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【エッセイ】2022年11月ダイビング記録

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車に乗り込むと私と同じくらいの年齢の男性ダイバーが3人いた。このショップでは歳上と一緒に潜ることが多いため新鮮だった。

私は後部座席に座り、ぼうっと風景を眺めていた。すると隣に座っていたダイバーが話しかけてきた。お互い自己紹介を兼ねて話してみた。

「どのくらい潜っているんですか?」

「…まだ40本なんです。」

「あっ、僕も始めたばかりなのでやっと20本行くか行くないかです!」

私は自分から話しかけるのが(面倒くさいので)苦手だったため、話しかけてもらえるのは有り難かった。

「何歳なんですか?」

「今年で31になります。」

「えっ、僕も31です!」

初めて同い年のダイバーと出会った。話を聞いてみると、接客業をしており3年ほど前に沼津に転職してきたらしい。正社員でありながら週3日のシフト制で勤務しているという。前職での不満やストレスから逃れるために転職したのだそうだ。

目的地に到着し、私たちはダイビング準備を始めた。

私は空き時間にもう1人の同じくらいの年齢のダイバーと話した。

そのダイバーは29歳だという。筋肉質で体格が良い。ラーメン二郎が大好きで、突発的に新幹線に乗って東京へ行くこともあるんだそうだ。私と同じ組み込みエンジニアだったが、仕事内容が自分に合わず1年ほど前に沼津へ転職してきた。8年ぶりにダイビングを再開したそうで、今後続けていくかは未定らしい。

今回私はドライスーツの中性浮力の練習をしつつみんなの泳ぎを後方から観察していた。

みんなセンスが高いのか、昔の私みたいに逆立ちになりながら浮いていくアクシデントを起こさなかった。ドライスーツは足に空気を溜めて中性浮力を維持することになるので、空気を入れすぎると犬神家の一族のアレみたいな格好で浮上してしまう。つまり、みんなドライスーツに適切な空気の量を入れることができていることになる。(もしかしてこの中で私が一番下手なのでは…?)

他にもみんなと一緒にドライスーツの脱着方法を学ぶことができ、自己流で悪いやり方をしている部分を改善することができた。何事も慣れると悪癖がつきやすい。

ダイビングを終えて帰路に着いたとき、私と隣に座ったダイバーは仕事の不満を知らず知らずのうちにこぼしていた。

「楽な仕事って無いですかねえ。」

「無いと思いますよ。どんな仕事でもやっぱり苦労はありますよ。」

「でも、やっぱり楽な仕事やりたいです。」

筋肉質ダイバーが割って入った。

「わかります。」

仕事で疲弊した人間の愚痴を、伊豆の海は何も言わずに受け止めていた。

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