見出し画像

【CSR・SDGs取組み事例】テゴラボ担当者は見た。漁網メーカー×ホテルが生み出した「漁網たわし」誕生の瞬間。

 漁網メーカーの日東製網と、ホテル運営を手掛けるサン・クレアのコラボレーションによる新たなプロジェクト。きっかけとなったのは1通のメールマガジンでした―。

 両社の出会いからプロジェクト誕生までをテゴラボ運営担当者目線で追いかけた、編集後記ならぬ“プロジェクト後記”をお届けしていきます。

●企業紹介
株式会社サン・クレア

 福山市に本社をかまえる「サン・クレア」は、2015年に創業し広島・愛媛・岡山で7つのホテルを運営する。運営するホテルの特徴は様々。「ANCHOR HOTEL FUKUYAMA」は2017年の立ち上げ時に掲げた「国内外の方々に、このまちの魅力的な人・技・物を伝え繋いでいく」をコンセプトに、地元企業とコラボした内装・設備を取り入れオープンした。現在もコンセプトを体現することにこだわり、地元の企業とコラボした企画を次々と打ち出している。

●企業紹介
日東製網株式会社

 明治43年創立。定置網や養殖網など各種漁業で使用する漁網を中心とした網の総合メーカー。
漁業の現場で積み重ねた経験とノウハウをベースに、最新の技術を駆使して網の研究、開発を重ねており、無結節網の製造機を世界で初めて発明。漁網の分野で国内シェアの半分を占める。


「漁網たわし」プロジェクトとは?

 「漁網たわし」プロジェクトとは、日東製網の漁網(まき網)製造過程で生じた端切れをアップサイクルした”たわし”を、サン・クレアが運営する「ANCHOR HOTEL FUKUYAMA」(以下、アンカーホテル)宿泊のお客様へ無料貸出するというもの。

 漁網の製造過程では必ず端切れが生じるため、本来であれば廃棄、あるいは新たにエネルギーを消費しながらリサイクルをする必要があります。

 アップサイクルにより、エネルギー消費や環境負荷を抑えながら、「アンカーホテル」利用客の方にとっても嬉しい、両社にとってメリットのあるコラボレーションというわけです。

▲日東製網製の漁網を使用した「漁網たわし」

きっかけは、一通の「メルマガ」だった

 今回のコラボレーションのきっかけとなったのは、TEGO-LAB(テゴラボ)編集部が毎週配信中の“メールマガジン”でした。

 テゴラボでは、地元企業様のSDGs・CSR取り組み事例や、SDGs・CSRにまつわるニュース記事、助成金・補助金の情報、ラジオ番組「ひも解くトーク」(※)のアーカイブ情報など、備後企業様の“サステナブルな取組に役立つ”情報メールマガジン「週刊TEGO-LAB通信」を、毎週金曜日に配信しています。

 サン・クレアの広報である東さんは、とある週に配信した「週刊TEGO-LAB通信」で、日東製網の常務取締役 製造本部 本部長である小林さんが出演されたラジオ「ひも解くト~ク」の紹介を目にしました。これが今回のコラボレーションのはじまりとなったそうです。


▲コラボのきっかけとなった「週刊TEGO-LAB通信」(一部抜粋/現在は配信終了)

 その後、東さんから、「日東製網さんの廃棄漁網を活用した取り組みに感銘を受けて、自社でも何か一緒に取り組みができないか―。」といったご相談を受け、テゴラボ編集部は両社をお引き合わせできるよう算段を整え、打ち合わせの場を設けさせていただくに至りました。

▲両社による打ち合わせの様子

 東さんには日頃から、旅行でマイボトルを持ち歩くお客様がいる中、旅先でボトルを洗うことは結構難しい。この課題をなんとか解消できないだろうか」という想いがあったそうです。

 日東製網のみなさんは、まず廃棄漁網で作ったバッグや、様々な網のサンプルを見せ、プロジェクトに活用できそうなものを検討していきました。

 また、使用済みの廃棄漁網ではなく製造過程で必ず発生してしまう端切れの方が適しているのではないかと、関係各所に確認も進めていったそうです。

 結果、打ち合わせ初日で話がまとまり、日東製網の漁網製造過程で出た端切れをマイボトル洗浄用の「漁網たわし」として生まれ変わらせ、アンカーホテル福山の利用客に提供することが決まりました。

 打ち合わせの直後、東さんはさっそく「漁網たわし」1号を試作。その1週間後にはプレスリリースを発表という、両社ともに前のめりな姿勢によって、スピーディにプロジェクトが成立しました。

企業同士のコラボレーションで大切なこと

 旅先でも脱プラスチックを心がける旅行者の思いに寄り添いたいというサン・クレアの想いと、製造過程で生じた端切れをサスティナブルに再利用したいという日東製網の想いがあわさり、今回のコラボレーションは実現しました。

 そのきっかけが、テゴラボ編集部が発信するメールマガジンだったということは、備後の企業課題と地域課題を解決するプラットフォームとしては非常に喜ばしいことです。

 企業間プロジェクトにおいては、「他社を知ること」をはじめ、「他社事例を自分たちにも応用できないか」を考えたり、「アイデアベースでとにかく動いてみる」ことなどが大切であると、あらためて感じさせられる出来事だったと思います。

(記事初出:2023年7月6日)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?