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二刀流入門と二刀流対策

相手の打ち込みを完全に受け止めた竹刀は、直ちに相手を攻撃する。相手は一度打つ込に来れば、打撃の有無にかかわらず、一寸の安心感を持つものである。その時に眼に見えないほどの隙というものがある。二刀流はそれを打ち取る。これが奥伝の奥というべきところである。初対面の相手は、相手の動きをよく見てから、戦うことが、二刀流勝負の秘である。いかに敵が攻撃してこようとも動揺の気配を見せてはならない。攻撃してくる相手には必ず隙がある。隙があったら直ちに打ち込む。引用:二刀流の習い方

基本的には相手の出バナを打突する考えは剣道共通になります。

一刀流の教えに「短剣を相手にするな」と言っているから、二刀流にとっては最も幸せである。だからこそ小刀を最も有利に使うべきである。短剣に打たれてみれば、短剣の有効な打撃を知ることができる。打たれたものでなければ知ることは出来ない。二刀は自己を労せずして、敵を制すという特徴があることを忘れてはならない。口伝には「敵を追い追い追いつめて、打って打って打ち取ること。相手に構えるだけの隙を与えるな。二刀流は先先の先の手だけであって....」と言っている。敵が先にできた時には直ちに打ってしまうとある。相手の打ち込みは防御せずにうってしまうということである。宮本武蔵は一度の戦いに、一つの手は二度使わないと言っている。その変化のあることを研究すること。引用:二刀流の習い方

二刀の竹刀の長さ:

大刀114cm以内、重さ425g以上

小刀62cm以内、重さ360g以上

小刀は対戦に辺り相手の打ってくる力をまともに受けるので、重いのが良い。小刀が重いと、相手の竹刀の力を跳ね返し、また、上から押さえた時、腕の力と小刀の重さで相手の竹刀を楽に抑えることができる。

正座:大刀を外側、小刀を内側。

提げ刀:大刀を内側、小刀を外側にして左手に持つ

抜き方:最初に左手に持つ小刀を右手で抜いて左手に持ち替え、次に右手に持つ大刀を抜いて構える。(正二刀流)

蹲踞:十字に構え、十字のまま立ち上がり、大刀を上段にとって構える

納め方:右手に持つ竹刀を収め、次に左手に持つ竹刀を納める。小刀は右手に持ち替え、小刀を納める

構え

小刀は、剣先を胸の前の位置に持っていくが、小刀の持つ腕は、内側に寄せたりしないし、小刀の持つ腕の肘が伸び切らない。右足前でも左足前でも打てるようにしたいが、基本的には右足前で構える。

小刀の構えは、一度左手を延ばして相手との距離を計り、その後に、手を全部出さずに、左胴に肘が少しつく位がよい。剣先は相手の喉に向かって着く。小刀は、前に出しているだけで左右の道の防御ができる。胴につけていれば、小刀のコテは打たれない。したがって、小刀の左胴を狙うものが多い。小刀を長く前に出していると、小刀のコテを狙われるが、小刀のコテは握りを少し左に出して小刀の中程を打たせるような構えにすればコテは打たれない。小刀を前に出しすぎると、左胴が空になり、小刀を引き付けるまでに打たれてしまう。

片手で打つということ

一般的に、「片手で打つ」となると、竹刀を握ったその手首の位置、すなわち竹刀の柄頭付近を支点として剣先を大きく振ろうとするはずですが、このような振り方だと、視点となる手首に大きな負担がかかり、波の腕力ではかなりぴたりと止められるものではありません。したがって、竹刀を立てに回転させながら前方に放り投げたと仮定し、回転しながら前方に飛んで行く竹刀は、柄頭ではなく中央部の銅張の付近を中心として開店するはずです。この回転の中心となる部分が竹刀の重心点で、片手打ちはこの竹刀の重心点を中心とした自然な回転力を利用します。竹刀の重心を中心に回転させるようにしながら、重心を相手のメンに向かって放り投げてやれば、床に落ちずに前方に真っすぐに飛んでいこうとします。この時、手の作用は、前方に回転しながら飛んで行こうとする竹刀の一端を捕まえてそれを前方に引き戻すだけです。ですから、銃直に抗して竹刀を支えるほどの力を必要とせず、慣れてくればわずか二本指で掴んでいるだけで竹刀を振れるようになってしまいます。

しかし、竹刀の回転力で得られた力のみでは、素早く打つことは出来ても「斬る」ための十分な打撃力を与えることは出来ません。次に、竹刀に自らの体重を乗せる方法を学びます。

