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終の棲家はどこにある 要介護3

父の終の棲家をまた探すことになった。
小規模多機能施設のショートステイを利用しており、空きが出たら併設されているグループホームに入居するつもりだった。しかし、一晩で100回トイレに行って、対応できないと言われてしまったのだ。

入居予定の施設から入居を断られる

認知症で要介護3の父は、自宅から車で10分ほどのところにある小規模多機能施設のデイサービスとショートステイを利用している。予定では、空きが出しだい併設されているグループホームに入居し、さらに症状がすすんだら特別養護老人ホームに入居する予定だった。

しかし、施設を利用しはじめてから半年ほどたったある日のこと、ケアマネ―ジャーのNさんから、グループホームでの受け入れは難しいと連絡があった。

父は週2回、ショートステイでお泊りをしている。最近、認知症の影響で昼夜逆転の傾向があり、デイサービスではうつらうつら居眠りしているのに、夜はやたらと動きまわり、他の人の部屋に入り込んだりするらしい。

一晩で100回トイレに行く父

一晩で100回近くトイレに行ったこともあったそうだ。さすがに100回は大げさだろうと思われるかもしれないが、十分にあり得ることなのだ。自宅ではそんなことはないし、週1回買い物に連れていくときは小一時間の間に2回程度なのだが、なじみのない場所だったり、やることがなくて手持ち無沙汰になったりするとやたらトイレに行く。

病院に連れて行くと、診察待ちの間だけでも何回行ったかわからなくなるほどトイレに行く。たまに女子トイレに入ろうとしたり、出てから逆の方向に歩き出したり、立入禁止の場所に入ろうとしたりするので、父がトイレにいくたびについていかないといけない。

本当に落ち着かないときは5分に1回くらい行くので1時間で12回、そうすると一晩で100回というのは決して大げさな話ではない。その後、かかりつけ医で安定剤を処方してもらったおかげで、夜間は二度起きる程度に落ち着いた。

しかし、入所を希望しているグループホームは小規模な施設なので、人員の配置が少なく、職員の目を盗んで外へ出て行こうとする父ひとりにつきっきりというわけにもいかないということだった。

老健の入所者はみんな静かでみんな同じに見えた

地域包括支援センターに相談して、ある老人保健施設を見学した。そこは定員が100名で規模が大きいので職員が多い。エレベーターの鍵は職員が管理しているので、勝手に抜け出すことはできない。

中を見学させてもらったが、老人がたくさんいるのに、誰もしゃべらないのでやけに静かで、無表情でみんな同じに見える。父より症状が進んでいる人が多いように思われた。

終の棲家はどこにある


もうしばらく現状維持でいきたいという考えが頭をよぎるが、母の目を盗んで外に行き、行方不明になったり事故に遭ったりするリスクを看過することはできない。母が抵抗を感じるようなら別の施設を検討しようと思ったが、母も「もう疲れた」と同意したので、入所の申し込みをすることにした。

しかし、老人保健施設は在宅復帰を目指す施設なので、入所できる期間は原則3か月。3ヵ月過ぎたからとすぐに追い出されるわけではないようだが、終の棲家にはならない。父が安心して快適に過ごせる居場所はどこかにあるのだろうか。


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