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公認心理師試験覚書~④~二ヶ月で別人になれる勉強法~

前号で調子に乗って豪語した『二ヶ月で別人になれる地道すぎる勉強法』について考えてみた。

1  いかにして二ヶ月で別人になるか

考えれば考えるほど当たり前すぎることばかりで、わざわざ人様に話して聴かせるようなモノでもない気がする。

しかし、今年はそういう求められていないかも知れないことを、しれっとぶっ放していくことにしたのだ。(三ヶ月後には、今年はそういうことはしないと決めたのだ、とか真顔で言ってるかもしれない)

試験に合格するだけなら試験範囲をしっかり勉強すればよい。シンプルだ。出題範囲は決まっているし、6割ちょっとの得点率でよいし、ブループリントという『ここが出るよ』ってキーワードも、実に親切なことに公開されている。

(合格までに必要なこと)
①試験範囲を把握する
②試験の形式を把握する
③試験までの道程を把握する
④自分に合った試験対策教材を絞る
⑤試験勉強のスケジュールを立てる
⑥試験勉強の時間を作り続ける
⑦事務手続きを抜かりなくやる
⑧当日まで健康を保つ

これを淡々とやりきれば、だいたいうまくいくはず。

おそらくネックになるのは、勉強をコツコツやり続けていくときに際限なく沸き起こる疑念とか焦りとか、『こんなこと意味ないよ』って脱価値化やら『やっぱり私には無理だ』っていう値引き(ディスり)っていう魔物との対峙の仕方なのではないかと思う。

当面のラスボスは試験そのものなんだけど、もっと言うとラスボスの先にもさらなる物語はあるんだけど、当面のラスボスのいる城に向かうまでの森の中に山ほど魔物が潜んでいるのだ。

私の勉強における三種の神器は、しつこさと、ふてぶてしさと、ユーモア。(明日には別の三点を三種の神器と称しているかもしれない)

ゴールが決まっている闘いは、性格悪いくらいの方が案外うまくいくような気がする。三種の神器を駆使して、ぜひとも当面の魔物と対峙するまでの魔物との闘いを制してほしい。

これで、二ヶ月後には別人となった自分に会えるであろう(予言)。

2  知的ハーケンを打ち込め

今日はひとつだけ、具体的な勉強法を公開する。しつこくてふてぶてしくて、ちょっこりユーモアでない方は、『何の話よ』と思うかも知れない内容であることをことわっておく。

①知識の編み目をつくる
辞書引き学習に近いやり方で、知識の編み目をつくるということ。いきなりしつこさの出番。
苦手分野は、ご自身がどんな分野でやってきたかによって違うと思う。これまでまったく触れてこなかった分野は外国語のように感じ、何から手をつけてよいかわからないことだろう。テキストを読んでも、過去問の解説を読んでも、アウェー感が拭えない。

わからないなら、あっさり調べてしまうことをオススメする。この場合、『いちいち調べていたら日が暮れてしまうよ』という心の声はいったん退ける。むしろ、日が暮れるまでひたすら語句の意味を調べる日があってもよいくらい。

②三つ以上の媒体で調べる
調べるときは、最低でも三つの媒体で調べる。複数の辞書やテキスト類、書籍、あとはインターネット。
インターネットの情報で勉強するなと言う人もいるが、まったくとりつく島のない概念に関しては、道筋をつける一助にすべくインターネットの情報を参考にしてもいいではないか。

ブループリントのキーワードの意味自体を調べるのももちろんだが、オススメは説明文を構成している言葉も丹念に調べること。

概念を理解するプロセスを、岩壁を登るプロセスに例えることで説明しよう。岩壁を登るとき、なにか取っかかりがあると登りやすい。取っかかりとは、つまりハーケン(岩壁に打ち込む金属製のくさび)だ。
それと同じく概念の岩壁を登るときにも、概念を説明する言葉ひとつひとつの曖昧さをつぶしていく。それが、ハーケンを打ち込むに等しい行為となる。

