見出し画像

phaさんの書籍を読み漁ってみた(ふらふらした人生を味わいたい人向け)

phaさんの活動は元々知っていたけれど、休職して「もう働きたくないなー」と思ったときにガッツリ読んでみることにした。京都大を卒業して公務員になったけれど、3年働いて辞めた後シェアハウス経営をしながらなるべく働かずに生きている人の軌跡を私は心から渇望した。もしこのまま会社を辞めてふらふら生きていくことになったら私はどんな人生になるだろう。参考資料が欲しい。また、私はphaさんに憧れを抱いていた。思わず「さん」付けしたくなる。会社を辞めてふわっと生きているのがなんかかっこいい。そんなわけで何冊か読んだので感想を書いてみた。

ニートの歩き方

個人的にこれがphaさんの代表作。この本は以前記事にしたので、こちらをお読みください。ニート必読です。

どこでもいいからどこかへ行きたい

「どこか遠くへ行きたい」という欲求が元々強いphaさんが金をかけずに時間をかけてふらふらと旅行する記録が書かれている。いかにして金をかけずに旅行を楽しむか。タイトルから推測できるように、phaさんの旅行には目的が無い。この自由きままさが社会人に刺さる。この旅行はやろうと思えばできるけど、たぶん今の私には楽しくないだろう。私の趣味はダイビングなので、旅行するにしても海に潜るという目的だけは持っている。phaさんはせっかく小笠原諸島まで来たのに何もしなかったそうだ。せっかく来たのだからその場所でしかできない体験をすればいいのに。金をかける趣味を持つことが本当に性に合わないんだろう。また、撮った写真の中に海に沈む夕陽があったらしい。美しいから写真に収めたんだろうけど、もし今日死ぬとわかっていたら海に沈んでいく夕陽なんか恨めしいとしか思えない。美しいを超えて畏怖の念すら感じる。この人の心は余裕があるな。

でも私は安いホテルだろうが、夕飯はコンビニ飯でも構わないという点ではphaさんのコスパの良い旅行テクニックは参考になる。サウナの話は面白かった。私は水風呂が苦手でサウナを遠慮していたけれど、phaさんのサウナ法を参考にしてサウナ巡りしてみたくなった。カフェインの話も参考になった。お茶なら「利尿作用があって体に良い」とかコーヒーなら「体温を下げる効果がある」とか言われていて本当に体に良いんだろうけど、カフェインによって生じるイライラ感というのはあるのかもしれない。仕事や子育てが大変でみんなイライラした時はお茶じゃなくて麦茶やルイボスティーの方が良いのかもしれない。

「他人とコミュニケーションしたいとい」という本当は社会的な欲求が、カフェインを含むアッパー系飲料やアルコールというダウナー敬飲料を摂取するという原始的な精神変容行為と結びついているのは面白い

pha著「どこでもいいからどこかへ行きたい」

こういうことを急に書くからphaさんのエッセイは面白い。

がんばらない練習

phaさんは面倒くさい、だるい、苦手などネガティヴな感情を抱えた作業に対して徹底的にやらない。本書では、そんなphaさんのやりたくない作業について書かれている。別に何かがんばらないための練習メニューが書いてある訳じゃない。それにしてもがんばりたくないことがめちゃくちゃ多い。これで生活できているというのはサラリーマンやってる身からしたら知らない世界すぎる。

ただ、著者の作品には時々「飽きる」という言葉が出てくる。この「飽き」が増えることでphaさん老いが感じられる。いつまでも飽きずに何かをやり続けられる人って若々しく見えるけど、シャアハウスを辞めたあたりから加齢臭を嗅いでるような生生しさがある。

しないことリスト

実践系(?)の自己啓発本。珍しく断定的な表現が多い。しないことリストなのに「頭のなかだけで考えない」「読みっぱなしにしない」など、それなりに作業させようとしてくるので注意が必要だ。また、自己啓発本なのでそれなりにいいことを言っているような気がする。このリストに書いてあることの大半は、少なくとも私はしたことが無いのでいくつか試してみるだけでもコスパの良い生活ができるようになると思う。phaさんになりたければ全部リストを達成するといいだろう。

持たない幸福論

これも自己啓発寄りの本。なぜやりたくないことをやらないかについてのphaさんなりの思想が溢れている。phaの行動に対するロジックが読めるので興味がある人はオススメ。私個人としては、社会と自分の関係の項目について鬱からの回復サイクルが図示されていて、これが非常に共感できた。

