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ビリヤード特訓中 in Mexico

二、三年ほど前から夫と2人ビリヤードを楽しむようになった。昨年メキシコに移住してまず最初に探したものの一つもビリヤード場だった。

夫はそれまでにも人並みにビリヤード経験を有し、競技は異なれどゴルフのインストラクターであり天性のアスリート。最初から私と比較するまでもない腕前だった。私もビリヤード未経験ではなかったが、数十年前にちょこっと齧った程度。生まれながらの運動音痴でもあるため未経験も同然だった。

実力は雲泥の差であっても、手球が狙った球に命中した瞬間のコツンという心地よい響音とその球がポケットに沈んだ時の爽快感は何事にも変え難く、夫婦共に病みつきとなった。

但し、競争心旺盛で凝り性の夫は何事もやるからには上達すべしという心構え。対する私は余程の理由がない限り人と競うことは極力避け、何事も程々に楽しければ良しとし上達は二の次三の次と言った心構え。ビリヤード台を介してこの二つの異なる心構えが何度ぶつかり合ったことか!

夫は家でもYouTubeでプロの試合やプロによるハウツービデオを見て寝ても覚めてもビリヤードの腕を上げる方法について研究するようになった。その甲斐あって確実に上達していった。自分の上達だけで満足することなく、私にも事あるごとに正しい姿勢やキューアクションについて指導を施してくれた。しかし、そもそもそこまで上手くなりたいという欲がない私はそんな夫の指導をうるさく感じて大人気なくも不貞腐れた態度で応酬することが多い。それでも夫は躊躇うことなく指導を続け、私は泣きながら言われた通りに球を撞き続けるというシーンが繰り返される。最近の夫婦喧嘩も元はと言えば私がこの事について不満を漏らした事が発端となった。

されど、私のビリヤードの実力が確実に上達している事は否めず、試合に勝った時に喜びを感じないと言ったら嘘になる。

ただ球を撞いているだけで楽しいの。
上手くなくてもいいの。
虚しく響く私の抵抗。
今日もビリヤード場にて特訓は続く。

Es Mexico
Hasta el proximo!

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