ゆめ


ゆめ

馬の尻尾が沈んでいる
はじかみのように綺麗な束になっていて、真ん中で白い帯が束ねてる。

それは斜めに浮遊する。
その下で眠る少女。存在に気が付かない。

彼女の影と馬の尻尾の影が
透明な池の水に交差して、きめ細やかな黄土色の泥におちている。
そのどれもが触れ合って居ない。

私は危機感と焦燥感を感じながら
「馬の尻尾だったものが、あなたのすぐ近くに浮いてるという。」

少女にそのことを言う。彼女は気がつくと焦って体を動かす。
水の中でうまく体を動かす事ができないように馬の尻尾に触れずに遠ざかることができない。

馬が美しい池の中で腐敗していた
その肉が膨らんで空気中に飛び散って庭中にふりそそぐ。
くすんだオレンジ寄りのピンク色、ガムのようにグニャグニャしている。

私と家族とその友達は
いえのなかににげこむ。
実家の縁側から網戸を閉める。
犬だけがにわにとりのこされる
丸い目でただこっちを見つめてじっとしている。何が起こったのか理解していない。ただとんでもない事が起こった事だけわかっている。

犬を抱き上げて
家を駆け回らないようにだっこしてふろにはいる。彼女は逃げない。

シャワーで汚れを流す。はだかで
昼の柔らかい光
こもれびはきいろい空気は白く霞む。
強い流れだったので弱くする
びっくりはしてるけど
嫌がってないみたい

いつのまにか
大きな滝のしたで
うつくしい大きな岩から流れ落ちてくる
犬といる


父がとおくから何か話しかけている
黄色い崖から歩いて降りてくる。
共通の知り合いについてのはなし。

どこかへ帰る途中、
普通になってよと叱られる
私はおいていかれる。
追いつくためにそらをとぶ
皇居の周りの松のような。
上空から見下ろす景色は藍色と、深い緑と影。

カラスが並走する
挑戦的な飛び方で。

私はまきたくて降下する
接近してくる。

降下しすぎて、
藤棚のような、青い波板のかかっている軒下に頭を擦る。カラスは私よりぶつかる。
目はバッテン

めがさめた

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