跳び箱を飛ぶ時というのは、おそらく二の腕の下側の筋肉を使って、両手を跳び箱のマットに叩きつけるようにしながら、腰をグッと入れて身体を持ち上げようとするはずです。このときの腕の下側の筋肉の使い方が大切で、肘をあまり曲げずに脇を締めて腕を大きく振ります。また腰が引けていては跳び箱をうまく飛ぶことができません。両手を叩きつけるように不利、同時に腰を前に運ぶ意識が必要です。このイメージを持って竹刀を振ります。竹刀を振りだす瞬間に、前方の跳び箱を飛び越えるようなつもりで、腕の下筋を使ってぐっと体重を竹刀に乗せるようにしながら腰を運んでゆくわけです。高く飛ぶことよりも、前方に身体を運ぶイメージを持つと良いでしょう。そして、この時、わずかに手首を内側に絞り、手の甲がやや上を向くようにしながら小指薬指を締めます。これで重心を中心とした竹刀の回転力に、自らの体重を乗せた腰の前進が伴い、打突に威力を増します。

「斬りつけ」と「切り下ろし」

片手打ちは「竹刀の自然な回転力を利用して打つ」というような言い方をすると、それでは切れないのではないかと思われるかもしれません。

剣道では一般に遠間から大きく飛び込んで打ち、打った竹刀はほぼ打突位置で止め、打った姿勢も腰高で、手前から前方に押し切るような打突方法を学びます。実は日本刀による刀方は大きく分けて2通りあります。一つは「斬りつけ」の東方で、もう一つは「斬り下ろし」の刀法です。

「斬りつけ」は、原則としてその一刀によって完全に相手をしとめることを想定していません。すなわち、二の太刀、三の太刀への変化をあらかじめかんがえています。ですから、万一相手にかわされてもすぐに次に対応できるよう、斬りつけた後の姿勢が何より重視されます。そのため斬りつけた立はその位置で止まり、後ろ足を瞬時に引き付けて足幅も狭く、比較的高い姿勢になります。一応、初太刀の一撃の威力は追求されますが、ただしそれはあくまで次への変化の対応を想定した範囲内でおこなわれます。一方、「斬り下ろし」は、その一刀で相手を完全に仕留めることを目的とします。たとえ、殺さぬまでもその斬撃によって相手を戦闘不能にすることが必要ですから、太刀はしっかりと振り下ろし、あるいは振りぬかれ、このときの姿勢は足幅も広く腰を落とした比較的低い姿勢となります。このため、次への変化に移行しにくく、もし万一相手にかわされてしまえば、その瞬間に自分は隙だらけになってしまいます。ですから事前に相手を完全に制し、決して交わされることのない状況を作ってから出ないと使えない刀法でもあります。

古来からさまざまな剣術や居合などの形を分析してみますと、多くは「斬りつけ」+「斬り下ろし」の組み合わせになっています。つまり、最初に遠間からの「斬りつけ」の東方によって敵の顔面などを打ち、それによって敵の体制が崩れたすきに素早く間合いを詰め、今度は「斬り下ろし」の刀法によって仕留めるという流れです。実践においては、自分と同じように武器を持った敵に対して、いきなり一刀両断にできるような間合いまで入り込んで斬ることなど、とうてい考えられないからです。

さて、現代剣道はこの二つの刀法のうち、主に「斬りつけ」の刀法を学び収斂するために考え出された稽古法が発展してきたものだと考えられます。それゆえ剣道では日本刀より長い竹刀を用いて、より遠間から思い切りよく飛び込んで相手の顔面よりももっと先にある頭頂部を打ち、打突後も自らの体制を崩すことなくそのまま相手の後方まで駆け抜けるほどの勢いを求められます。すなわち、剣道で求めらる刀法は、近間で敵を一刀両断に仕留める斬撃力ではなく、遠間から初太刀によって敵の体勢を崩す冴えのある打突出るということがいえます。

一刀流ほどうるさくは言わないが、二、三の動作を発するのに都合のいいように踏ん張っていること。常に踏ん張りは大きくなく、小さくしていること。右足が出たならば、必ず左足がついて出る。右前や左前に出ることは自由。右足の前に左足を出し、あるいは左前の場合に左足の後ろに右足を引き付け、または左足の前に右足を出すのもよい。

