寝かせてしまえばこっちのもんだよ。

「そいえばおねーちゃん、クリスマスプレゼント決まった?」

天気が良さそうなので毛布など洗いたいけど、どうにもおねーちゃんが布団から出ようとしないので連れ出せそうなネタを出してみるなど。
下手すると2人して二度寝してしまいかねないので、早いとこ脱出したいよね。ちなみに僕は新しい眼鏡が欲しいのがバレている。

「そろそろ買いに行かないとギリギリになっちゃうなー、今日は天気いいしお出かけしたいなー」
ちらっちらっと目線を送りながら起床を促す。ここで撫でることは今日の洗濯を諦めることに等しい。今朝は寝かさないぞ…?

「そんな言うなら当ててみてよ~?」
すっかり目が覚めてそうなおねーちゃんにニヤニヤ顔で問われる。
この調子なら布団から引きずり出せるのも近い。そしてその問いはある程度想定済み。弟をなめないでほしい。

「本命ネックレス、次点ブレスレット。ダークホース指輪。」

ニヤニヤがちょっと止まったので続けてみる。
「最近一緒に出かけるたびにジュエリーショップに目線が動いてたし、この前に机にパンフ?置いてあったし。この前買ってたからピアスではないかなーって。」

似たような理由で眼鏡を新調したいのがバレてしまったのでお返し。
できれば気持ち的に指輪では無いであってほしい気持ち。
隣でおねーちゃんがすこし頬を膨らませているので、外れではないかな?

少しして布団を蹴り上げた(!?)あと、颯爽とベッドから起き上がったおねーちゃん。おはよう。

「ざ、ざんねんでしたー!ぜーんぜんちがうもんねー!正解は『てーくんを1日好きにできる券』です!用意しておいてね!」

聞き逃がせないワードが出てきたので慌てて起きて追いかける。
忘れずに毛布を洗濯機に突っ込んで回しておく。

「1日好きにできるって何されんの、めっちゃ怖いんだけど」
「大丈夫!法に触れることはしないから!法に触れない限り24時間てーくんを好きにできる券!!これで!!」
「その注釈が余計に怖い!!!!!!!」

・・・

朝ごはん兼昼ごはんは出かけた先で、となったのでとりあえずコーヒーだけ準備。出かけられるくらいになったら洗濯も終わってるでしょ。
「ちなみにさっきのって、寝てる間はノーカン?」
感じを見る限りプレゼントは挙げたどれかで当たってそうなので、さっきの茶番を話広げておく。本当に要求されたときが怖い。

「そんなわけ無いじゃん、24時間って言ったでしょ。」
服を準備してるおねーちゃんが振り返ると悪い笑顔で続けた。

「寝かせてしまえばこっちのもんだよ。」

「いや、まじで怖いからやめて。」

・・・

「で、結局どれで合ってたの?」

家を出て、駅に向かうまでの道すがらで答え合わせ。
行きたい場所が決まってるらしいので、お目当ての店があるところなのかな。いつもはバスだから、電車でお出かけも何気に久しぶりかも。

「リングはともかくとして、ネックレスブレスレットの順番で当たりー。というか気になってるのがいくつかあって、そっから最後はてーくんに選んでもらおうかなって思ってたー。」
どれとどれかはその場で見るまでお楽しみね、と嬉そうなおねーちゃん、いつもより手を振る勢いが強いので繋いでいる手がもたない。

というより、参ったなあ。
サプライズで「1日されるがままです券」を入れようと思ったんだけど、完全に先手を打たれてしまった。
というかよく考えたら、今も既に「1日中好きにされてる」し「されるがまま」だよね。寝てる間までは分からないけど。

券を使ってまで、何をするつもりだったんだろう…

とりあえず、今日はいいプレゼントを選び合う日にしたいね。

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