そして、ある概念がしっくり理解でき、そういう体験が数多く重なってくると、知識と知識が呼び合いネットワークを形成し始める。気づいた頃には調べた回数分以上の知識を網羅していることに気づくだろう。

さあ、『知らないことばかりで調べものが絶えない情けない私』という自己概念を、『頂上を目指して知的ハーケンを打ち込みまくる勇猛果敢な私』という内容に絶賛変換しよう。

とらえどころのない概念を曖昧な理解度の言葉で説明されているものを読み続けても、本質から遠のくだけ。いつまでたってもカチリと像を結ぶことはない。

そもそも心理学の知識は、誰も目に見えない手に取れない概念に対して言葉という記号を当てて表していることが多い。そのこと自体、かなり無茶なことだと思う。

しかし、心理学という曖昧さの海に好んで飛び込んでしまったからには、覚悟して泳ぐのだ。

『私もわからんが、あんただって見たことも触ったこともないだろがよぉ』と、解説を書いている人にオラついて自身を鼓舞してもよい。ここは、ふてぶてしさの出番だ。

そのうち、いちいちオラオラと抗議するのが面倒になり、機械的に知的ハーケンを打ち込む作業に没頭するようになる。やがて苦痛よりも心地よさを感じるゾーンに突入(見込み)。

膨大な知識と経験を湛えた脳は抽象度が上がり、二ヶ月前には見えなかった世界が見え始める(見込み)。

こうなったらしめたものだ。

③擬人化して楽しむ
少なくとも辞書やテキスト三種類以上で調べると書いたが、ついでに辞書やテキストを擬人化してしまおう。
つまり、わからないことについては、三人以上の意見を聴いて自分なりの腹落ち感を得るという形に持っていくのだ。

『有斐閣(辞典)さんはこういっていた、ペンギンさん(翔泳社テキスト)はこういっていた。二人の主張を聴いてもイマイチわからないから、YouTubeで◯◯先生の意見も聴いてみよっかな』という調子で。

本当に人に教えてもらうのもよいと思う。現任者講習の同期のなかには、毎日のようにオンラインで自主勉強会をしている人たちもいた。
また、予備校的なセミナーを別途聴講している人もけっこういた。

私は非常に偏屈な性格なので、自主勉強会の類いには参加しなかった。高額な予備校的セミナーも受講しなかった。耳からの情報処理が苦手なので、誰かが喋っているのを聴いているだけでは右から左なのである。一番頼りになるのは文字情報。

耳からの情報処理が得意な人は、『通勤中に聞き流し』という私の憧れの技が使える人である(羨望)。

④勇者の自覚をもつ
『わからない』『難しい』『できない』という魔物との闘いを制する。わからなくて当たり前。ここで丁寧に向き合えば向き合うほど、力も自信もつくので手抜きしてはならない。

私自身は、『覚えたことをすぐに忘れさせられる』という魔物に遭遇するたびオラついた。
『クソ。次は覚えてろよ!お前!』
お前(私)が覚えろよって話だ…。

魔物が現れたとき、必要以上にパニックにならないためにテーマ曲を決めておくのはどうか。これは雑魚キャラ用の曲でよい。
雑魚キャラのテーマが流れたら、ひとまず落ち着くのだ。これは本当の敵ではない。ちょっとうまくいかないくらいで自滅してはもったいない。ラスボスである試験は、まだまだずっと先にいるのだ。こまごました魔物と対峙して経験値を高め、装備を手に入れて強くなればよい。

そう、あなたは勇者なのだ。こんなところで森の魔物に倒れるあなたではない。

試験前一ヶ月くらいになったら、ラスボスのテーマを流しながら仕上げをするのもよいかも。いよいよ力をつけた自分を讃えながら。

はからずも、『試験に際してのストレスコーピング法』みたいな様相を呈してきたが、しばらくこんな感じでいこう。
 
最後までお読みいただきありがとうございます。

「どんなことでも、なんとかなる」「なにごとにも意味があり、学ぶことができる」という考え方をベースに、人の心に橋をかける言葉を紡いでいきます。サポートいただいた場合は、援助職をサポートする活動に使わせていただきます。