#私の仕事 について

私の仕事かぁ。世間的に見れば全然目立つものでも格好良いものでもなく、クリエイティブなものでもなく、最新のものでもないw
ひたすら地味な、目立たない仕事。そんな事やってます。
自分は某製造メーカの中の開発部署で機械加工分野の加工技術開発をやってます。社内でも少数の技術領域。機械加工って何?って思う人もいると思うのですが、まぁ鉄の材料を削ったり、磨いたり、していろんな形にしていく事です。モノをぶん回したり、加工する為の工具(刃)をブンブン回したりします。私のことをリアルで知っている人から見れば、あの曹長が1/100ミリや1/1000ミリ単位のしごとをしていると知ったら「嘘やろ!」というぐらい信じられない事をやってます(笑)

世の中の部品って、いろんな工程を経て作られています。
鉄(鋼)をつくる工程
※製鉄、製鋼、精錬→鋳造→圧延→矯正 と工程を進みます

その材料を溶かして粗い形を作り込む工程(鋳造といいます)
またはでっかいプレスでぶっ叩いて粗い形をつくります(鍛造と言います)

※ちょっと余談ですが、鍛造って大迫力。真っ赤に焼いた鉄を数千トンも力※を加えることのできるプレスという機械でドカーンってぶっ叩くんです。
※これは見てて飽きないです(笑)

それらの粗い形のモノ(粗形材といいます)を熱処理して
鉄系の材料に強さの命を吹き込みます

超音波や磁気を使って内部や表面の欠陥がないか調べます

そしてそれらを削って(機械加工)部品にします。

それらの部品が合わさってユニットになり、自動車や航空機や船舶に組み込まれていきます。モノづくりの工程って長いでしょ?本当に多くの人の手を介してモノづくりって行われています。

皆さんが使われている多くのものはこうして作られているのですが、そのほとんどの部品において機械加工を避ける事はできず、その加工分野の技術開発を行っています。機械加工領域がなければ世の中の皆さんの生活は成り立たないと確信しています。みなさんが使っているスマホ、タブレットも、自動車も航空機も、腕時計だって、アレクサだって、カメラだって、工業製品は加工がないとできません。更に缶ジュースだって、農作物だって、ベビースターラーメンだって、柿の種だってそれらを生産している現場で使う設備を作るのに機械加工がないと成立しません。そんな世の中に存在しているモノのすべての基本的な技術の一つだと信じています。

いかに早く鉄を削り
いかにキレイに鉄を削り
いかに安く鉄を削り
いかに厳しい精度で鉄を削れるか
この技術開発をやっているのが私のしごとです。

高専時代の研究室も卒業研究のテーマも機械加工で、入社以来30年以上同じ機械加工分野の仕事をしているのですがまだまだ判らない事だらけ。改善できること、レベルアップできることもたくさんあります。だから技術的にはとても面白い。
でも、最近の若い人には好まれないですよね。工作機械に向き合って仕事して細かいものを見ながら考えて、金属粉にまみれて、油にまみれ、手は油で真っ黒。あまり好まれない分野でもあるとは思うし。
でも、突き詰めれば本当に面白い分野だから多くの技術者志向の人に入ってきてほしいと思うんだよね。

最近、学生の工学離れ、その中でも機械工学離れが進んでいるって聞きますがぜひ機械工学学んでほしいなって思います。たしかに難しいんだけど、幅広くて、こんなにおもしろい世界はないと思います。そして機械加工領域、精密加工領域に飛び込む人が増えてほしいなぁって思う今日このごろ。

※私の娘も工学部の機械工学科を卒業しました。
※本人いわく、機械進んで良かった。面白かったと。