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身体物理基礎②クローンの法則(摩擦)に乗っ取り、剣道場の床の摩擦係数と足の踏み込む角度に注意する

重力・地面反力と運動方程式はいかがでしたでしょうか。力学はもう一つ「摩擦」をやっていきたいと思います。この「摩擦」というのも地球上で生きている限り目をつぶることができませんが、「摩擦」が剣道にどういった影響があるのでしょうか。それではいってみましょう。

摩擦とは、互いに接する二つの物体が接触面に沿って相対的な運動を行うことを妨げる力である。静止した物体の間にはたらく静止摩擦(静摩擦)と、互いに対して運動している動摩擦(運動摩擦)の二つの領域がある。摩擦力は常に接触面の相対的な滑り運動を妨げる方向にはたらく。すなわち、静止摩擦の場合には動き出そうとする方向の逆向き、動摩擦の場合には相対速度の逆向きである。たとえば、斜面上の物体が滑り落ちずにその場に止まることができるのは静止摩擦力のはたらきである。多くの状況では、摩擦力の強さは接触面の面積や運動速度によらず、荷重のみで決まる。この経験則はアモントン=クーロンの法則と呼ばれる。

摩擦の基本的な性質は15~18世紀に実験的に明らかにされた。現在では以下の三つの経験則(アモントン=クーロンの法則)が知られている。

アモントンの第一法則: 摩擦力は加えた荷重に直接比例する。
アモントンの第二法則: 摩擦力は見かけの接触面積にはよらない。
クーロンの摩擦法律: 動摩擦は滑り速度によらない。
これに「静止摩擦は動摩擦より大きい」という第四の法則を付け加える場合もある

このとおり、剣道で影響があるモノと言えば体重による摩擦力。軽い方が動きやすいということと、「静止摩擦は動摩擦より大きい」というのは止まっている方が摩擦力が大きくなるということなので、打突する前に重心を前方に傾ける「溜め」という技術が、打突する前に身体を静止摩擦から動摩擦におくことにより前に推進しやすくなる効果があるというわけですね。

剣道の全てを狂わす「摩擦係数」

また、物体と物体の間の摩擦によってもその摩擦の力が変わる。

例えば

金属と金属の間だと摩擦係数が0.1~0.2

木材と木材の時は0.4~0.7となる

では、自分の裸足の足と体育館や道場の床と接地させた時どうなるのであろうか。基本的に床は木材ですが、木材の間でも摩擦係数が0.4~0.7と開きがあります。

最新の武道館ですと素足で使用する剣道場床には針葉樹の無垢床材ではないかと思います。無垢材とは、接着結合や混ぜ物がない本来の木そのもののことです。その他の体育館の場合だと、靴を履くため、剣道に絞った床材を使う必要がありませんので、合板フロアーは、薄くスライスした木材を貼りあわせた物、集成材は、同じ樹種の木をフィンガージョイントなどで結合した物を使用していると思います。そのため、体育館だと摩擦係数が0.7くらいに大きくなっている可能性があるわけです。

練習場所によっては摩擦係数の大きめの床で稽古している可能性もあります。体育館から武道館で稽古すると足が滑りやすくなるのは摩擦係数に差があるためです。この差というのは、いろんな場所で稽古された方は経験則で意識されたことがあるかもしれませんが、足のキック力の負荷を変えた剣道が求められるわけです。

木材だけでも摩擦係数が違うので会場で床の滑り具合を確認すべし

摩擦角:スポーツで靴をはく理由

摩擦角度

物体を斜面上においても、傾斜角の小さい時は滑らない。それは摩擦力によって止められているからである。だんだん傾斜を大きくしていくとついに滑り始める。そのときの傾斜角Θを静止摩擦角という。垂直圧力はWcosΘ、傾斜に反って引き下ろそうとする力はWsinΘであり、静止摩擦係数u=tanΘという関係がある。(三角関数は回転の数学で、数Ⅱ)

さて、靴底と床面との摩擦角Θであるときに、じっさいの運動場におけるキック角度a度がΘの内にあるならば、静止摩擦角以下なので、床面と靴底の間に滑りが生じない。しかし、大きな推進力(地面反力)を得ようとして、クック力の水平方向成分を大きくしようとして、キック角度がb度のように、摩擦角Θの外に出てしまうと、スリップをおこす。スポーツでは、床と靴底の間の摩擦角を大きくするように用具の工夫がなされている。

ランニングシューズには、なるべく、踵の方が底が厚くなっているはずである。しかし、残念ながら、剣道はランニングシューズを履いて稽古できませんので、高い傾斜角を出してキックをするとスリップしやすくなりますし、摩擦係数の高い体育館で稽古していれば、より摩擦角を大きくして左足のつま先を蹴ろうとして稽古するでしょう。勿論、武道館での稽古の方が脚に無理な負荷をかけなくて済みますので、技とすり足のレパートリーが増えることでしょう。

足の接地と摩擦を考察する

さて、歩行の原則において、このような原則がありました。

力のベクトルが縁直線となす角度は前方へは着地直後に10度、外方へは最大5度、後方へは離地直前に10度以上

接地した直後というのは足が前方に10度傾くわけですね。あらゆる競技において、剣道でもそうですが、気持ち足先を10度上げた状態で踏み込んでいくとブレーキがかからない踏み込みになるということです。よく床に対して水平にとは言われますけどね。コテ打ちの場合は強く踏み込むことを意識した場合は、踏み込んだ後に、足が自然と前方に10度傾くので、中々打突した後メンよりも前に進まなくなるという現象が起きます。コテを打った後に相手の方に身体を寄せるのならば、踏み込む角度というのにも意識した方がいいのかなと考えます。

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