他大(早稲田)の友達の授業をこっそり受けたら人数制限のある少人数グループディスカッションで体験の言語化をしたという話

免許試験を受けるために実家に帰ったついでに、長らくあってない友達 A に会いに行くこ
とにした。A の授業が終わるのを待つのも面倒なので、その授業に自分も潜入できるかと聞
いたら、A は「できる」と言ったので待ち合わせて教室へ。
入ってびっくり、その教室は高校の教室くらいの大きさしかない。てっきり、大講義室の後
ろの方でスマホでもいじりながら聞く授業だと思っていたのに話が違う。前のホワイトボ
ードに先生と思しき人が文字を書いており、その授業は
”体験の言語化~世界と自分15”
であるとわかった。すでに先行きが怪しい。”15”とはなんのことかわからないが、“言語
化“ということは他人と話さなければいけないということではないか。ただいったん入った
ものを引き返すのも不自然だ。A の「体験期間だからいけるいける」という言葉を頼りにそ
のまま居座る。
ふわふわしたような落ち着かない気持ちのまま、まばらに人が入ってくるのを見ていると、
先生が紙と名札下げをとりだして、それに名前を書くように指示した。そして人数を数えて
こう言う。
「15ですね。全員います。」
なんてことだ。授業名の15というのは履修人数の15のことであった。人数制限のある授
業だったのだ。本来なら16となるべきところが、初回だというのに授業に出席しない不真
面目な生徒の存在によって16にならず助けられているらしい。心臓はバクバクだったが、
幸運をしばし喜ぶ。
授業が始まり教師は授業の趣旨や進め方についての説明をしだした。「対面は貴重。いくら
コロナになってもだいたい死なないから大丈夫」などと過激なことを言っているときに、お
もむろに教室の扉が開いた。瞬間、自分の行く先の絶たれたことに気づいた。幻の16人目
の登場。”体験の言語化~世界と自分15”が”体験の言語化~世界と自分16”に変わった瞬
間である。次に教師は、何が起きているのか把握するために全員の履修なり名前なりを確認
するのであろう。そして履修外なのに気づかず居座った間抜けとして、悪ければ冷やかしで
他大に来た不法侵入者として自分を吊るすのだ。一巻の終わり。
が、しかし教師は「二次募集で増えたのかな」などと言って幻の16人目を普通に座らせた。
耐えた。15人しか受けられないはずの授業に16人いることはたいして疑問にはならな
かったようである。
その後、4人ずつの小グループに分かれての自己紹介になった。Aとはグループが分かれた
ので、もはや頼れるものはなく、早稲田の細かい話でもされたらまったくついていけない。
内容は学年、名前、そしてよりにもよって早稲田の好きなところ、嫌いなところ。国際教養
学部3年生、雰囲気イケメンと順番が回り次に自分の番が来た。
以下、自己紹介。
自分「1年の○○(自分のこと)です」
国教3年「学部は?」
自分「(5秒の沈黙)、、、国教です。」
自分「早稲田の好きなところは、さっき国教3年さんが言ってたようにいろんな人がいるな
という印象のあるところです。あと校舎がきれい。」
女子「分かるー」
自分「逆に嫌いなところは、雰囲気ウェイな感じで怖い人がいる」
国教3年「そうか?」
女子「いや、分かるー」
全て早稲田について5分間、外を歩いた感想である。実際、自分の通う大学の3倍は染髪が
いたし、おしゃれだった。国教3年は自分に早稲田にはそぐわない陰を何か感じたのであろ
うか、妙につめてくるが、結果としてグループ唯一の女子が自分の意見に賛同してくれたこ
とで事なきを得た。
その後、体験の言語化についての授業が始まったが、この後特筆すべきことはない。という
か、普通に考えをまとめディスカッションして楽しんだ。自分の単位はぼろぼろ落とすのに、
履修外の、それも他大の授業はまじめに受けたというのはなんとも皮肉な話である。
これより先、この授業に出席することはもう二度とないであろうが、その必要もなさそうで
ある。なぜなら今こうしてすでに自分の体験の言語化に成功しているもの。

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