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まるで上質なテレビドラマシリーズを一気見したような

訳あって最近YouTubeで日本の中古住宅や古民家のDIYリノベーションを題材にした動画を見る機会が増えている。もうそろそろ食傷気味かなと思い始めた矢先、この「自分流DIYちゃんねる」に遭遇した。

このチャンネルは2年前頃から配信を開始していたようで、リノベーションはまだ途中。1年目のダイジェスト版を今朝たまたま見つけて見始めたら止まらず一気に最新の動画までの十数本を数珠繋ぎに見続けて1日を過ごしてしまった。パジャマのまま外に一歩も出ずテレビの前に釘付けになっていたのに今不思議な充実感に浸っている。タイトルではまるで上質なテレビドラマシリーズと評したが、寧ろ上質な小説と行った方が的確かもしれない。ドラマチックな展開があるわけではなく地味な工程がきめ細かく描かれている。

このチャンネルを発信しているのは都内に住む50代のサラリーマン。現在は社宅住まいだが10年後には定年退職が待ち受けている。それを見据えて2年前に茨城にある築30年の空き家を150万円で購入し、自分の家族の終のすみかとするべく週末毎に通ってコツコツDIYリノベーションを続けている。

問題の空き家は「この家本当に買うんですか?」と不動産屋もびっくりした様な代物で、実際ペラペラの壁を剥がすと断熱材は一切使用されていず以前の所有者はさぞ寒さ暑さに晒されたであろうと思わせる可哀想な物件。

1年目は屋根の修復、ぼっとんトイレ→洋式水洗トイレ、浴室・脱衣所・洗面所のリフォーム、2年目は床と天井、3年目の現在は内壁、外壁及び窓の作業に取り掛かっている。リノベーションというより骨組み以外はほぼ全て建て直していると言ってもいいくらいだ。

作業はほとんどこの自分流が一人ぼっちで行っているがたまに妻が登場してそれがまたいい味出している。この妻は整理整頓の達人で普通の人が根を上げるような量の単純作業も物凄い集中力で黙々とこなす。たまに垣間見るこの夫婦二人三脚もまたこの動画チャンネルの魅力の一つ。自分流は必ず妻への感謝の気持ちも忘れず表現していて気持ち良い。

この動画の魅力は自分流が喋らず情報は全てテロップで賄われているところにあるかもしれない。自分流は平日は営業マンとして働いているのでトークも得意かもしれないが、敢えて声は出さずに全てテロップに語らせているところにセンスを感じる。

ひたすら同じ作業の繰り返しに辟易して音を上げそうになる自分流、一つのプロジェクトを終えて一人ビールで祝杯をあげる自分流、問題に直面して解決策を必死に模索する自分流。自分流と共に一喜一憂しながら1日を過ごしたら日本の基本的な住居の構造についての知識も少し身についた。決して自分もDIYやってみようとまでは思わないが。

自分流は言う:
体の疲れは寝れば治る。リノベーションで体は疲れるけど逆に心の疲れは癒やされる。

そんな自分流の動画を見て自分の心も少し軽くなったような気がする。







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