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病と闘う人のQuality of Life向上に貢献する「ナノぴた®」とは

皆さん、ナノフロント®という素材をご存知ですか?
帝人フロンティアのナノフロント®は、「より細くて強い繊維」を目指して、世界で初めて開発した超極細ポリエステル繊維です。その細さは、マイクロファイバーよりも細い直径700ナノメートル!1本の糸の断面積が髪の毛の約7,500分の1という、なんとも驚きの細さなんです。
そのナノフロント®を使って製品化されたナノぴた®をご紹介します。
※「1ナノメートル」は10億分の1メートル。

開発の始まり

抗がん剤の副作用や神経疾患などの病で、「手の指紋が消失する」「指が腫れる」「手がしびれる」「痛覚異常がある」など、手に不具合が生じた患者さんは、ものをつかんだり紙をめくったりすることを困難に思うことが多いそうです。

ある時、そんな患者さんの悩みに寄り添う浜松医科大学の針山孝彦教授から当社に1本の電話が寄せられました。それをきっかけに、針山教授が培ってきたバイオミメティクスの発想、がん薬物療法に携わる医療従事者の知見に超極細繊維ナノフロント®の技術を融合し、産学連携による価値創出としてのナノぴた®の開発、製品化につながったのです。

ヤモリの脚先に着目

針山教授が、手の皮膚障害に悩むがん患者さんの窮状を見て、同じ浜松医科大学の皮膚科の先生と一緒に、何か解決策がないかと模索しておられたところ、ヤモリの脚先に着目されました。ヤモリの脚先には、極細の絨毛(じゅうもう)が密集していて、これが摩擦を生みだしているのです。このヤモリの繊毛の代用品として、高い摩擦抵抗力により、高いグリップ力を実現しているナノフロント®との開発が始まりました。

なお、針山教授のバイオミメティクス研究により、ナノフロント®の表面構造は、ニホンヤモリやユリクビナガハムシなどの接着力の高い生物の脚先の構造と類似していることが確認されています。

遮熱効果、紫外線ブロック効果もあるんです

ナノフロント®の持つ超微細な繊維構造は高い拡散反射性を実現し、熱を伝える近赤外線を反射することにより遮熱効果を発揮します。
ナノぴた®には、紫外線カット効果のあるポリエステル糸を使用しているため、皮膚障害を悪化させやすい紫外線から手肌を守ることができます。

利用者の方からの喜びのお声が

実際にナノぴた®を使われた患者さんからお手紙をいただくこともあります。
ナノぴた®を使うことでご病気前のように日常動作ができるようになったという喜びのお声もありますし、治療中の生活で気づいたことや「こんな商品があったらいいのに」というご要望をいただくこともあります。
ご利用になられた方からお声を聞かせていただけるのは、本当に貴重なことです。患者さんの気持ちが前向きになって、家事や仕事を頑張れる。そのようなメンタルサポートを含めてQOL向上に貢献していけるよう、これからも商品の開発に邁進していきたいと思います。