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認知症だった父のこと

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亡くなった父が認知症になったときのことを思い出しながら書いてみました。
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過食と拒食の行方 要介護3→4

認知症の父は、ショートステイでお世話になっている。多動な父は施設内を動き回ったり、引き出しに保管してあったみんなのおやつを食べてしまったり、何をしでかすかわからない状態だった。職員から、少し落ち着くように精神科で薬を処方してもらってほしいといわれたが……。 多動で手に負えない 老人ホームへの入居を待つ間、実家の父がショートステイでお世話になっている。ショートステイに入った最初の週末、父の様子を見にいくと、職員のFさんが私たちの顔を見るなり切羽詰まった顔で駆け寄ってきた。

終の棲家はどこにある 要介護3

父の終の棲家をまた探すことになった。 小規模多機能施設のショートステイを利用しており、空きが出たら併設されているグループホームに入居するつもりだった。しかし、一晩で100回トイレに行って、対応できないと言われてしまったのだ。 入居予定の施設から入居を断られる 認知症で要介護3の父は、自宅から車で10分ほどのところにある小規模多機能施設のデイサービスとショートステイを利用している。予定では、空きが出しだい併設されているグループホームに入居し、さらに症状がすすんだら特別養護老

老々介護の限界  要介護3

実家に、ケアマネージャー、叔父(母の弟)、父母、私が集まった。 認知症で要介護3の父の今後について話し合うためだ。 近くに住んでいる叔父や私たち夫婦が手助けしていたが、二人暮らしは限界に近づいていた。 老々介護はそろそろ限界 父は認知症で要介護3。食事、入浴、排せつなどは人の手を借りなくてもできるので、これまで週4日デイサービスを利用しながら自宅で過ごしていた。しかし、散歩のたびによその庭に入り込んで、ご近所から苦情があったため今回の打ち合わせとなった。 デイサービスの

「ハハ」と「ムスコ」と父は言った 要介護1→3

父の要介護認定での出来事。調査員に 「この人は誰ですか?」 と聞かれた父は自分の妻を「ハハ」、娘を「ムスコ」と答えた。 「ハハ」と「ムスコ」! 父の要介護認定の調査で驚いたことがあった。 父はそのとき要介護1。散歩に出て道に迷ったり、行けつけの理髪店にたどり着けなくなったり、認知症の症状はあったが、食事、着替え、入浴、排せつなどは人の手を借りなくてもできていたので、今回も要介護1程度だろうと思っていた。 市から派遣された調査員が母を指して 「この人は誰ですか?」 と尋

父の通院  要介護1

認知症の父は頻繁にトイレに行く。 家にいて何か作業をしているときは気が紛れて多少間隔があくようだが、病院に行ったときなどは10分おきに行く。 今日も予約の9時半に病院に着いてから、診察室に入る10時50分までに10回トイレに行った。 もこみち先生との再開 「お待たせしました。ご本人と奥さんとそれから……」 「あ、娘です」 「あれ? えーと……」 「あの、2,3か月前に膀胱炎でお世話になりまして」 「そうですよね。はじめましてじゃないですよね」 「すいません。親子でお世話に

認知症の父はモモちゃんと呼ばれていた 要介護1

「家内が昨日から寝込んでしまって動けないんだ」 実家からの電話で、母を病院に連れていくことにした。 しかし、お父さん。娘の私に向かって「家内が……」ですか。 父は認知症・要介護1  「家内が昨日から寝込んでしまって動けないんだ」 実家から電話があったのは、土曜日の朝。話の内容はしっかりしており、電話をかけてきたタイミングもちょうど朝食を食べ終えたころと絶妙だ。 しかし、お父さん。娘の私に向かって「家内が……」ですか。 父が認知症で要介護1と認定されたのは、一年程前。

父の買い物 要介護1

父を買い物に連れて行った。 迷わず売り場に行き、目当てのものカゴに入れてはメモを棒線で消していく。 父は一見認知症を患っているようには見えない。 しかし、次の段階は確実にやってくる。 父と歩いて買い物に行く 週末、実家の母から電話があった。 夏風邪が長引いて咳がなかなか止まらないので病院に連れて行ってほしいとのこと。夫に母を病院まで送ってもらい、私は実家で認知症の父をみていようと思ったが、病院のあと買い物にも行きたいという。 父はじっとしていることができず、15分おき

父の迷子騒動 要介護1

「散歩に行った父が帰って来ない」と実家の母からSOS。 捜索願を出す前に、父はかろうじて自力で帰ってくるのだが、そろそろ高齢夫婦の二人暮らしも限界かもしれない。 第1の行方不明事件 1か月の間に、警察へ捜索願を出そうかと思ったことが3度ほどあった。 1度目はある土曜日の夕方。実家の母から、散歩に出かけた父が3時間半すぎても帰ってこないとの電話。実家の父は毎日散歩に出かける。徘徊ではなく、昔から日課にしている散歩だ。 いつもは2時間ほどでもどってくるが、その日はもう暗く