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初めて人前でフリースタイル

ラップとかヒップホップとは縁の浅かった自分が、ひょんなことから齢四十三にして初めて人前で「フリースタイルラップ」の「バトル」をすることになりました。あまりに面白い経験だったので、そのことをちょっと書き残しておこうと思います。

ひょんなこと、というのは「おやすみホログラム」の八月ちゃん生誕LIVEイベント内でとある「トーナメント」を開催する、というアナウンスから始まりました。当初、というか公式には当日までトーナメントの内容は明かされませんでした。が、おやホロ運営ツイッターがプロ側の出演者としてラッパーの名前を幾つか出したことで、暗黙の了解で「フリースタイルラップのバトル」であることが判明したのでした。ラップとは無縁の半生を送ってきたにもかかわらず、このトーナメントに「お祭りだし」と軽いノリでエントリー。おやホロ運営さんも繰り返し「特別な技術は要りません。ちょっとした度胸と八月ちゃん愛があれば大丈夫」と言ってくれていたし。まぁ実際ナメてたわけじゃないけど準備のしようもなく、とりあえず何とかなるだろう的に思っていたところ、前日になって急に焦りを感じ、とりあえずってことで「フリースタイル ルール」というワードでググってみました(苦笑)。そしてヒットしたのがこのページ

http://hamn.xsrv.jp/mc-battle/

初心者にやさしい!ライムとかフローとかパンチラインとか、そういう用語の意味も知らなかったので助かりました。そして貼ってあるバトル動画を丁寧に上から順番にチェックしたら、これがまた面白い面白い。正直今まで日本語ラップなんて所詮黒人文化の真似事っしょ、最近TVとかで流行っちゃってるけど今だけっしょ、と横目で見てただけでしたが、ちょっと知っただけでも奥が深そう、ヤバいってことに気付きました。若いコたちが憧れてのめりこむのも頷けます、ホント。

と同時に「こんなの俺にできねーよ」と急に緊張MAXに。とにかく時間がない。もう明日本番。付け焼刃も「刃」がどこにもない状態。なので、とりあえずツブしのきくような自己紹介的な8小節分のリリック(←使い方あってる?)を作ってみて、それを起点に当日の現場の雰囲気でやってみりゃいいやって感じで自分を落ち着かせました(実際ステージに立ったら、最初の2行以降は頭から消滅してしまいましたがw)。

さて当日、まだガラガラのO-nestメインフロア奥ステージ脇に貼ってあったトーナメント表を見て愕然。1回戦がほぼすべて「プロvs素人(八月ちゃんヲタ)」の組み合わせになってるじゃないですか(!)ま、確かに素人同士のバトルは見たくないよな、と思いつつ、まだこの時点では「プロvs素人」の意義深さに気付いていませんでした。あと素人には幸いなことに、今回のバトルは完全撮影禁止でした。この場だけのモノにしようぜ、と。1回戦がほぼすべて「プロvs素人(八月ちゃんヲタ)」の組み合わせになってるじゃないですか(!)ま、確かに素人同士のバトルは見たくないよな、と思いつつ、まだこの時点では「プロvs素人」の意義深さに気付いていませんでした。あと素人には幸いなことに、今回のバトルは完全撮影禁止でした。この場だけのモノにしようぜ、と。

1回戦第1試合は、ナンブヒトシさんvs DJ邪悪さん。ラップ技術としてはもう比べようのない対戦で実際そうでしたが、八月ちゃん愛を表現するとなると話は別でした。8小節x2ずつのやりとりを終えてフロアのオーディエンスの支持を得たのは圧倒的に邪悪さんでした。なるほど、ジャッジ=オーディエンスの殆どがおやホロのヲタクなので、おやホロ/八月ちゃんへの愛をどれだけ表現できてるのか?という視点で評価されるわけですね。しかもヲタクはヲタクの肩を持ちがちでしょう。だから実際のところ、このトーナメントは元々プロのラッパーの方が不利、という見方もできます。

