物理力学入門①「物体運動」の基礎 ~「剛体の運動」原理を理解するために一から物理をやる~
スポーツをやる人間に物理(力学)必須
物理の目的は「自然現象をすべてきっちり説明すること」にあり剣道の運動も例外ではありません。剣道だけではなく、スポーツ選手において必須の学問といえるでしょう。そのカテゴリーとなります。
剣道に直接関係する部分というのは物理では「剛体の運動」というカテゴリーになるんですけど、その前の「力学基礎」がわかっていないと「剛体の運動」が全くできないので、一からやっていきたいと思います。難しいと思われるかもしれませんが力学の一番初めの部分のみで、熱・電気・音光・量子とか、そこまでは行きませんので、難しさは中学生・高校1年レベルです。
物理を考える前に力学の目的から
力学の目的は「位置」「速度」を「時刻の関数」として扱うことです。「物体がいつ(時刻)、どこ(位置)にいるのか」を知りたいという学問です。物理では自然現象を説明するために現状として「数式」を使っています。「数学」と違ってそれを「証明」するものではなく、自然現象を数学の言語に形づけてものとして考えてください。
最初において「剛体」ではなく物体は「質点」と呼ばれる粒子に限定します。質点とは「質量はあるが、大きさを無視した物体」つまり「質量を持つ点粒子」を指します。物体の位置を表現する最もスタンダードな方法は「直交座標系」で中学数学で登場するx軸、y軸(3次元であればz軸)の座標の琴です。
では、最初「速度」から考えていきます。「速度」とは「単位時間当たりの変位」です。また、単位時間は物理の世界では「1秒」が一般的です。簡単に説明すると「速度」とは「1秒間どれくらい進むのか」ということを数値化した値です。
「1秒間にどれくらい進むのか」を数式という言語を使うと「v=Δx/Δt」となります。「Δ」は、ギリシア文字の「D」に対応し、Difference(差、変化文)の意味です。つまり、この式は「位置xの変化分を、時刻tの変化分で割れば、速度vが得られる」ということを表現しています。時刻tはtimeの頭文字、速度vはvelocity(速度)の頭文字をとっているだけです。勘違いしてほしくないのは、これは公式ではないということです。この式はどこからきたのかというと「単位時間当たりの変位(1秒間にどれくらい進むのか)」という日本語の定義から数式に訳したものです。単位は「m/s」メートル毎秒です。位置は一般的に「m」で計測し、時間の単位は「s=second(秒)」となります。
「速度」と「速さ」は違う
実はこの2つは厳密にいうと違う物理量になります。「速度」というものは「大きさ」と「向き(ベクトル)」を持った物理量で、一方、「速さ」は「大きさ」の身を考えた物理量です。この2つの違いが今後どのように扱われるかというと、運動方程式であるF=amのaは「加速度(速度の変化分)」なので、「力」の大きさは「方向の変化量」も関係しているということで関係していきますので、この2つの違いは理解しておいてください。
「速度」と「加速度」は違う
物体の運動を予測していくためには、単にいまどのような「速さ」で運動しているかが分かるだけでは不便でした。その「速さ」が今後どんどん早くなっていく(加速する)のか、それともどんどん遅くなっていく(減速する)のかまでわかっていると非常に便利です。
ということで「速度がどのように時間変化していくのか」という「加速度」が導入されました。「加速度」とは「単位時間当たりの速度変化」です。数式で現すと「a=Δv/Δt」です。「a」は「acceleration(加速度)」ですね。「Δ」は、ギリシア文字の「D」に対応し、Difference(差、変化文)の意味ですので、「速度の変化分を時刻の変化分で割れば、単位時間当たりの速度変化(加速度)が得られる」という意味になります。
加速度の単位は(m/s2)メートル毎秒毎秒となります。速度をもう一度時間で割っているのですね。
等速直線運動
「加速度=0」というのは、「物体は、加速もしないし、減速もしない。つまり、速度は変わらない」という意味になります。加速度が0だからといって必ずしも「止まっている」とは限りません。「速度=0」だと物体は、止まっています。まったく動かずに「静止」していることも、同じ速度ですーっと運動することも「等速直線運動」であり「速度変化がない」という意味になります。
等加速度運動
