【エッセイ】シンガポール旅行記

学生時代、僕はシンガポールで一人旅をしており、観光名所の一つであるユニバーサルスタジオに訪れた。

アトラクションについて調べてみると、テラフォーマーの3D映像が評判だったので最初に行くことにした。

ユニバーサルスタジオは9時開演だった。僕はそれより1時間早く到着し、同じくエントランスの門の前で開演を待つ人たちの最前列に入ることができた。

8時30分頃、僕は振り返ると横並びに三列程度の人が集まっていた。日本と違い思ったほど混まない状況にはりきり過ぎたと反省していたが、8時45分にもなるとたくさんの人が私の後ろで待機していたので考え直した。

9:00になり、エントランスの門が開いた。

一列目の人たちが走り始めた。僕もつられて走った。走っている人たちの先頭集団は大体お一人様だった。僕もこの集団の中に混じった。僕はこの集団について行けばテラフォーマーを見れるだろうと直感した。

ユニバーサルスタジオは6つのエリアに別れており、テラフォーマーのアトラクションはSci-Fiシティに位置する。Sci-Fiシティに着くにはエントランスを抜けると必ず通るハリウッドエリア、ハリウッドから出て右手にあるニューヨークエリアを通る必要があり、距離が長い。彼らとの競走に勝ち、トランスフォーマーを並ぶことなく見るためには、長距離ダッシュをし続けなければならなかった。

マラソンとは違い最初から全力で走らないといけないので、すぐに先頭集団からポロポロと脱落者が出てきた。僕もハリウッドシティを抜けるまでは体力が持ったが、ニューヨークシティに差し掛かった頃には心臓がバクバクしていた。僕はトップとの差が徐々に開き、さらに4人の後続ランナーに抜かされてしまった。

ふとある考えが僕の頭によぎった。

「ちょっとペース落としてもテラフォーマー並ばずに見れるんじゃない?」

僕は5位だった。前のランナーを見失うことさえしなければ、テラフォーマーにたどり着けるはずだ。僕はペースを落として無理なく走り続けた。

しかし、前のランナーとの差も徐々に離れていく。このランナーだけは見失ってはいけない。私は懸命に前のランナーについて行った。

予期せぬことが起こった。前のランナーがセサミストリートのアトラクションに吸い込まれて行った。

僕が油断をした瞬間、またも後続ランナーに抜かされた。しかし僕にとってその事はもう問題では無かった。

僕はその場で立ち止まり、自分が今どこにいるか、そしてどうすればテラフォーマーのアトラクションに辿り着けるか道順を調べた。僕は道順を確定して走り始めた。

僕はテラフォーマーのアトラクションにたどり着いた。全く混んでいなかったが、僕より前に到着した人がいる事が悔しかった。僕たちは肩を上下に揺らし息を切らしながら場内に入り、臨場感あるテラフォーマーたちを見て楽しんだ。

観賞を終えて外に出ると長蛇の列ができているのを見て、僕はなんとも言えない奇妙な達成感を味わっていた。

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