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電力市場が安いから、市場連動プランがいいと思っていると…

※こちらは法人様向けの内容です

喉元過ぎれば熱さを忘れるというが、電気料金の市場連動プランに関しては、その言葉がとてもしっくりくる。。。

最近Facebook広告で「事業者向けの電気代削減」という広告を見る機会が増えた。私が電力業界にいるので、表示が最適化されているのだとは思うが、それにしても多い気がする。そして、それは大抵の場合、市場連動プランである。

市場連動を悪く言うつもりはないが、リスクがあることは知っておいたほうがいい。ここでは、私が考える市場連動プランの注意点を2つを書いてみたい。

1.提示される試算(見積もり)が過去の電力市場価格を用いていることがある
「市場価格は予測できない」という理由で、試算には過去の実績を使われることがある。今、市場連動プランで見積もりをとれば、おそらく2023年度の市場価格をもとに試算されたものが提示されると思う。2023年度は電力市場価格が落ち着いていたのは事実である。したがって、2023年度の市場価格を使うと、確かに電気料金は安くなるように見える。だが、注意しないといけないのは、2023年度の価格水準が、この先も続くとは限らないということだ。

試しに東京商品取引所の電力先物価格を見てみると、価格が上昇し始めている。もちろん先物価格なので、将来のスポット価格(電力市場価格)がその水準になるかはわからない。だが、今のうちに多少高い水準でも、押さえておきたいと考えている人がいるのは、事実である。

また、原油と石炭は比較的安定しているが、LNGの先物価格も上がり始めている。そう考えると、電気の市場連動プランも今後価格が上昇する可能性があることを、想定しておいたほうがよさそうだ。

過去5年間の電力市場価格(JEPX公表データを抜粋)
電力先物価格(東京商品取引所公表データをもとに作成)
LNG先物価格(東京商品取引所公表データをもとに作成)

2.高騰した場合、リアルタイムで反映されてしまう
次に価格の反映タイミング。これは、市場が高騰してしまうと防ぎようがない。当月の電気料金は、当月の電力市場価格が反映されてしまうからだ。

今は地域電力も市場価格調整項が入っている。しかし、反映タイミングという点では、消費者に優しい面もある。例えば、東京エナジーパートナーの場合、2~4か月前の3か月平均が電気料金に反映される。つまり、仮に12月に市場が高騰しても、その影響は5月の電気代に効いてくるということになる。

さすがにこれだけの期間があれば、対策もできる。(東京電力が良いような書き方になってしまったが、個人的には新電力のほうが好きである)

東京電力エナジーパートナーの市場価格反映時期

最後に
私にとって2022年の電力難民や市場高騰による電気料金値上げは、とても強く印象に残った出来事となった。当時、強制解約や過度な値上げを目の当たりにした。一方で、その時も需要家の立場にたち、強制解約をせずに苦しい期間を乗り越えた電力会社もある。その時に私は各電力会社の本質を見た。だから、私は電力会社選びに強いこだわりがある。

今でも地域電力に準拠したメニューで低価格を実現している会社。完全固定プランや夏冬固定プラン
で、変動リスクを抑えるメニューを提供する会社。色んな選択肢がある。だからこそ、電力会社のスイッチングを考えている方には、それぞれの特徴を知ったうえで、電力会社選びをしてほしいと思う。

(参考)
東京商品取引所(電力・LNG先物価格)

日本卸電力取引所(電力取引価格)


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