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登校

 いつぶりの外出だろうか、夏休み中は引きこもって昼夜逆転していた僕にとって朝の空気は懐かしさを覚える。
 久しぶりに見る人の群れ。劣等感の強い僕はつい余計なことを考えてしまう。あのみたいにこうだったら…この人みたいにこうだったら…
 いちいち他人と比べるのはくだらないと理解しつつも、心がそれを止める気配はない。勝手に気にして勝手に苦しくなっている、本当に間抜け。
 幸いブランド品に詳しくなくてよかったと思う。容姿だけでなく持ち物にも嫉妬してしまう。これ以上は正気を保てない。

 移動中もイヤホンをさして自分の世界に引きこもっていないとリアルに耐えられないよ。その世界はもう壊れかけているのにね。

 新しい環境があまりにも苦手。新しい授業、新しい生活サイクル、新しい教授、新しい教室……せっかく半年で慣れたと思ったのに全部リセットなんて、大学は大変だ。ああ、これからまた慣れるまでどれくらいかかるかな。半年ごとに精神をすり減らして、まともな人はどうしているの?

 教科書とか定期券を買うといった、タスクが積んであるだけで常にストレスを感じるのほんと嫌になる。はあ、学食は人が多くて行けなかったし、生きるのが苦しいよ。

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