_絶対に失敗するSalesforce_導入_株式会社Tekuru_武田雅人

絶対に失敗するシステム導入プロジェクト

2020年1月25日(土)に Japan Dreamin'20 という世界最大手の顧客管理システム「Salesforce」を利用しているシステム開発者 / システム管理者を中心としたコミュニティが開催している、年に一度のおっきなイベントに参加させてもらいました。Japan Dreamin'20 でスピーカーとしてお話しさせていただいたので、その内容をこちらに掲載します。

当日は、スライドのスピーカーノート(カンペ)を見ることができなかったので、ほぼアドリブで伝えたいことが上手く伝えられなかったかもしれないのですが、スライド内にスピーカーノートがございますので、ぜひ見てみてくださいね。

絶対に失敗するSalesforce 導入

※ギアマーク(オプションボタン)を押して、
「スピーカーノートを開く」あるいは
「エディタを開く」から、
スライド内のスピーカーノートが見られます

スピーチは「絶対に失敗するSalesforce 導入」という、少々過激なタイトルにしてみました。
「Salesforce 導入が失敗した!」
「使い物にならねえ!」
ということを言いたいのではなく、Salesforce 導入を成功させるためには、こういう風なやり方や考え方がある、それができていない組織においては失敗しちゃいますので、気をつけましょうね!という感じのスピーチでした。

お前は誰だ!?何をしている人??

自己紹介スライドを表示すると、
ツッコミをいただける、
聴いているみなさんが「(゚Д゚)ハァ?」ってリアクションをしてくれる。
とっても嬉しいことです。

これまでに私はたくさんの学問や業種や、アクティビティを経験してきています。Salesforce だけでなく、様々なクラウドサービスやプログラミング言語にも触れてきています。
何をする人なのか、と問われると
特定のシステムやツールに固執せず、常に「今」利用可能なあらゆるもののなかから最適で最速のツールを使って組織を「成功に導きたい」と考えていて、楽しく生きていきたいなと考えているおじさんなのです。

Salesforce 活用だけが難しいわけではない…

Salesforce のコミュニティのイベントで、Salesforce という同じ言語・用語を使ってお話しできる機会だったのでSalesforce の導入成功についてのお話をしましたが、これはSalesforce の導入だけではなく、今まで当たり前のように受け入れていて使っていたものから、新しいものを受け入れ変化をしないとならない、という全てのシチュエーションで活かせる考え方だと思っています。
・Excel(いままでのやり方) → Salesforce
・独身 → 結婚
・ガラケー → スマホ
・現職 → 転職しようとする決意
などなど、現状から何かを変えるというときには多くの場合、心理的障壁があるものです。どのようなシチュエーションでも、心理的障壁や経済的障壁を乗り越えていくため、経済学という学問を志したものとして、置かれている環境や制約をモデル図を作ってみました。
図を見ると「あぁ、なるほどね」と、たくさんの方に思っていただけて、自分が自社の活用成功を導くんだ!という考えになって楽しく主体的に行動を選択してほしいなと願ってスピーチしてみました。
新しいことへの挑戦って、いつだって、どんなことだって難しいものです。

誰も不幸になりたくないのに…

☆絶対に失敗するSalesforce 導入_株式会社Tekuru 武田雅人 (1)

Salesforce にしても、その他のシステムにしても、導入を決定した人は
・もっと売上をあげたい
・業務に属人性をなくして組織が持続的に成長できるようにしたい
・効率的に仕事できるように業務整理して、みんなの労働負荷を下げたい
ってきっと思っているはずなのです。
そして、それをかなえるために、新しいツールを使って新しいものを作る人は、そのツールについて学習し、会社に貢献しようとします。
Salesforce コミュニティのみなさんは、本当に熱心に、土曜日には自主的にSalesforce Saturday という学習コミュニティに参加されていたり、Trailhead という学習サイトでたくさんの学習をしてスキルアップ、知識の習得に励んでいます。

それでもごくまれに、システム管理者や開発者の専門性はどんどん高くなり続けているのに、
・社内のシステム活用がうまくいっている気がしない
・解約したるわ!
となっているケースを見聞きしました。

こんな不幸、起こしてなるものか!

