文系出身、音楽活動に明け暮れた学生時代。社会人になってから「モノづくり」の魅力にハマり、大手メーカーの新拠点立ち上げプロジェクトに従事する
文系出身の葛谷吏菜さんは、学生時代はITの知識はまったくなかったという。「まさか数年後に大手メーカーのエンジニアとして従事しているとは、学生時代は思いもしませんでした」とのこと。なぜエンジニアの道を選んだのか。その理由を聞いてみた。
学生時代はジャズバンドを牽引。でも音楽の道は行きたくない
大学は法学部に在籍し、4年間、ジャズバンドの活動に明け暮れていました。ジャズを知る人の中では認められるくらいのレベルだったと思います。しかし、卒業後は音楽の道に行こうとは思いませんでした。
私たちよりもはるかに上のレベルの人もたくさんいる中で、音楽を生業としていくと、心から音楽を楽しめなくなってしまうと思ったからです。あくまでも趣味で楽しむくらいが私にとっては丁度よいと思っていました。
そこで就職活動を始めたのですが、まずは企業のインターンシップに参加してみることにしました。私が参加したのはパソコンの販売・修理を事業としているIT企業。それまでITの知識はまったくありませんでしたが、大きく発展しているIT産業を覗いてみたいという好奇心もあり、思い切って飛び込んでみました。
インターンシップに参加していくうちに、その社風や先輩社員の対応に好感を持ち「ここだったら働いてみたい」と思うようになっていきました。その後の就職活動でさまざまな会社を見て回りましたが、やはりインターンシップに参加した企業への想いが強く、就職を決めました。
配属されたのはパソコン修理の受付担当。日々持ち込まれるパソコンの状態を確認し、修理を行う部門へまわしていくのが主な業務でした。接客業務は好きだったのでとても楽しい社会人スタートを切ることができました。この部門で約3年間、受付業務を担っていましたが、接客以外にもチャレンジしてみたい業務が見つかりました。
技術で人に喜んでもらえる「付加価値」を知り、「モノづくり」の道へ飛び込んだ
興味を抱いたのはパソコンの修理作業です。「技術で誰かの役に立てる仕事」の付加価値を垣間見て、「私も技術知識を付けてみたい」と思うようになっていきました。どこが不具合なのかを判断しながら基盤のはんだ付けや部品交換を行い、持ち込まれた機材が蘇る瞬間や、お客様にも「ありがとう」と喜んでもらえたときは、今まで味わったことがないような充実感でいっぱいになりました。
業務を覚えていくうちに「修理だけではなく、イチからモノをつくってみたい」と思うようになっていきました。とはいえ、文系出身で知っているのはパソコンの基盤や修理作業だけですから、転職してすぐにエンジニアとして働くのは敷居が高いとも感じていました。
そこで「未経験」「育成」を軸にエンジニア職の求人を探し、出会ったのがテクノプロ・デザイン社でした。「育成コースを設けており、文系出身者も多く輩出している」といった実績に興味を持ち、研修内容を調べてみました。
ソフトウェアエンジニアコースやデータサイエンティストコースなどさまざまな育成コースが揃っていましたが「手を動かし、目に見える製品をつくる」という軸で探したところ「組込ソフトウェアエンジニアコース」なら自分のやりたいことができそうだと思いました。
とはいえ当時は「組込」という言葉は何を指すのか、よくわかっていなかったのですが、「基盤を扱うエンジニア」というイメージがあって、今までやっていたことを少しは活かせそうだと思ったのです。「まずは飛び込んでみよう」と決意し、2022年8月にテクノプロ・デザイン社へ入社しました。
実践的な研修は、刺激を受け続ける毎日だった
入社後すぐにフルリモートでの研修が始まりました。同期社員は私のような未経験入社も多かったのですが、エンジニア実務経験がある人も複数名おり、教えてもらうこともありました。
最初の1カ月はコードをなぞり、自分で動かしていく練習から入りました。その後は実践的な内容に入り、ひたすらに演習問題を自分で解いていく内容でした。これを繰り返すことで、知識として頭に入れるだけではなく、手を動かしていくことで理解度は格段に上がったと思います。
演習では自分で手掛けたプログラム通りに機械が点滅したり稼働するだけで楽しく、同期社員とも意見交換しながら刺激を受け続ける日々を送りました。ここまで熱中して学んだのは学生時代以来で、未経験からわずか3カ月で基礎的な実務を習得し、資格取得にもチャレンジできました。研修中はほかの業務は一切なく、研修に集中できる環境だったことも大きかったと思います。
とくに印象に残っているのが研修の終盤で行った3名でのチームワークです。育成ゲームを製作するというテーマが出されました。このテーマを紐解くとクリアしなければならないさまざまな課題がありました。
たとえば、きちんと成長するキャラクターの設定はもちろん、プログラミングで色を付けるだけではなくその負荷までを計算しながら、スムーズに稼働するにはどうすればよいかといった設計上の課題、ゲームを行うことでユーザーがどのような印象を持ち、おもしろいと評価されるのかといったユーザー視点など、解決するべき事象を同期3名で綿密に話し合いながら整理し、開発を進めていきました。
この「課題提起~解決への手順を自主的に考えるノウハウ」は配属されてからも活かされています。おかげで研修修了後は、すぐに業務に取り組めるほど成長することができたと思います。
目標となる先輩が目の前にいるから、キャリアパスが描きやすい
研修修了後は大手メーカーで新拠点に立ち上げる車載機器開発部門に配属されました。新しい建屋への開発環境の立上げに従事しているほか、温度の計測や電池パックがさまざまな状況下で作動するかどうかの検証作業について、今までよりも作業負荷を格段に軽減する取り組みを行っています。
ここではVBA(Visual Basic for Applications)を駆使したプログラミングを行うことで、今まで時間がかかっていた計測作業の効率化を可能にしています。また最先端のツールも扱うため、英語のマニュアルとも日々格闘しています。まさか入社1年目に大手メーカー様の新規立ち上げに従事できるとは思いませんでしたが、キャリアパスの描き方や可能性も、格段に広がっていることを実感しています。
プロジェクト現場ではチームで動いているので、たとえば、組込技術においてうまく動かなかった場合でも、先輩が「こうすれば大丈夫では?」とすぐに修正してくれます。こうした技術知識が豊富な先輩がそばにいるのはとても刺激を受けます。自分が足りない知識はここだということが明確になるので、目標となる先輩がいると、自分自身のキャリアパスも描きやすくなると思います。
成長という観点では、テクノプロ・デザイン社はPythonなど必要となる言語や知識を自主的にオンラインで学べる機会が豊富にあるため、常にアップデートできる環境は整っています。
私自身、1年前には想像できなかったような仕事ができています。さらに1年後の自分がどこまでいけるのか、楽しみでもあります。自分の成長に直結する「環境」も「人」も揃っているからこそ、習得するべき言語や技術を積極的に学び、もっと規模の大きな装置を扱えるよう、組込ソフトウェアエンジニアとして成長していきたいと思います。
※こちらの記事は2024年3月時点の情報となります。