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しゃべり続ける人ってのは、一体どういうことになってるのかね

怒涛のおしゃべりや愚痴を聞かされて、エネルギーを吸い取られることないですか。私はあります。そして、実は私もやっていた(キャー)!しゃべり続けるにもいろいろ事情があるんです。

1.怒涛の言語情報に疲れ果てました

多弁、話し過ぎる、話が止まらない、話が飛ぶ、まとまりがない、時系列が乱れる、言葉の区切りが不明瞭で綿々としている、質問をはさむ隙がない、内省なく上滑りの語り…こういう相手と話をせざるを得ない日が続いて、ちょっこり疲弊していたある日のこと。

先に言っておくと、喋り過ぎる人を非難したいわけじゃない。
聴覚情報処理が苦手な自分特有の苦しみへの気づきから、ほんのり楽しみを見出すまでのプロセスを書きたいだけ。

えーと、私は耳からの言語情報処理がそれほど得意ではない。どちらかという非言語から余計なことまで色々読み取ってしまう方なので、非言語と言語が一致しない人の話を聴き続けると、実はすごく疲弊する。

相手の脳から口、相手の口から私の耳を経由して脳内になだれこむ音声、言葉、音声、言葉。自己一致していない言葉は、私の脳内でものすごい不協和音となって脳みそを散り散りにする。消化できない情報で脳内がびっちびっちに埋め尽くされて窒息しそうな状態になると、さすがにダークサイドに落ちかけて呻きたくなる。

「ちっと黙ってくんねーかな」

2.救世主、あらわる

そんなある日、たまたま居合わせた友人かやこ(仮名)に、何の前置きもなく『しゃべり続ける人っていうのは、一体どういうことになっているのかね』と聞いてみた。
この問いかけはあんまり正しくはなくて、実は「怒涛の音声情報にまんまと翻弄されて、感性の毛穴が詰まっちゃって、かすかな真実を感じとる力が弱まるのが苦しい」っていう愚痴だったりする。
そんな、ものすごく唐突でざっくりした明後日な投げかけにもかかわらず、面白い回答が返ってきた。

『いや、わかる。私もやっちゃうから。そういうときは止められないの。もう一人のかやこが上の方にいて、もうやばいよ。やめときな。それくらいにしときな。相手が引いてるよ。って囁くんだけど、だめ。相手から何度も終了のサインが出てるのはわかってるんだけど、止まらないの』

思いのほか即答で、しかし切実な自己開示で、思わず声を出して笑ってしまった。『もうね、あれは躁状態って感じだよ』と、かやこもなんだか小鼻を膨らませて満足気である。

そうそう。そうでした。
『困ったな』と感じる相手は、実は本人こそが『困っている人』である可能性が高いんだった。疲れると盲点が増えて、さらに疲れる悪循環に陥りやすい。こういうとき、ふとした誰かの言葉で外在化の視点が戻ってきて、どんよりしたトンネルから抜ける。

かやこ、ナイスプレイ。
いや、かやこを引き寄せた私、ナイスプレイ。

3.しゃべくり分類、あなたはどのタイプ?


かやこは、わかっていてもブレーキが利かない暴走タイプなのか。ほかにもいろいろタイプがあるんじゃないのかな。

たとえば、

【排泄型/抱えていられないあなた】
抱えられない不安や葛藤を、吐き出す(排泄)することで心の安定を保とうとするタイプ。夫の愚痴をいいながら銀婚式、会社を呪い続けて勤続20年、なんてこともざら。
自家製の感情浄化槽が何らかの事情により機能していない(装備されていないと思い込んでいることもある)ため、他人の浄化槽を借用しようとする。
トニカクアフレチャウノヨー、シカタナイノヨー、ゼンブハキダシタラチョットダケスッキリスルケド、マタタマッチャウノヨー、ダレカニジュウヨジカンハナシヲキイテー、という心の叫びが聞こえるタイプ。

【防衛型/向き合いたくないあなた】
核心にせまる対話をしたくない。本心を知られたくない。心理的葛藤も内省も好まず、本来向き合うべきことを避けてしまうタイプ。
未統合の自分の一側面や感情を相手というスクリーンに映し出して、不快感をひたすら相手に対して投げ込むこともある。
言葉を止めて沈黙が訪れると、たちまち不全感にのみこまれるため、とにかく本質にふれないことを話し続けてしまう。
チンモクハキライヨー、アイツガワルイノヨー、シャカイガワルイノヨ―、アタシハワルクナイノヨー、デモ、イクラハナシテモカイケツシナイノヨー、ナンデヨー、という心の叫びが聞こえるタイプ。

【暴走型/制御できないあなた】
頭ではわかっているが制御不能なタイプ。スイッチが入ると舞い上がってしまう。軽い躁状態になっていることもある。
発達特性がからむこともあり、悪気はなくとも「自分は最後まで言い切りたいが、相手の話は最後まで聞けない」事態となり、誤解を招くことも。
ヤバイヨヤバイヨー、スイッチハイッチャッタヨー、ドンビキシテルジャナイノヨー、キラワレチャウカモシレナイヨー、デモドウニモトマラナイノヨー、キットドーパミンノセイヨー、という心の叫びが聞こえるタイプ。

【一方通行型/相手に興味がないあなた】
自分の関心事や心身にのみ関心があり、それについてのみ解説したい。相手の反応への感度が低く、顔色や態度の変化に気づきにくいため、自分の話が歓迎されていないことに気づきにくい。
相手の話には基本的に興味がなく聞きたくない。「調子どう?」と聞かれてひとしきり自分の話をするが、「あなたの方は?」と相手に話を振ることにまで意識が及ばない。発達特性がからむこともあり、悪気はない。
アイテニモハナサセナイトイケナイナンテ、ドコニモカイテナイワヨー、ハナシタキャアンタモカッテニハナセバイイノヨー、デモアタシ、キョウミナイハナシヲキクノハクツウダワヨー、という心の叫びが聞こえるタイプ。

みたいな。

いや・・いやいや。遊んでいるうちに気づいてしまった。
よく考えたら、アタシはすべてのタイプを演じたことがありますですし、いまでも演じ分けることができますですよ。ええ、絶賛やりますですとも。いつでも言ってくださいですよ。もう、どーんと任せてくだされば、それはもう見事にやり切りますですよ。

4.じぶん研究という遊び

「まったく理解できない、受け付けない」と思っていた相手と自分が、実はけっこう地続きであることが分かると、感じ方はぐっと楽になる。

人間関係で「しんど・・」と思ったときは、自分の中からその関係を排除するだけでなく、あっちこっちの角度からよく眺めてみるとよい。そして、イヤだと思っているものになりきって演じてみるとよい。そうすると、自分自身から少し離れていた自分の一部(エネルギーの源泉の一部)をうまく融和させることができる。

じぶんの中の分断や乖離に対して、日常の気づきから端を発して軽やかに手当し、エネルギーの通りを良くする。言うなれば、『内的バリアフリー手法を用いたエネルギー効率化の研究』みたいな遊びである。愚痴を愚痴で終わらずそこまでやれたら、これはもう、かなり上等な遊びであると思う。

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