さて、物体の様々な運動の中で、速度が一定ではなく、今度は「加速度が一定」の運動を「等加速度運動」と呼びます。さて、こっから物理でつまづいていくのですが、めちゃくちゃ丁寧にやっていきます。ここで縦軸を速さ、横軸に時間をとったグラフを用意します。v-tグラフという奴ですね。
この時大事なのが、グラフの傾きが「加速度」面積が「移動距離」を表します。たしかに、速さ×時間は距離なので、このグラフでいう所の面積は「移動距離」になります。「速度がどのように時間変化していくのか」というのが「加速度」ですし、グラフの傾きも「Δv/Δt」なので、傾きが「a」=「acceleration:加速度」になりますよね。
a=Δv/Δt。この変化量、点(0、V₀)と(t、V)のグラフの傾きを式で現すとa=(v-v₀)/(t-0)となりますね。変化分ですから差分ですね。
a=(v-v₀)/(t-0)
a=(v-v₀)/t
at=v-v₀
v=v₀-at・・・・・1つ目
これが、物理の教科書で暗記させられる等加速度運動の一つですね。
次に、グラフの面積である移動距離を求めてみます。
x=(x₀+)v₀t+1/2at²・・・2つ目
個々での表記だと、ややこしいので、他のサイトで観た方がいいですが
v₀×tは長方形部分、1/2×at×tですね。何故、縦線がatかというとt経過した時の速度だからですね。x0は初期位置と言って、初めの位置を意味します。
そして、この1つ目と2つ目の式から時刻tを消去するように連立方程式(中2)していくと
v²-v₀²=2a(x-x₀)・・・3つ目
という感じで、等加速度運動の式が3つ導き出されるわけですね。
なんでこんなこと丁寧にやっているかというと、この部分だけ覚えておけば、あとあと応用が効くんですよね。何故、これv-vの形をとるのかというと、「相対的」だからです。「Aから見たBの速度」「Aに対するBの相対速度」つまりは「Aという乗り物に【自分】を乗せて、【自分の目】で相手を見ると、どう見えるか」と考えます。Vr=V(相手)-V(自分)にすぎないわけです。
運動方程式
ニュートンは「物体の運動は、次の運動方程式なるもので完璧に解析できる」といいました
ma=F
この式が力学の中で最も重要ですが、この式は次のように日本語に訳すことができます
運動方程式は「質量mの物体に力Fを加えると加速度aが生じた」という、原因と結果の関係を示している
これはつまり「力を加えるから、加速度が発生する」ということを言っているだけにすぎません。
この運動方程式は導き出せません。この式はそもそも証明不可能であり、運動方程式は正しいと認めるほかありません。このような式を「原理」といいます。ニュートン力学の世界観は、この運動方程式が絶対に成立することを基盤に発展してきました。どうやら、世の中というのは運動方程式に従っちゃっているようなのです。証明不可能な式が存在することに抵抗を抱く人もいるかもしれませんが、それが物理であり科学です。実証的にどうやら現実をしっかりと説明できる式は、認める他にないようです。
そもそもニュートンは「同じ力を加えても、質量が小さい物体は素早く動く、つまり加速度が大きい。逆に質量が大きい物体は動かしにくい、つまり加速度が小さい。ということは、『加速のしにくさ』というものが物体それぞれに備わっているのではないか?じゃあそれを『質量』ということにしよう!」と考えた結果、ニュートンは「運動方程式」を見つけるに至ったわけです。そして「加速度aを決めている何かがあるはず。それを力Fと呼んでしまえ!」と考えたところなのです。
力を大きくすれば加速度は大きくなります。当たり前です。a=F/mという形に変形してみましょう。質量と加速度は式から、反比例の関係にあると理解できます。したがって、質量が大きいと、加速度は小さいわけです。つまり、運動方程式から、「重い物体は動かしにくい」ということを表現する式でもあるとも解釈できます。
力を大きくすれば加速度(速度の変化分)は大きくなる
重い物体は動かしにくい
こんなこと当たり前なんですけど、剣道でもこの2つは重要です。私たちは剣道をする時、「体重」という観点で剣道をみないですし、加速度が大きくなれば力が大きくなるという関係性を応用してみようと思いつきません。こういった万物の法則と剣道の行動に対して矛盾がないか確認できるのが、物理基礎を学ぶ意義に繋がっていきます。
剣道で必須となる「力」とは?