人生にゆとりを生み出す 知の整理術

勉強や読書のHOW TO 本。著者に精神的なタフさがあれば、社会人としてかなり優秀だっただろうと思わされる。そういえばこの人京大出身だった。独自の勉強法や読書法、本執筆時の仕事方法を確立できている。私個人としては、読書法は参考になった。私は生真面目に1Pから最後まで読もうとするが、phaさんはあらすじや目次を読んだ後中身はあまり見ないで最後のページを読んでしまうことがあるらしい。これができるのは、膨大な読書体験があるからこそ、目次を見ただけで大体何が書かれているか推測できるのだろう。もっと質の高い読書体験を通してphaさんに近づきたい。

人生の土台となる読書

phaさんの思想の土台を作った本を紹介してくれる。持たない幸福論でも感じたけどSFや社会学関連の本が多い。どの本も面白そうでまた読みたい本が増えてしまった。私がこれらの本すべて読んだらphaさんと同じような人生を歩むことはできるんだろうか。全く同じ道を歩みたいわけじゃないけど、将来サラリーマンを辞めた後の不安定な道しるべの灯になる本が多いんじゃないだろうか。この先どんな人生を歩んだとしても「これでいいのだ」と思わせてくれる思想を作り上げる手助けにもなると思う。お勧めです。

パーティーが終わって、中年が始まる

この本は最後に読むべきだ。今までphaさんが過ごしてきた生活の成れの果てが書かれている。phaさんの老いによる不安や恐怖、悲壮感が圧倒的に強い。今まで何とか生きていけるだろうという楽観的な考えが、この本には見えてこない。どこかに行きたかったけど、結局どこにも行けなかったというアンサーが物悲しすぎる。本屋で働くようになり、徐々にphaさんが普通になってきてしまった。孤独や寂しさが見え隠れしており、典型的な40代独身オジサンみたいなエッセイが出来上がってしまった。また、日本がインフレ社会に突入したこともあり、若者たちが金を稼ぎつつ自分が楽しいことをやるという風潮になったことでふらふらして生きていたい層の支持が減ったとのこと。そして、40を過ぎると会社員なら順調にキャリアアップしているなら役職についているだろうし、子供もそこそこ大きくなる。それに比べる40代半ばになったphaさんは、そのことを自覚してしまった。なんとかなるでしょの精神じゃ生きづらくなった。それでも年をとっても、phaさんにはもっとふらふらしてほしかった。phaさんに勝手に希望を抱いていた自分もどうかしているけれど。これが自己破滅型というのかな。

夜のこと

この本は「パーティーが終わって、中年が始まる」とセットで読むべき。ある女性宛てに書いたと言っていたけど、そりゃ相手が普通の感覚の人ならフラれちゃうだろうな。それにしてもphaさん、結構モテてたようでショックですよ。「やれやれ。僕は射精した。」みたいな雰囲気を醸しながら多くの女性と関係を持ってきた人だとは。自分が得意なことでイニシアチブを取るっていうのはモテる要素として大事なんだなと。もっと言ってしまうと旗振りをすると、自然とその人がリーダーとして頼られるようになるからモテてしまう。多くの人は自らが率先して何か新しいことをするというのは苦手だから、若い人は自ら手を挙げて何か周りの人がやってないことをやるという経験が大事だろう。それと著者の場合、知性があるのに社会に溶け込まず猫のように自由気ままに生きているのが社会で窮屈にしてる人達からしたらかっこよく見えたり共感を得られるんだろうな。人は自分が持ってないものを持つものに憧れを抱く生き物だから。それにしても、なんで本命の人って振り向いてくれないんだろうね。もうちょっと神様なんとかしてくれませんかね。

終わりに

正直同じようなことを何回も書いているのですべてを読む必要はないと思う。でも、どの本を読んでも「必ずしも家族や会社に縛られなくても生きてはいけるよね」と思わせてくれる。中年になってからあまり楽しくなさそうなのがネックなので、ここは各々対策を考えた方が良さそう。死ぬ直前まで楽しく生きていきたいけど難しいかな。人間色々な生き方があるはずなので、その人オリジナルの生き方が見つかればそれが一番幸せなんじゃないだろうか。

今人生どん底の人にこの記事を読んでもらえたら幸いです。ともに生きましょう。

よろしければサポートお願いします!