おねーちゃんとの日常。⑤

「そろそろ膝がきついんですけどなんとかなりませんかね。」
「なんともなりませーん♪」

ソファーに座って本を読んでいたら、するりと膝に頭を乗せられてどれくらいの時間が経っただろう。
そんなにずっと横になってスマホ眺めててきつくないのかな。
このままじゃコーヒーのおかわりも用意できない。

「もー、膝がずっと暖かいことに感謝してほしいんだけど!」
すっくと起き上がるやいなや、2人分のカップを持ってキッチンへ向かうおねーちゃん。
湯気が立つペアデザインのカップを両手に持って、程なく戻ってきた。
おかわりありがと。

…いや、おかわりはありがとうなんだけど、なんで膝に座ったの?
「さーて、冬の恒例行事の続きいってみよー!」
有無を言わさず見せてくる画面で察したので、佳境に入った本に栞を挟んだ。

「これは稀によくあるやつ。」
「主に休日によくあるやつね。」

「昔は壁紙チラ見されて、『えー!?彼氏ー!?』って言われたこともあったけど、もはや懐かしいな…」
「今じゃ、『あーはいはいまた弟くんと新しいツーショ撮ったのね』って扱いらしいね」
「生きやすい時代になったものよ…」

「私の問題のセンスもいいけど、実はこれのポイントは『おねーちゃんとけっこんすると言っていた』ことを特に疑わないてーくんなんだよね」
「まぁ、不思議は無いからね(覚えていたことは黙っておこう)」

「味をしめたおねーちゃんのクイズシリーズ」
「食い気味のてーくんに反撃されちゃった。ぴえん。」

「この日、結局起きれたんだっけ?」
「こういうときって大体起きれなくて晩ごはん適当になっちゃうんだよねー」
「お昼寝気持ちいいから仕方ないね」

「夏 の 風 物 詩」
「てーくんとくっつきたい、でも暑いのはイヤ!なんだからしょうがなくない??」
「そうね、しょうがないね。」
「そこ、考えるのやめる顔しないのー。嬉しいくせにー。」

「これ、酔ってたんだよね?」
「・・・・・・・・・・」
「なんで明後日の方向を見てるの…」

「実はてーくんから甘えてくるのはレア」
「確かに。」
「もっと甘えてもいーんだよー?」
「先におねーちゃんが甘えてくるからなぁ…」

「撫でればなんでもいいってわけじゃないんだからねっ」
「ごめんて」
「んっ」
「はいはい、ちゃんと撫でます」
「よろしい!」

「そりゃ誰も勝ちようがないんだけどさ、なんだけどさ」
「ほんとうのことだもんねー!」
「かわいいからいっか…」

「定期的に同じことやっててうける」
「眠り浅いんじゃないかって心配だよ」

「照れるくらいならやらなきゃいいのに」
「いざ真面目に受け取られちゃうと、つい… ていうかてーくんも悪ノリしないでよ!」
「照れてるおねーちゃんが面白くて、つい」

「スイーツで喧嘩しないコツ!2個買って帰る!」
「2人暮らし始めたときに最初に決めたルールだった気がする」

「おねーちゃんクイズ第3弾。クイズなのかな…」
「ちなみに、『だいだいだいすき!』みたいな回答だったら、『せいせいせいかい!』になってたよ」
「めっちゃ意味わからんくてうける」

「これすき」
「わかるこれすき、私のコメント欄はいつも平和」
「『はいはい』『仲いいね』みたいなのばっかりだよね」

「このときのおねーちゃん、下半期で1番の笑顔だったよ」
「いけないいけない、つい本心が…」
「すっげぇ複雑な気持ち」
「てーくんはほんとに結婚したいの??」
「したいよー、だから1年経ってもアプリやってるんだし」
「あっ、なんとかさんからメッセージ来たってよ」

ほらほらすぐ返しなよ、と膝から降りてったおねーちゃん。
どんな会話してるのー?とか言って覗き込まないところ、好きだよ。
今年の振り返りももうちょっと残ってるけど、また今度にしようか。

振り返っても楽しいのって、ほんと贅沢だなあ。

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