一体どうしたらSalesforce やその他の新しいシステムの導入は成功し、システム開発者や管理者が成功に貢献したと認めてもらえるのだろう?
そうして考え抜いて生まれたのが、この図なのです。

☆絶対に失敗するSalesforce 導入_株式会社Tekuru 武田雅人 (2)

図式化による直観的な理解

図に示したり、数式に表すことで自分や自分を取り巻く環境がどのようになっているのかを理解することの助けになります。また、その図の中の構成要素を操作するということは、具体的にどのような施策を取ることなのだろうか、というのを考えやすくなるのです。

この図では、横に向かう赤い直線が、予算や、ここまでの効果を上げてほしいという決裁者の期待を示します。
左側のピンクの三角形は、システム活用をする現場部門。
右側の三角形は、システムの構築を行うシステム部門。
左右の三角形が交わり、交わった三角形の上方向の頂点の高さが、実現できている社内での成果、と仮定しています。
この交わった三角形の頂点が、横向きの赤い直線よりも高い位置にあれば、システム活用は成功していると言えます。

・右側の三角形(システム部門のふるまい)
・左側の三角形(現場部門のふるまい)
・横向きの直線(決裁者のふるまい)
・三角形と横軸との接地面の摩擦係数(歩み寄りをするための障害)
を、操作できる変数としてとらえてみて、
それぞれの立場ではどのような施策が有効なのだろう?
それぞれの立場で、どのようなふるまいをすると破滅への輪舞なのだろう?
ということを考えてみました。

重要なのはスキルの高さではないッ!ハートだッッ!!

☆絶対に失敗するSalesforce 導入_株式会社Tekuru 武田雅人 (3)

それぞれの部門の人が、
「自分だけが気持ちよく仕事をしよう」
と思っていて歩み寄りをしないという状況が続くならば、現状からの変化は起こらず、将来の成功を逃し続けることとなります。
そんな状況にあったとき、
「相手がやってくれないのが悪い」と、
他責にしてしまうことって大いにあります。
自分がたくさんのスキルを身につけたり、
今までのやり方での成功体験をたくさん積んでいると、
「このままのやり方がいい」
「自分が正しい」
と意固地になってしまいます。
それは、よくあることです。
歩み寄ることっていうのは、とても難しいことなのです。

しかし、そのように目先の「自分だけが気持ちよく働くこと」をみんなが継続している結果、システム投資の効果はあがらずプロジェクトは失敗とみなされ、新システムの利用をやめてしまうことになってしまいます。

これが、一番の失敗です。

そんな失敗を起こさないためにも、
組織での成功を導くという重要な役割や
プレッシャーを担う人がいないといけません。
Saleforce では、それをAwesome Admin(アドミンのヤベー奴)と呼んでいて、そんなAwesome Admin をぜひ目指していただきたい、Awesome Admin を評価する制度も作ってほしい、と切に願っています。

☆絶対に失敗するSalesforce 導入_株式会社Tekuru 武田雅人 (4)

おわりに

余談:
私個人としては超絶合理的に物事を考え、意思決定したいなと思っています。毎朝靴下を選ぶのがめんどくさいので、靴下を履かないでもいいようにサンダルで年中外出します(客先訪問と、ドレスコードありそうなお店はさすがに靴下は履きますが)。
「合理的に考えたらこうするに決まっているじゃん」という風に考えがちです。しかし、合理性が最初にあると、多くの場合は衝突するという体験をたくさん経て、そして恩師に
「人は効率のために働いているんじゃない!
 楽しさのために働いているんだ!」
「お前は効率化が楽しいからいいだろうが、その効率化が
 人の楽しさを奪うだけのものであっては誰もついてこないぞ!」
というありがたいお言葉をいただいてから気づいたのです。
まずは「たのしさ」だ、と。

相手の楽しさによりそい、その楽しさをかなえるためにこのシステムやツールを使って効率化したら、もっと楽しくなるよと伝えられると、組織の変革を導けることが大いにありました。
超合理主義者としては、
・自分のやり方を貫く ⇒ 組織全体が得られる利益は小さい
・相手に寄り添う ⇒ 組織全体が得られる利益は大きい
だとしたら、どちらを選択するべきでしょうか?

大事なのは、ハートだ!

Japan Dreamin'20
企画、運営していただいた方々、
ボランティアをしていただいた方々、
本当にありがとうございました。
スピーチ後や懇親会でお声がけいただいた方々も、
ありがとうございました。

たくさんの気づきや学びを得られた素晴らしいイベントで、登壇させていただく機会をいただいたのをとても光栄に思います。


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