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水彩絵の具の自作パレットに挑戦 (1)

水彩絵の具のチューブがだいぶたまってしまったので、これらでパレットを自作してみようと思いつきました。

小中学校の図工や美術の授業の感覚でいうと、絵具というのは都度チューブからパレットに出して使い、その日の作業が終わったらパレットをきれいに水洗いして保管、というイメージが定着していました。

画材店などでちょっといい水彩絵の具のチューブを見ると5mlのものが500円!よくよく考えると、ぺんてるなどの学童向けのものも、12色セットで1000円前後なので、パレットに余った絵具を洗い流してしまうのは、もったいなかったですね。(たっぷり絵具を使う子だったので、すぐなくなって親に買ってもらっていました)

当時、「固形の絵の具」といえば真っ先に思い出したのが、小学校の道徳の授業で読んだ有島武郎の「ひと房のブドウ」の以下の文章でした。

ふと僕は学校の友達の持っている西洋絵具を思い出しました。...ジムというその子の持っている絵具は舶来の上等のもので、軽い木の箱の中に、十二種の絵具が小さな墨のように四角な形にかためられて、二列にならんでいました。どの色も美しかったが、とりわけて藍と洋紅とは喫驚するほど美しいものでした。

青空文庫より引用(https://www.aozora.gr.jp/cards/000025/files/211_20472.html

この文章を読むと、珍しい、高級な、そして飛び切り素敵な色の絵の具なんだなあ、と、なんだか憧れの思いを抱いていたのを思い出します。

そんな昭和の時代も過ぎ去り、数年前になってようやく私が初めて買った固形水彩は、Winsor & Newton のCotmanでしたが、固まった絵具を水でぬらして復活(英語でre-activate)させ、塗っていくというのに慣れるのには少々時間がかかりました(絵の具が少なすぎる!水が多すぎる!!)。しかし慣れてみると、透明水彩ならではの淡さが手軽に出せ手間もかからず後片付けも簡単。心配していた、パレットの中で色が混ざって濁らないか??という点も、それほど問題にはなりませんでした。

そこで次の段階として、手持ちのチューブの絵の具をパレットの中で固めて、繰り返し使えるようにしよう!と思い立ったのです。市販の固形水彩よりチューブの方が入手しやすいし、割安かな...という気がしたので。

初挑戦!最初から間違った(汗)

まずは失敗して後悔しないよう、安価のぺんてる水彩絵の具を、その辺で買える学童用のパレットに出してみました。
作り方は、いたって簡単。パレットの枠に、チューブ絵の具を一色ずつ練りだします。乾燥すると感覚的には7割くらいに体積が減るので、結構多めに盛ってもよいですが、乾かす時間を短縮したいならそれほど多い量でなくても、そこそこ長持ちします。最大に盛っても、チューブ(5ml)半分も減らないので、減ってきたら足せばいいし、色を選んで12色、8色などのパレットを追加で作ることも可能です。

以下は、固まった後の様子。

パレットはサクラの24色用パレット

ここでちょっと失敗だったのは、不透明水彩(いわゆるガッシュ)を選んでしまったこと。不透明水彩だと、チューブから出した状態だとたっぷり厚塗りできるのですが、固形化してしまうと溶かす際にどうしても水の量が多くなり、上から色を塗り重ねると思ったように色が出ず、濁った感じになりました。とくに、を上から塗るのは、十分乾かさないと効果が出ません。逆に、不透明水彩なのに透明水彩のような画風になるので、そのような効果を狙う場合には向いているかも。(よりお高い不透明水彩を、不透明水彩風の絵を描くために敢えて買う場合にはお勧めしないかも...)

乾かすのは、意外と時間がかかりました。冬の乾燥した時期で5日くらい。途中我慢できずにつんつんしたら、べたっとしていて指についてしまいました。艶があるうちは触るの厳禁。しわしわと縮んできた頃がタイミングです。

使い心地は...

早速このパレットを使って絵を描いてみました。

水彩紙ではなく、表面がツルツルのスケッチブックに描きましたが、意外と厚めの色が出ました。ただ、筆を濡らして絵の具の上をこするだけではやはり十分に色が付かず、霧吹きでパレット全体に水を吹きかけてしばらく待つ、など、絵の具が十分に溶けるまで結構手間がかかりました。でもまあ、馴染みのあるぺんてるえのぐでも、やってみる価値はあるぞ、という参考になれば幸いです。

次回は、味をしめてやや高級な絵具を使ってさらに沼にはまっていきます。一方で、入れ物を工夫した自作パレットも紹介していきます。

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