自分の身になって考える
私は昔からアニメが好きだった。
物心ついた時から、今まで、ずっとアニメがそばにいた気がする。
昔見た「デジモンアドベンチャー(無印)」がいつまでも心に残っていて、大学の卒業論文も、「デジモンの選ばれし子どもたちの成長」について書いたほどだ。
自分ではオタクの分類に入るのかなと思っていたが、いざ社会に出たら上には上がいることを知ったので、まぁ〔広く浅いオタク〕なのだろう。
京アニの作品でも、もちろん好きな作品はあった。
ただ、有名どころの涼宮ハルヒもらき☆すたもけいおん!も、どれもきちんと見きったアニメはない。ハレ晴レユカイなら踊れる程度だ。
唯一ちゃんと見ていて大ファンなのは『フルメタル・パニック? ふもっふ』である。
ベースとなるフルメタル・パニック!の短編集の位置づけで、本編のシリアス要素は一切ないが、軍事的な要素を残しつつ、めちゃくちゃ笑えてたまにキュンとする学園ラブコメだ。
フルメタを知らない人も是非見てほしい。
京都アニメーションの事件を耳にしたときは、本当に驚いた。
最初はただの火事かと思っていたから、悪意を持った放火だと知って、なんて凄惨な事件なんだと胸が痛くなった。
被害者の方は、何も悪いことをしていない。
犯人の、いわば逆恨みで殺されたようなものだ。
そんなことがあってたまるのか?
信じられなかった。
憤りとか、悔しさとか、でもどうにもできない歯がゆさとかで、事件の報道を見るたびにしんどかった。
そんな折に、先日、『実名公表』のニュースが流れた。
あれ、と不思議に思った。
たしか、遺族の方々は実名公表を拒否しているのではなかったっけ?
それとも、やはり実名公表する理由があるのか?寄付が集まるから??などと考えていた。
昨日、メンタリストのDaiGoがアップした動画を見て、自分の想像力の低さを思い知る。
※ここにURLあげるのは迷ったので、気になる人はツイッターやYouTubeで調べてみてほしい。多分すぐ出てくる。
ざっくり言うと、「マスコミは人の死を金としか見ていない」という主旨の動画だった。
実名公表することで、遺族にマスコミが群がり、おなみだ頂戴の話を記事にする。
マスコミ側からすれば、この1ネタ(あえてネタと言う)で、「売れる記事」が作れる。
一現場の記者は、もしかしたら「正義感」で取材しているかもしれない。
これは世に示されるべき内容だと。
もっと寄付が集まるだろうと。
でも、そのこと自体がすでにおかしい感覚なのだ、ということ。
DaiGoは若い頃に母を癌で亡くしているらしい。「当時、自分にもっとお金があれば、先端医療を受けさせて、母を救ってやれたかもしれない」という後悔の念が消えないという。思っても仕方がないこと、DaiGoのせいでもないことだが、その思いがいつまでも消えないという。
大切な人を奪われて、残された者は、後悔の念が消えない。
「もっと親孝行したかった」
「もっと娘・息子を愛すればよかった」
「仕事に行かせなければよかった」
「喧嘩したまま仲直りできなかった」
「行ってらっしゃいを言えなかった」
そういう気持ちと、一生戦わなければならないのだ。
マスコミは、そんな彼らの気持ちにお構いなしに、被害者の関係者を張り込んだり、家に押しかけたり、勝手に写真を撮ったりする。
癒えない心が、マスコミの心無い行動によって、さらに踏み荒らされるのだ。
しかも罰せられない。
自分が同じ立場だったら、そんなことされたいか?
自分だったらどう思うか?
そういう共感能力が低くなってしまっているのだと。
最後に心理学的側面での話もちゃんとしてくれていた。
そこで出たのが、「権力を持つと人は共感能力が低くなる」という研究結果だった。
権力者や、権力に守られている人は、まるで自分がイイコトをしてるかのような感覚に陥る。
自分のことは棚に上げて、人に正義を押し付ける。
そういう傾向があるんだそうだ。
自分は今の時点で権力者でもなんでもないが、日常に戻って考えてみると、実はぎくりとした。
会社内で年次が上がれば上がるほど、新人の気持ちが分からなくなってきたのだ。
もちろん自分が新人だった頃から年数が経過したというのも大きい。
だけど、どこかで、自分が「先輩」であることに驕って、自分の意見が「正義」だと押しつけていなかっただろうか。
心のどこかでそういう思いがあるから、どんどん下の子たちの気持ちが分からなくなっているのではないか。
聞いていて、納得もしながら、動画のDaiGoから視線を外したくなった。
私は今回の事件で、加害者でも、被害者でも、そのどちらかの家族でも、マスコミでもない。
でも、自分がもし同じ立場だったら。
同じ状況になったら。
自分の身になって考えたら。
大切な人との思い出を、ちゃんと思い返す時間がほしい。
心ない人からの質問や、アドバイスなんかぜんぜんいらない。
そう思った。
いろんな事件が絶えないが、自分の身になって考えたらどう思うか?ということを、忘れずに過ごしたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?