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【連載小説 中篇予定】愛が生まれた日㊼5人? 奇数では割る(悪)ことができない

 5人? 誰。誰とだれとだれとだれとだれだ。

 西村四郎が言う「5人がいる」とは。10人なら、おれにも分かる。

 しかし何故5人なのか。

 おれは普段「5・3・1・1」の法則を基本にして生きている。この法則は経験・体験上から適当に編み出した統計的理論である。

ある集団がいる。10人としよう。
このうちの5人は普通の人たち、善男善女である。基本的には。
3人は話が通じない。
1人は悪い状況にある。サポートが必要なひと。
1人は天使のような聖人のようなひとである。

「5・3・1・1」の法則

 集団は基本的には5人の普通の人と1人の天使・聖人で、過半数の良い人たちで構成されているので、きほんてきには良い状態にある。

 ただし、5人の普通の人たちはその時の状況・状態によって善にも悪にもなる。仮に5人のうち2人が悪に染まったとする。

 すると、2人の悪と1の悪い状況にある人(この1人が悪の影響を及ぼすことがままある)、そして3人の話が通じない人たち、この人たちは話が通じないのでそもそも善なのか悪なのかわからない、不確定要素で、制御することができない。こうなると過半数が良い人たちではなくなり、集団は不安定になる。

 理想的な集団は、5人の普通の人と1人の天使・聖人で構成され、そしてこの6人で1人の悪い状況にあるひとをサポートすることである。

 だから、おれは話をするときは、この5人の普通の人たちを念頭にはなす。この人たちが間違った方向に行かないようにする。そんなに難しいことではない。良くしようとするのではなく、悪くならないようにすればよいだけだ。そして、1人の天使・聖人(この人に対しては何も言うことはない)と合わせて過半数(6)で1人の悪い状況にあるひとをサポートする。

 悪い状況にある人に対しては、けして一人で何とかしようとしてはならない。複数で行うことが鉄則である。

 3人の話が通じないひとたち。このひとたちは、無視する。だって話が通じないんだもん。おれにはそこまでの能力も時間もない。だからスルーする。

 あるいはこの3人の馬鹿と話ができるのは1人の天使・聖人かもしれない。これについては、おれにはわからない。

 だから。

 だから何だ。

 今の状況は何なんだ。おれはどうすればいい。 

本稿つづく

#連載小説
#愛が生まれた日

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