力の定義は「物体の運動上体を変化させるもの」「物体を変形させるもの」「物体を支えるもの」です。力は、矢印と長さで表現することできます。運動をやる時でもどの体のどの箇所からどのような矢印の方向が働いているのかということを考えられれば一人前です。
力の種類は力学では基本的に2つしか存在しません。それは「場の力(遠隔力」と「接触力」です。
場の力とは、物体にまたったく触れていなくても働く力です。力学では「重力」のことで、重力は、物体の重心から下向きに発声します。その大きさは重力加速度gという値を使って、mgとなります。地球の表面付近では、どうやら物体には常に下向きの加速度gが発生しているようなのです。なぜ重力が存在するのか、理由は物理の問題なのですが、実は、重力理論に関してはいまだに完璧に解決していません。ですので、ひとまず古典力学では下向きmgの力が重力として存在すると理解しましょう。
接触力とは、その名の通り「くっついて働く力」のことです。つまり、物体が「何かとくっついている」ならば、そこには必ず力が存在する、ということです。物体にはたらく力のうち、重力以外の力は、基本的には接触力の身です。力には、「弾性力」「垂直抗力」「摩擦力」「張力」「浮力」など様々なものがあると思い込んでいる人が多くいるのですが、これらはすべて「接触力」になります。ばねが「くっついている」ときに働く力を「弾性力」、床が「くっついている」ときに働く力を「垂直抗力」あらい床では「摩擦力」糸がくっついている時に働く力を「張力」水煮「くっついている」時に働く力を「浮力」と名前を付けているだけに過ぎないのです。力には、何千何百もしゅるいがあると思い込んでいる人がいるので気をつけましょう。
つまり、力というのはいつも2個セットということです。これは、最低2つ以上の物体がないと、そもそも「運動」という概念が存在できないということです。力は、必ず「何かと何かの間で生じ合っているもの」なのです。さらに、力の法則性でもっとも大事なのが「作用・反作用の法則」です。
これは「AがBに力を加える時、BもAに力を加える。そしてその2つの力は、逆向きに同じ大きさである」というものです。
つまり、アクションを起こせば必ず、リアクションが返ってくるということです。力には、必ずこの法則性が成り立ちます。
この至って当たり前の法則なのですが、これを剣道的に考えるならば、竹刀を打突した瞬間や竹刀の握り方、床の踏み方などに力が働くときどの方向に働くのかという考え方を持つ事の入門口になります。
この当然に関して理解できれば、今の自分の打突に作用・反作用の法則がちゃんと成立した打突になっているか?自分で確認することも出来るし、指導の内容の良し悪しを吟味する視野を手に入れることが出来るわけです。感覚でやっている剣道への脱出の1歩です。
慣性力:「存在しているように見える」力
泊まっている電車の中で風船がぷかぷかと浮いています。この状態で加速度aで電車を動かすと、風船が加速度aを持って、加速している方向とは逆方向に動いて見えることでしょう。力がないと加速度は生じるはずがないのに、これはどういうことなのでしょうか?
