移動せずに例えば銀移動なら玉が不安定なままなので戦いたくない

 ただし、

 ▲3五歩以下ここで歩交換を狙っての▲5三角成りを見る順がある? 以下△4四銀には角を引いて、前述の3四地点が空いている気持ち悪さが残る。

◯80手目どこに飛を逃げるか

79手目は角金交換に応じた▲6五同金で、その前の着手▲7三銀にたいして
どこに飛が逃げるか、という課題。

 飛当たりになっており、取らせている間になにかできそうな手があるかは不明。△6九角~△8七飛成は4七の銀に紐がついていて不発。72手目△3九角に▲2七飛はおそらくここらへんの変化のため。

 逃げる候補は4つ。8五、8三、8一、9二。
 △8五飛は▲7七桂が予想される。勢いに△6五飛と金を取ると、▲同桂が5三地点に働きかけてくるのでおそらくまずい。
 △8三飛は、最終的に選んだ手。8四での閉じ込めは△6七歩成りから二枚替えコース。▲7四金が予想だけど、そこから△8五飛から△5五飛以下どうか。
 △8一飛は、▲8二銀打でも▲7二銀打でもよくなさそう。▲8二銀に△6一飛は▲6四桂が嫌すぎるし、▲7二銀に縦に逃げるのは▲7七桂に合流、△5一飛はさすがに隠居すぎる。
 △9二飛は、紐がつくので一番邪魔にならないが、攻撃力が不足しすぎる。

◯90手目の選択

89手目▲4七飛。これは銀取りを受けた手の側面が強い。

 ここが勝負どころと判断した。候補は攻めとしてそのまま△4七同角成、△8六歩、△6七歩成、受けるなら△5一歩、△3一玉。

 この局面で手番が先手のとき一番したい攻めは、▲6一(8一?)飛 △5一歩 ▲6四桂 △3一玉 ▲5二桂成 △2二玉 ▲5一飛成? くらい。この最終手で一手、▲4二成桂や金でもう一手、そして今の手番で一手使えることになっている。3手ぶん余裕がある。
 
 こちらの一番率直な攻めとしては、△4七同角成 ▲同銀 △5七角成 ▲パス △6七歩成 ▲8八玉。

 △4七角成から素直に追うと、端歩が開いているために逃げられる。これを止める候補は、先に△8六歩と打っておくか、△6七歩成で応手を求めておく手。
 △8六歩が入っていた場合は、上記手順の△5七角成が詰めろ。
 △6七歩成に▲同歩なら同様に△5七角成が詰めろになりそうだけど、▲同玉のときに判断がつかない。追おうとすれば▲8六玉まで逃げられ、おそらく捕まえられない。
 攻める有力候補は△8六歩。

 △5一歩には、▲2二歩が嫌味。同様に下段に飛を下ろす順のときに、△2二同金の形は壁でダメ。無視で▲2一歩成が入っても狭さは変わらずダメ。ただし手数は稼げている。
 ▲2二歩に△3一玉はあるけど、△3三桂以下続くことと、この間攻めの手を指せていないので条件が厳しそう。

 △3一玉には、おそらく▲2四歩。△同歩には▲2三歩から狭くする。このとき先手がまだ桂を残しているのが嫌。右で底歩に▲6四桂を打たせてからならこの手順は厳しくない。

 先受けの順は攻められて持ち駒が限定されたタイミングのほうが良さそう。ここでは△8六歩を、わたしの最善とする。

 以下予想手順は、△8六歩 ▲6一飛 △5一歩 ▲6四桂 △3一玉 ▲5二桂成 △2二玉 ▲5一飛成 △4七角成。これに▲同銀なら△5七角成が詰めろだが、▲3一角以下詰みがあるかどうか。というか詰んでそう。なので、手順の△4七角成を見送ってもう一手端歩を入れるかどうか。
 あるいは5筋に飛がいるので、5六の銀に紐がついていると見なして▲4七同銀のかわりに▲4二成桂はあるか?

◯以上

 対局中に考えていたことは、だいたい以上である。もちろん一手いって考えてはいるが、わたし自身が重要だと思った点は、という意味である。

 終局後、対局時URLを冒頭に貼った。
 また、ローランさんにこちらを読んでもらい、それを踏まえた感想を頂いた。そちらは後ほど別の記事として書く。

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