二刀と一刀の鍔迫り合い

小刀を内側、大刀で相手の竹刀を支え、小刀でコテ、ドウ、メン、ツキを攻める。つばぜりはは十の字の構えの力を小刀に移しておこなう。大刀を鍔元で握り、両手つばぜりを行う。

基本技(正二刀流)

メン:留意することは、右で打つ時は左の腰を出し、左で打つ時には、右の腰を出す意識を持つ

コテ・ドウ:大刀は正中線に反って斬り下ろされるので、相手が正中線を守って中段の構えを崩さなければ、振り下ろした竹刀は鍔に当たってコテをうつことができない。したがって、打突する直前には相手の正中線から自分の身体をわずかに外しつつ、自分の正中線上に相手のコテが来るように足を使って移動する。また、大刀でコテを打突する時、小刀で受けながら大刀で打つという理愛ではなく、小刀は刃を返して自分の正中線に沿って下から切り上げる。

ツキ:大刀の剣先を相手の喉と自分の目とを結ぶ直線状に静かに置き、同時に腰を一歩前に進めながら大刀を持った手首をわずかに内側に捻って突く。最初のうちは剣先を置く、そして前に出るというに病死で練習し、慣れるにしたがって二つの動作を合わせて一拍子で行えるように練習する。小刀も大刀も動きに合わせて相手の胸を突くような心持で前に突き出す。この小刀の動作が結果的に、中心を守ろうとする相手の竹刀を抑えて封じる働きをします。

・自分から攻めて、小刀で右に抑えてメン

二刀への対応策として「小刀を相手にせずに大刀に備えよ」という教えがありますが、相手が小刀を意識しないでいてくれると二刀にとっては楽で、刀ですかさず剣先を抑えて打つことができます。小刀で抑えられることを嫌って大きく剣先を外して構える人に対しては、小刀で強く攻め入ります。相手の目線に注意しながら攻めると、攻め要られた時に無意識に小刀に目を落とす瞬間がありますから、そこを逃さず面を打ちます、小刀で相手の潜在意識を抑えて打つ理合です。

・自分から攻めて、小刀で左に払ってドウ

・自分から攻めて、小刀で右に払い、コテ

これは一、二の順ではなく同時に行う。相手が下がったら、直ちにメンを打つか、小刀で左に払ってメンを打つ

・大刀で攻めて、コテ

常に小刀の攻めを警戒している相手には大刀で攻めます。大刀をわずかに立てて打ち気をみせ、背の直後に小刀の刃を返して切り上げながら大刀を打ちおろします。大刀の攻めと小島の切り上げに潜在意識がhン王して居ついてしまったところをコテ打ちします。

・両刀で攻めて、突き

小刀で抑えられることを警戒して、上段や平青眼など剣先を大きく外した構えをとる相手には、相手の打ち気を常に小刀でけん制しつつ大刀の剣先を静かにおろして中段の構えに変化します。中段に変化すると同時に直ちに腰を勧めてそのまま大刀で突きます。小刀に意識を傾けすぎる人は、その小刀でけん制されるとそこから意識を他に移すことができずに釘付けになってしまいます。そのすきを大刀で攻め打つ理合。大刀の動きに相手の意識が向かないように、無念無想で静かにおろすのがコツ

・出ばなを小刀で切り落としてメン

相手が打ちこもうとする竹刀を小刀で切り落としてメンを打ちます。突きに対する応じ技と同じように横に抑えて打つのではなく、相手の中心に切り込むようにしながら大刀と小刀を重ね合わせて一本の竹刀にして打つようなイメージで打ちます。

・出ばなを小刀で切り落としてコテ

同じように小刀で切り落として大刀で相手のコテを打ちます。正二刀の場合は、小刀を持つ手と大刀を手首付近で軽く交差させます。逆二刀の場合は、両刀の剣先がともに相手の中心に向かうようにわずかにハノ字型になります。

・相手の攻めに対して、小刀で右に払い、コテ

・メン返し左胴

相手の面打ちを開き足の足さばきによって大刀側に移動してかわし、交わした直後に大小二刀を同時に動かします。えっかとして小刀は相手の打ち込んできた竹刀を斜めに撃ち落とし、大刀は相手の道を打ちます。相手の出方によっては小刀側に身体を裁いて打つ場合がありますが、これも理合は同じ。

・逆ドウ返しメン・ドウ返しメン

左足を引いて小刀の肘を少し下げて防ぐ。または、上体を左に捻って受け止める。そして、大刀で相手の半面またはドウに打ち込む。その時、小刀で相手の竹刀を払うことなく、自分の身に引き付ければよい。小刀で相手の竹刀を払うようような気分を出してはならない。小刀を前に出しすぎると左胴が空になり、小刀を引き付けるまでに打たれるので注意。