運動方程式を立式する場合、地面や床の上からなど「止まっているもの」から観て考えるものです。ところが、電車の例のようにものによっては「動いているもの」から観た方が運動を議論しやすいことがあります。そのように加速度運動している者から観た運動方程式を立てる際には、少し「味つけ」を加えないといけません。その味つけとは「慣性力」です。加速度aで運動しているものから見れば、自分以外の物体は、大きさは同じだけど向きが反対の加速度-aで運動していると捉えます。
加速度運動をしているものから見ると、物体はまるで「F=-ma」という力が存在しているように見える。この力を「慣性力」という
慣性力はそういうものと捉えてください。
エネルギーとは?? 仕事とエネルギー
運動をする時によく使われる「エネルギー」ですが、これはなんであるか理解する必要がありますので、ここで掴んでいきましょう。
「物体の運動はすべて運動方程式で語ることが出来る」と言っているのに、なんでまた新しいことを学ばなければならないのでしょうか。高校の教科書には、急に「仕事とエネルギー」の項目が登場して「仕事=力×距離」なんて公式を頭に叩き込んで人も多いと思います。
物体に一定の力を加えて、その力の向きにある距離だけ物体を動かすとき、その力と距離の積を「仕事」という
教科書ではこのように「仕事」を説明しているだけです。そして、「移動方向と同じ向きに力を加えると正の仕事、逆向きだと負の仕事、垂直方向だと仕事は0」なんて付け加えられたりします。そして「仕事W=力F×距離x」の式が枠に囲まれて強調されていたりするわけです。更に運動エネルギーに関しては
質量mの物体が速さvで動いている時、その物体は運動エネルギーKを持つ。運動エネルギーは「K=1/2mv²」で与えられる。
ここでなんで「仕事とエネルギー」が導入されるかというと「仕事とエネルギー」は「運動方程式」から出てくる情報で、運動方程式から「仕事とエネルギー」を導き出そうとすると「微分積分」の数学的素養が必要で、これが高校生にとっては少々きついということで教科書にはいきなり「仕事」や「エネルギー」というものがぽっと出てくるわけです。
v²-v₀²=2a(x-x₀):等加速度運動の式
mv²-mv₀²=2ma(x-x₀):両辺に質量mをかける
1/2mv²-1/2mv₀²=ma(x-x₀):両辺に1/2をかける
1/2mv²-1/2mv₀²=F(x-x₀):運動方程式ma=Fより
このように式を変形した時に左辺を「運動エネルギー」右辺を「仕事」と呼ぶことにしたんです。順序を逆にしてはいけません。仕事とエネルギーを覚えてからではなく、運動方程式をいじったものを仕事とエネルギーと呼ぶようにしたというだけです。この式をさらにいじると
1/2mv₀²+W=1/2mv²
「はじめの運動エネルギーに、仕事を加えると、後の運動エネルギーになる」と解釈できます。この式を「仕事とエネルギーの関係」とか「エネルギー原理」と呼んでいるだけです。計算上、面倒だからこの式から解いた方が楽だよねっていうことだけなんですね。
位置エネルギーとは?
物理の授業で使われる「位置エネルギー」とは何でしょうか。結論を述べると、そんなに重要度は高くはないです、解説します。
まず、重力のする仕事というのは「鉛直距離」で決まります。どんなに斜めに落下したり、風船のようにふわふわ落下したとしても、重力の仕事はかわらず「鉛直距離」で決まるというわけです。結局のところ、重力のする仕事は「どれくらいの高さ(鉛直距離)で落ちたのか」で決まる値で、落ち方には影響を受けません。ぐにゃぐにゃに動いても、hだけ堕ちたら、重力のする仕事は「mgh」となります。つまり、「重力のする仕事」は確約されているわけです。そうであるなら、最初から見積もっておいて「仕事」として計算するのではなく、むしろ運動エネルギーのように「エネルギー」として扱ってみよう、ということで、これを「物体の位置情報で決まる」ことから「位置エネルギー」と呼ぶことになっています。
「位置エネルギー」の解釈は複数あって「重力に釣り合うように力を加えて高さhだけ上げたときに物体に加えた仕事が位置エネルギーである」というのが一般的ですが、それよりかは「確約された、約束された仕事」が「位置エネルギー」だという方が分かりやすいでしょう。このように「確約された仕事」つまり「位置エネルギー」を定義できる重力のような力のことを「保存力」といいます。重力は代表的な「保存力」です。他には、「ばねの力(弾性力)」、電磁気で登場する「静電気力」などが保存力になります。なお、摩擦力などは、「保存力」ではないので「非保存力」といいます。
「運動エネルギー」+「位置エネルギー」=「力学的エネルギー」
サイエンスでは、変わらない者に対してよく「保存」という言葉を用います。この場合、「力学的エネルギーは保存される」ということになります。
仕事とエネルギーの関係式:1/2mv²₀+mgh₀+W=1/2mv²+mgh
力学的エネルギー保存則:1/2mv²₀+mgh₀=1/2mv²+mgh
左辺がはじめの力学的エネルギーで、右辺があとの力学的エネルギーです。仕事が全くなければW=0となります。誤解されやすいのは、この保存則には適応条件があると言ことです。仕事Wという「何かしらの力」というのは摩擦力などの「非保存力」です。「重力」や「ばねの力」は、「位置エネルギー」としてカウント可能なので存在しても問題ありません。つまり、結論を言うと摩擦力などの「非保存力」がない場合「力学的エネルギー保存則」は適応できるとうことです。「保存則」はいつでも使えるわけではなく、適応条件があることを理解しておきましょう。
「力積と運動量」:「仕事」と「力積」の違いとは?
