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茶道に関わる植物と健康効果について

皆さまはじめまして。
宝塚市にある植木屋「庭樹園」で庭師・樹木医をしている阪上広樹と申します。

コロナの影響で茶道の活動がしにくくなっており、このたび誌上勉強会の一環として茶道と植物について書かせて頂く事になりました。

よければ少しの間お付き合いください。

茶道に関わっている植物というと、床の間の生け花、茶庭などが思い浮かぶと思います。素材まで含めると、抹茶(チャノキ)茶杓・柄杓(竹)備長炭(ウバメガシ)畳(イグサ)床柱(アカマツ等)着物類(ワタ)あんこ(小豆)等など上げだすときりがないのですが、意外と多くの植物が茶道に関わっていることがわかります。

僕は学生時代、植物が人に与える生理的影響を調べる研究室にいました。例えば木の生垣とコンクリート塀を見た時の脳波を測定し、木の生垣を見た時の方がα波が出ておりリラックスしている、というような事です。
お世話になった千葉大学の岩崎寛先生は今年の4月から「趣味の園芸」で、園芸の健康効果について連載されていますので、もしご興味があれば一度のぞいてみてください。

というわけで主に植物の健康効果と茶道について書いていきますが、とくに今はコロナに対するワクチンや特効薬がない状況。健康に気づかい、免疫力を高めておくことが非常に重要かと思われます。ストレスがたまると免疫力が低下すると言われていますが、そのストレス軽減に植物は貢献することが出来ます。

オフィスに花や緑を飾ると集中力や作業効率が高まり、コミュニケーションが活発化し、抗うつ、疲労、緊張などが緩和して活気が上がることが証明されています。自分の好きな植物を選ぶとより効果的です。床の間の生け花にもこういった効果が期待できます。

生け花や寄せ植え作業をすると不安・怒り・悲しみといった感情が削減され、脳の活性化や創造力を磨くのに役立ちます。

ですので、自宅で自分の好きな植物を飾り、お茶を点てリラックスしながら過ごす。というのは、ストレスを軽減し免疫力を高める事にも有効かと思われます。

他にも窓からレンガしか見えない病室と緑が見える病室とでは、緑の見える入院患者の方が退院までの日数が早く、鎮痛剤の要求度も低く、ナースの患者に対する評価も高い、というデータがあります。緑の多い場所(公園など)で5分間座って休息すると血圧が正常値に近づく、という効果もあります。

なので、花をいけるのが面倒な時は窓から緑が見える部屋でお茶を飲んだり、血圧が気になる方は水筒にお茶を入れて公園等のベンチでのんびりするのも良いかと思います。
もちろん「三密」を避けながら。

抹茶の健康効果は皆さまのほうがご存知かと思います。

人類の歴史は700万年に及ぶそうですが、人はそのほとんどを自然環境の中で過ごしてきました。現在のような人工環境で過ごすようになったのは、産業革命以降の2~300年。人間の体はまだまだ本能的に植物を求めているのかもしれませんね。

コロナは人間の身体と経済にダメージを与え、困難な状況は人々の心にも悪影響を及ぼし始めました。
今回紹介した植物が持つ癒しの力を、どこかで少しでも役立てて頂ければ幸いです。

最近はご無沙汰ですが、僕は神戸の中根社中で茶道を学ばせて頂きました。もちろんまだまだ勉強中です。お稽古の前に唱えることばとお稽古そのものを通じて、いつも心が洗われる思いでした。茶道は人の心に寄り添うもので、茶道で学んだ精神はこういった時にも力を発揮してくれると思います。
色々教えて頂いた茶道と先生には感謝の念しかありません。

まだしばらく困難な時が続きますがどうか皆様ご無事で。

素敵な一日をお過ごしください。


庭樹園  
阪上 広樹


庭樹園のホームページ
http://www.teijuen-takarazuka.com/

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