まあ、とにかく第1試合から”普通じゃない”MCバトルの様相に会場大盛り上がり。自分は第3試合で対戦相手はだーつさん。素人の私は存じ上げなかったのですが、過去に幾つものバトルに出場されている方のようですね。トーナメントの並びから先行が私、後攻がだーつさん。すでにイイ感じで酔いが回っていたので殆ど緊張してませんでしたが、事前に頭に叩き込んでおいたフレーズが全然出て来ねえw 一応作戦通り挨拶代わりの自己紹介的なところからスタートして(と記憶していますが)、だーつさんが「ラップ何も知らねーでよく出てきたな」的に返し、その後はよく覚えてないんだけど「俺の方が八月ちゃん愛強いぜ」をぶつけたんだと思います。あっという間の8小節x2ずつが終わり判定へ。オーディエンスの声はほぼ同じくらい。司会のナンブヒトシさんが八月ちゃんに裁定を求めたところ「延長!」となり、今度は先攻後攻を入れ替えてだーつさん先攻。当然もう頭の中に用意しているネタもワードも何もないので、相手がラップした内容に返していくしかないんだな。で、ここで自分が何を言ったのか何となく覚えてるのは、八月ちゃんを好きなのはここにいるみんな同じ、と「俺の愛が一番」のポーズから一歩引いて、かつオーディエンスを巻き込み、大事なのは祝う心、みたいなこと言って、最後は八月ちゃん=8月30日、俺=8月X日で"八月くん"、八月同士でお似合いだろ!?で〆たと思います。終わった時点でどっちが勝ったのかまったくわからなかったけど、ありがたいことにフロアは私を支持してくれて、まさかの初戦突破となりました。だーつさん、すごくショックだったようで(後々ツイッターにも書かれていました)終わった直後に「絶対次勝ってくれよ、俺の分も!」と激励されました。

1回戦8試合が終わったところでバトル前編終了。またLIVEタイムに入り、後半は1時間後くらいでした。2回戦の相手は1回戦ヲタ同士対決を奇策で制したcolonさん。いわゆる八月ちゃん推しの「おまいつ」さんです。自分がおやホロ現場に行き出したころは見かけなかったのでわりと最近ですかね。初戦の奇策を見ていたので多少警戒しつつ、1試合終えてだいぶ気持ちが楽になっていて、今回も私の先行でスタート。また挨拶程度という感じのスタートになってしまったのですが、後攻のcolonさんがとった今回の奇策はチェキカメラを取り出し、私に渡してご自身と八月ちゃんの2ショットチェキを撮ってくれ、という演技。これに対して私は「タダじゃ撮らねーぞ、タダじゃ撮らねーぞ」と返すくらいしかなく、実際シャッターを押しました。すると今度はcolonさんがカメラを持って、私と2人で自撮り2ショットを撮るという奇策part2に移行。終始無言(パントマイムかよ!)でコレをやられてしまって、やっべーな、と思いつつ終了。判定は明らかにcolonさんに勝ちでした。最後、参加賞を受け取る時に八月ちゃんから「今までこんなにコンテンプラリーなラップは見たことがないですね」と評価されました(苦笑)。

以上で私のフリースタイルバトル初体験は終わりました。殆ど触れませんでしたが、他の対戦も全部面白かったです(本気でフリースタイルやってる人から見たら叱られそうなのも幾つかあったでしょうけどね)。なぜ面白いかというと、プロのラップはある程度「型」があるから予測可能な部分ってあると思うんですけど、素人のソレは全然予測不可能。そんな素人と対戦するプロも自分の「型」が適用できないから、素人の戦い方に合わせざるを得ない、ということかな。1回戦が終わった後に上のフロアで小川さんと雑談してて、

小川さん「これって初期UFCみたいですよね、予測不可能な異種格闘技戦って感じで」
せまし「あー、そうですね。プロvs徒手空拳だからZst軍vsアウトサイダー軍みたいな感じでもありますね~」

と格闘技ファンにはわかりやすい喩えが出ました(笑)。

そんな中で、ハハノシキュウさんとmoeさんの対戦が今大会もっともハイレベルだったかな。せのしすたぁネタを持ち出して完膚なきまでに前回優勝のmoeさんを叩き潰したのはスゲーのひとこと。一方でヲタク側では、ひさぽんさんがMVPだったと思っています(結果はじゃんけん裁定となった決勝でじゃんけんに負けて準優勝)。コウテカのもるももるさんとの対戦で出した「心の隙間を埋める~」がパンチラインだったのではないでしょうか。

最後にこれだけ言いたいというのは、触りだけですけどラップとかフリースタイルとか、前日からネットで調べて行っただけだけど、知ったことでこのジャンルに対するリスペクトが増し増しになりました!こんな素敵な機会を提供してくださったおやホロさんに感謝感謝。当日のオモテから裏方まで関わった全員にリスペクト!

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