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「耳」で、全身をほぐし、美しい姿勢を形成。剣道の運動能力を飛躍的に向上させる

皆さん、「耳」と「剣道」が関係あるのかと思われるかもしれませんが、とんでもない。「目・耳・鼻・口」といった感覚器官が脳・神経・消化器に影響を及ぼし、全身の筋肉の筋収縮に影響を及ぼしております。そして、現代人は無意識に身体を緊張(筋収縮)状態にさせている。そうすると、身体が固まって自由に動けなくなってしまいます。人の身体は柔らかいと動きます。人の身体を固くするときというのはパワーを集中させるときだけ、つまり、打突する瞬間だったり、足を前に出した瞬間、その部分部分だけを固めていくわけです。それ以外は基本緩めなければなりません。

今回は身体のケアする時に「耳」という部分の知識を紹介し、現代人が常に抱えている無駄な「力み」を取り除くことで、身体の動きをスムーズにしてあげることが目的になります。

「蝶形骨」 ~耳が緩むと全身が緩む~

耳は身体のパーツとしては大きくありませんが、その周辺の筋肉は身体の側面を介して全身に繋がっています。

蝶形骨

蝶形骨は、左右のこめかみからこめかみへと繋がっている骨で、大脳の前頭部を乗せるお皿のような構造となっています。「頭の芯」でありこの蝶形骨は、食堂などを取り囲む筒のような膜構造を介して横隔膜に繋がっております。蝶形骨が変位すると、この膜構造が緊張して横隔膜の運動が制限されます。横隔膜が固まってしまうと、上半身・下半身が分断され、身体は安定性を失い緊張する上、呼吸が妨げられて、その結果、交感神経優位となり、中枢神経全体の緊張度が高まり、筋肉が緊張しやすい状況になってしまうわけです。

耳が緊張して側頭部が堅くなると蝶形骨が圧迫されて、変位しています。

また、耳のつながりは、胸鎖乳突筋を中心に身体の側面側全身に繋がっているので、地味に運動にも重要な部位となります。

耳が緊張するとはどういった状況か?

「耳」って緊張するのか?

実験として、リラックスした状態で何か難しい話を一生懸命聞いているじょうきょうをイメージしてみましょう。

おそらく首筋から肩にかけて力が入っていると思います。

あるいは、黒板をぎーっとひっかくような深いな音が耳に入ってくるのも同様です。この時に、頭の側面で耳が付着している辺り、耳の後ろやこめかみが固くなって緊張しているはずです。

身体にとってストレスになる騒音や聞きたくない話を聞かされると、耳が緊張する

剣道の「発声」で相手の「耳」を緊張させる

これ逆の視点で考えると、剣道の「発声」による効果でもありますよね。汚い発声を上げれば、相手の耳を緊張させ、身体を硬直させることができるわけです。

顎を前に突き出す理由(カンベルライン)

蝶形骨 位置

カンベルライン

顎の位置について語っていますが

カンベルライン:耳珠点(耳の中間)と鼻下点(鼻の下)を結ぶ平面ライン

フランクフルトライン:耳の穴上縁(耳上部)と眼窩(がんか)下点(目下)を結ぶ平面ライン

この蝶形骨の傾きですね。蝶形骨を正しく前頭葉を乗せる皿として機能させるためには、鼻の下部分(この画像では中央になっていますが、正確には下部分)と耳の中央部分を床に対して平行にする必要があるわけです。目と耳の中央部分を床に平行にすると、脳が前方に、蝶形骨が前方に傾き、緊張してしまうということですね。人類は、脳の前頭葉を大きくすることによって、記憶、学習、長期計画といった機能を獲得しましたが、頭の重心が大後頭孔より大きく前方へと移動しました。そのため、単純に頭をのせるだけでは、頭の重心を背骨に通せなくなってしまった。じゃあ、どうしたらいいか?それは、首を少し後ろへ曲げることです。そうすれば、頭の重心は後ろへ移動するので、無事に頭の重心を背骨の中に通すことができるのですね。すると、腰椎の椎間板は圧縮されて、後ろへのバイアス(偏り)が発生して腹筋が旗ら抱きだします。つまり、背骨を硬くすることなく立つ事ができるわけです。

前述していますが、このブログでは「顎を引く」という剣道の基礎動作に対しては反対の意思を示しています。顔のパーツのリラックスは身体全身のリラックスさせ身体の機能を向上させます。

顎を突き出すというよりは、蝶形骨を正しい位置に整えるといったイメージなります。

カンベルライン(顎をやや前に突き出し、首を後ろに少し曲げる)で蝶形骨を整える

耳を緩めるトレーニング

耳を引っ張る

中指と親指で耳を表裏から挟むように軽く持ち、ほんの少しだけ側頭部から離すようにして、そのスペースを感じます。耳の付け根周辺が柔らかく広がりながら緩むのが分かると思います。

蝶形骨をほぐす両耳引っ張り

両耳を軽く持ち、その間に蝶形骨のお皿がぶら下がっているとイメージして、呼吸で上下させる。頭中心の現代人はこの蝶形骨の自由度が低くなっているのでほぐしてあげる

聴覚野で聴く

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聴覚野とは、耳に入った情報を処理する脳の部分でありますが、それは耳より上、頭の側面にあります。

この部分を意識するトレーニングになります。

耳自体は、多淫に情報が通過する入り口に過ぎないので開いているだけでよいわけです。本当にエネルギーを使うのは情報処理の方なのに、耳で頑張りすぎて「聴覚野」までエネルギーが回っていない場合があるわけです。これは解剖学的に根拠があるわけではありませんが活性度を高めるべきところの意識をやしなっていくものとして紹介しておきます。

耳を使って平衡感覚を活性化させる

耳の穴を開いて音をよく聞く

内耳の中で音を伝えるのは「蝸牛(かぎゅう)」という器官ですが、聴覚が刺激されることで「平衡器官」が同時に活性化します。「平衡器官」は重力に対するセンサーにもなっているので、このセンサーが活性化することで、身体の重さを最適なバランスで受け止めようとする自己調整機能が働き、その結果、身体がまっすぐになるわけです。「まっすぐ」とは、重量負荷を最小にするためのまっすぐです。ここで重要なのは、自己調整機能によって「まっすぐ」になったのと、「身体をまっすぐにしよう」とコントロールすることとは全く別物であるということです。耳を使って重力センサーを活性化することができれば、自分自身で「軸が立っている状態」をつくり、またそこに戻れるわけです。これは誰かかから教わり身につけようとした「軸」とは全く異なるものです。

「耳の穴の通りが良くなっていることをイメージする」ことで聴覚野が刺激されます。先程、嫌な音を聴くと耳を塞ごうとして、前かがみになり緊張すると言いましたが、それの逆で耳の穴を開くことで、良い姿勢になるということです。剣道でしたら自分の発声に対して耳を済ませたり、相手の発声に耳を済ませたり、「発声」を利用するのがいいかもしれませんね。

耳の穴を開くイメージでいると自然と身体の「軸」を形成できる

まとめ

耳を緩めることが、身体全身に影響を及ぼす。こうした些細な部分を修正していくことで剣道の身体裁きがスムーズになっていきますので、是非試して見て欲しいと思います

・耳の穴を開くイメージでいると自然と身体の「軸」を形成できる
・耳より上、頭の側面にある「聴覚野」を意識する
・カンベルライン(顎をやや前に突き出し、首を後ろに少し曲げる)で蝶形骨を整える

画像引用


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