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シン映画日記『ベネデッタ』

新宿武蔵野館にてポール・バーホーベン監督最新作『ベネデッタ』を見てきた。

17世紀のイタリアに実在した修道女ベネデッタ・カルリーニがレズビアン主義の告発された事件を取り上げた映画で、16世紀末から17世紀のイタリアの修道院・修道女、17世紀の魔女狩りがピークのヨーロッパの街や教会を雰囲気を存分に、
それもエロ、グロ、バイオレンスが全開のバーホーベンのテイストで堪能!

主人公ベネデッタ・カルリーニは6歳の時にテアティノ修道院に出家し、そこで生活することに。18年後、家人から暴力を受けた女性バルトロメアが修道院に逃げ込み、ベネデッタが先輩として彼女の面倒を見ることになり、次第に二人は深い仲に。

ストーリーは主人公ベネデッタの周りで次々起こる騒動を中心に展開。
ベネデッタには神の声が聞こえたり、夢を見たりする特殊な能力があり、その言動の振り幅が凄い。
キリストが十字架で負った手足の傷が何故かベネデッタにも出来て、これを「聖痕」と言って周りから一目を置かれるようになったり、
ある時は悪夢を見て精神錯乱に陥るほど酷く苦しんだり。
いわゆる、ナンスプロイテーション映画なんだけど、
真面目系の教会の雰囲気もしっかり取り入れ、
エログロ系のエキセントリックなシーンも随所に散りばめ、
その塩梅がなんともいい。

中盤からLGBTの大胆なL描写と
17世紀のヨーロッパを席巻した第二次ペスト感染期の描写が表立って出てくる。
同時に中盤ぐらいからベネデッタの神の声に対して激しい批難的なツッコミからの衝撃シーンがあったり、
ベネデッタの同性愛疑惑から大きな騒動になったり、ストーリーに大きなうねりがあり、
とにかく面白すぎる。

主演のヴィルジニー・エフィラのスーパー体当たり演技の数々はほぼほぼポルノ女優並だが、シスター姿も似合い清楚さとエロさの二面性を完全に兼ね備えた凄い女優。
これをアシストするのが、かつてリリアーナ・カヴァーニ監督の『愛の嵐』で主演をはったシャーロット・ランプリングというあたりがまたエモーショナル。

何しろ大胆な暴力・殺戮描写から
衝撃シーンまで、
まるでアリ・アスター監督の『ミッドサマー』を見た時のような
何かとんでもないものを見たなという感覚が強くありつつ、
『ブラックブック』や『エル ELLE』のような濃厚なエピソードの連続で見せるポール・バーホーベン監督の新たなる傑作!

(※随時更新予定)


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