この導き出しも「仕事とエネルギー」と同様に、運動方程式から導き出します。
質量mの物体が今、はじめ速さv₀で動いているとします。この物体に一定の力FがΔt[s]加わったあと、速さはvに変化した、という運動を例に考えます。
では、等加速度運動の一番目の式を用意します
v=v₀+at
v-v₀=at
mv-mv₀=ma・t
mv-mv₀=F・t
このようにこの式の左辺を「運動量」、右辺を「力積」と呼んだだけです。
教科書には「力積は、一定の力が働くとき、力と作用させた時間の積、つまりF・Δtで表す。運動量は、質量mと速度vの積、つまりmvと記述し、『運動の勢い』を表している」
よく運動量を説明する時「運動の勢い」というフレーズが付きますが実際は先にmvが生まれて、「運動の勢い」と名付けただけです。あんまり「運動の勢い」というイメージにとらわれないようにしましょう。
「仕事」と「力積」の違いは、仕事は力に距離をかけ算しているのに対して、力積は力に時間をかけ算しています。このことから仕事のことを「力の距離的効果」、力積を「力の時間的効果」と表現することがあります。
運動量保存則
力積も仕事とエネルギーのように保存則があります。運動量保存則の代表例である「衝突」という現象を材料にしましょう
いま、質量がmとMの物体A、Bが衝突した瞬間に「作用・反作用の法則」で衝突時の物体に働く力は逆向きで同じ大きさになります。そして、A,Bは衝突後にはじめとは違う速度になって離れていきます。
これを式で表現すると
Aについて:mv₁+(-f)・Δt=mv₁'
Bについて:Mv₂+(f)・Δt=Mv₂'
もちろん、衝突時の接触時間Δtも両物体で同じ時間になります。復讐ですが、Δは「D」の意味でDiffrence=「差分」ですので時間の変化量です。
この2つの「力積と運動量の関係」の式を両辺足してみると
mv₁+Mv₂=mv₁'+Mv₂'
これを「運動量保存則」といいます。足すと、ちょうど「力積」の項が正負逆なので、キレイに消えてしまいます。つまり、出来上がった式は「衝突前の両物体の運動量の合計は、衝突後の両物体の運動量の合計と何ら変わっていない」という意味だと解釈できます。それぞれの物体の運動量は、衝突前後で変化しますが、2つの物体をまとめて考えると運動量の和はまったくかわっていないということです。
「運動量保存則」の適用条件は、法則を導いた時の操作を見返せば気づきます。この保存則は「力積」の項が逆符号であるため、足して消去できたわけです。それは、とどのつまり衝突時に働く力が、その物体間のみ及ぼしあう「作用・反作用の力のみ」であればよいわけです。
もっというと「物体系」においてその複数の物体が、お互いに力を及ぼしあうだけであれば、一般的に「運動量保存則」は成り立ちます。
このいくつかの物体がお互いに作用しあう力を「内力」と呼びます。
つまり、物体間の中だけの力ってことですね。
この「運動量保存則」は物体間での衝突時に適用する法則です。つまり、身体を動かす筋肉や骨。剣道でいうと竹刀での打突時にもこの考えが適用します。
はい、というわけで、この記事で運動方程式の使い方がみえてきて、いかに質量や速度というものが力において重要な要素であったり、構成要素だということが気づけたのかなと思います。こういうのは剣道に直接上達する要因というよりかは、何か剣道をやっている時、壁にぶち当たってつまづいたりした時に、考えるための基礎的な材料の一つになっていきます。
身体の力に「内力」「外力」の違いも理解できたのはないでしょうか。次回は、直線以外の回転運動についてやっていきたいと思います。
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