ドウに対しての返しメンの場合は、小刀はクロスするようにして相手の竹刀を受ける

つき返しメン

小刀で右わきの下へ払い落とすと同時にメンを打つ。小刀で右に払ってメンを打つ技と一緒に身体に叩き込むとよい。小刀で左にいなしてもよい

コテ抜きメン

ドウ返しメンの要領で少し小刀を引けばよい。そして、引くと同時に大刀で反面に打ち込むか、あるいは、鍔を少し上げて左に巻き落とすようにして、すぐ大刀でメンに打ち込むやり方もある。熟達してくれれば相手が小手を打ってこなくても、相手が小刀に意識を置いた瞬間に小刀を引くことによって相手の面を打つことができるようになります。

小刀コテ打ち

足は左足を前にし、直進の場合は小刀を斜めに打ち込む。当たりやすいが軽々しいコテの続けうちは審判の心象を害するので注意

コテを受けて小刀でメン

ドウを抑えて小刀でメン

小刀での打突「小刀での打突が有効打突になるには、小刀で相手を制している場合で、打った方の肘が良く伸び、十分な打ちで条件を満たしていることが必要条件とする。」

相手が大刀を持つ側のコテを打ってきたら、、大刀の鍔元で相手の竹刀を打ち落とすと同時に小刀でメンを打ちます。撃ち落とした大刀はそのまま腰に乗り、剣先を相手の喉に向けます。このかたちは、大刀で制した状態で小刀を打つという全剣連が定めた小刀で打つという全剣連が定めた小刀での打突の必要条件に適合するものです。

対平青眼

小刀に剣先を合わせず、平青眼で構える相手に対しては、小刀で抑えて打つという技が使えないのでやりにくいかんじはするのですが、逆に相手も剣先を大きく外しているためにこちらを攻撃しにくいものです。このような時には、相手の剣先と自分の胸元を結ぶ線上に小刀を置き、大刀で攻めます。平正眼に構えた場合は、相手はこちらの打突を引き出して後の先で打つ事を狙っていますので、大刀の攻めに対する相手の反応を見極めその拍子を外して打つ事が大事です。大刀で攻め相手の手元があがったところにコテを打つのが基本です

対上段

上段の場合、小刀を上に組んだ上段十字の構えで、上段の右または左のコテを打つか、胴を打って下がるのが基本、胴を打ち込む場合は、大刀を小刀の上に交差し、相手がメンに着た時、大刀で胴を打つ。小刀は自然と面を防御している。

基本的に二刀流が有利。上段の攻撃をする時は、右手前の場合は、左手を外して打ち込みにきて、左手前の時は左手で打ち込んでくるのが普通であるから、まず前になった手を攻撃するのが無難。

小刀の利かせ方

一つ、相手に小刀を意識させて、相手の心を小刀に引き付けてしまう方法。相手の心が小刀に乗った瞬間に大刀で打ってしまえば、相手は大刀のうちに反応できなくなるものです。

もう一つ、大刀の方に相手の意識を向けさせて、小刀を意識させない方法です。小刀で静かに静かに攻めていき、ここぞという時に相手の剣先を抑えると同時に大刀で打ちます。

二刀の構えに現れる一刀の癖

例えば、一刀を構えた時に左手が遊んでいる人は、正二刀で構えると、左手小刀の位置が下がってきてしまいます。また、打ち気が強く常に右手に力が入りすぎる人はだんだんと振り上げた大刀が立ってきますし、腕が疲れて長時間上段に構えていることも出来なくなってしまいます。

対二刀流は「二刀を意識しない」

二本の竹刀を意識すると意識が大刀か小刀どちらかに偏ってしまいます。大刀に意識を受け過ぎると、小刀の攻めに対応しきれず、逆に小刀を意識を向けすぎると、大刀の打ち出しがみえなくなってしまいます。

二刀流の場合は、二か所攻めでは物理的に簡単に受けられてしまいますので、ツキをし攻めてそれぞれに小刀が反応しようとしたときに、大刀側のコテを打つと見せかけて、その対応に動いた大刀の裏をかいて面を打つというように、二か所を攻めて大小の竹刀に防御反応をさせておいて、さらに空いた次の三ヶ所の隙を打つ、ということが対二刀流には必要となってきます。



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