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【特別企画 夏の怪談】ブラウン管の鬼②

 幽霊が見えるのは遺伝かもしれないし、突然変異なのかもしれない。

 サーダカ生まれの人は、一族にもそういう人がいることが多いかもしれない。というか、十人に一人の割合でそうなのだから、そうでない人などいないのかもしれない。だって、血を分けた人というのは、十人ぐらいはいるのではないだろうか。普通は。

 というわけで、サーダカ生まれのものは、親戚筋やらの年長者に同じタイプの人がいるので、アドヴァイスを受けるものらしい。ときには死者から助言を受けるものもいる。

 授業中や仕事中に霊障があると、中座する。だいたいトイレに行く。個室内にこもり、ナニかやっているらしい。祓い、みたいな。そういう方法があるという。私は一度、太った女が個室内で気絶しているのを、同僚何人かで運び出したことがある。煙草の吸殻があったので、ただ喫煙をしていただけなのかもしれない。しかし普通は喫煙中に気絶したりはしないと思うので、やはり何らかの霊的な現象があったのかもしれない。

「すいません。大丈夫です」

 と、気を取り戻した女はそう言ったが、大丈夫じゃないだろう、とみんなが思った。その日病院に行き、西洋医学の検査を受けたそうだが、例(霊)によって、とくに異状なし、となった。異状ないことはないだろう、と私たちは思った。

 よっぽど異状がないと、西洋医学は対応できないのものらしい。

本稿つづく

#夏の怪談
#ブラウン管の鬼
#サーダカ生まれ

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