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一月一酒 第17回

初出:月刊ハンガリージャーナル 2005年11月号

Chardonnay Selection 2003 Szárkas tető dűlő
醸造所:Gróf Buttler Borászat
産地名:Egri borvidék

 当コラム2回目の登場となるワイナリーGróf Buttlerは、先祖代々エゲルに住むBukolyi家により1999年に歴史的人物バトラー伯爵の名を冠して創設されました。この新しい家族経営による醸造所の目標は、古き良き伝統と最新技術の効果的な結合により、最高品質のワインを生産することにあります。
 目標への第一歩を2000年に20haのブドウ畑で踏み出して後、2003年にも同規模の畑を拓きました。現在40haを超える同社所有のブドウ畑には、エゲル地区の中でも最良とされるSzarkás、Ráchegy、Kis-Eged、Nagy-Egedが含まれます。そしてそれぞれの畑にはエゲル地区に適したハンガリーとフランス原産種の厳選されたブドウが栽培されています。
 ブドウ栽培の行程中、第11回(2005年3月号)で紹介したような考え得る限りの技術が用いられ、最良のブドウが生産されます。そして細心の注意を払って醸造されたワインは、最高品質のバリク樽(オーク材の新樽)にて熟成されます。
 これらの事実一つ一つの結実が既に紹介した“牡牛の血”であり、当然のことながら他の品種によってもハンガリーワインの名をかつての地位に高めることに貢献しています。
 同ワイナリー最新作の一つがこのシャルドネ2003です。それは再現された一般的シャルドネのスタイル、味、香りに満たされているからではなく、真に“エゲルのシャルドネ”を創造したという点において、まさに偉大なワインと言えるでしょう。
 それは流行に乗っているのではなく、一つの普遍的な品質を保持しています。糖分と酸味とアルコール成分の心地良いバランスが、しっかりとしたボディーを持ちながら、クリーミーな舌触りを実現しており、典型的なシャルドネの性質の他にも、新木とシトラスの香りを感じることができます。
 中庸に凝縮された黄金の色合いを持ち、高度に調和された香りの中には、パッションフルーツ、マンゴー、オレンジ、桃、洋梨、コレアンダー、焙煎したピーナッツ、高級オーク材などが含まれ、セミ・スイートの味わい、丸みを帯びた酸味、くっきりとしたアルコールの風味を伴います。
 しかしながら上述した様々な特徴のおかげで、少々高めのアルコール成分は気になりません。
 13-14℃にて飲み頃のGróf Buttlerシャルドネ2003は、生クリームをベースとしたソースによる各種鳥肉料理や魚料理、同じく生クリームベースのパスタ、きのこ類の料理、エビなどを使った料理のお供におすすめです。

原文:Kindl Róbert
画像・訳文:高久圭二郎

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