2023/12/29

修学旅行で覚えているのは、たいてい学校側に決められた『見るべき順路』の外側にあるものだった。バスに揺られてみんなで行った金閣寺も清水寺も、実はあまりよく覚えていない。感動したような気はしている。ただ、「良い思い出だった」と言いながら私が思い出すのはほとんどの場合、夜寝る前のたわいも無い雑談であったり、他の学校の修学旅行生の制服が妙に素敵に思えたことだったり、こっそり順路を外れて寄った茶菓子屋での一杯のことだった。意外と人の記憶に残るものってのはそういうものなのかもしれない。

 記憶するということは難しいことだ。私は、常に「あの時聴いた曲」や「あの日読んだ記事」を探している気がする。Googleの検索欄も、そういう単語で埋まることが多い。曲なんて特にそうで、CDからサブスクになって聴く曲の数は増えたが、「思い出に残る曲」「擦りきれるほどに聴いた曲」は随分と減った気がする。結果、常に何かを探している。

 高校生時代の写真を見て、当時の体験を自分の中で復元することがますます難しくなっていると感じている。どうにもならないことかもしれないが、大学生活もいずれそのような存在になってゆくのだろうか。この数年は、間違いなく私の人生の中で一番楽しい数年だったような気がしている。

とりとめのない話になってしまった。いずれこの記事のことも思い出せなくなって、数年後の自分は探す羽目になるのだ。アーメン。

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